PENTAX Qが発売されてから10年が経過した

2021-08-31

 PENTAX Qが発売されたのは2011年8月31日だった。つまり今日(2021年8月31日)でちょうど10周年を迎えた。めでたいめでたい!と言いたいところだが、残念ながら製品としてのQマウントは事実上すでに終焉している。

 それでもお祝いをしたい。黎明期のミラーレス市場に、こんな尖ったコンセプトのカメラを投入したPENTAXのその勇気と狂気を讃えたい。製品としてのQマウントは10年持たなかったけれども、カメラブランドとしてのPENTAXは今でもまだ生きている。Qマウントが商業的に成功したとは思わないが、得たものが何かあったと思いたい。メーカーにとっても、ユーザーにとっても。
 
 今日がQマウント10周年記念日だと気がついて、思い出を少しツイートしたら、いつものつぶやきより反響が大きかった。

 なんだ、やっぱりみんなQマウント大好きなんじゃないか! ということで、以下にも少し思い出をまとめておくことにした。

PENTAX Q

 実はPENTAX Qを初めて買ったのは2012年3月になってから発売されたQ Limited Silverだった。だから個人的にはQシリーズ歴はまだ9年半しかない。

PENTAX Q Limited Silver

 初代Qは1/2.3インチの1200万画素センサーを積んでいた。当時はコンデジでよく使われていたサイズだし、今ではスマホがこれより大きくて高画素なセンサーを使っていたりする。

 それよりも初代Qの特徴は、外装がマグネシウム合金製だったことだ。その後のQシリーズとは明らかに質感が違う、良いもの感に溢れていた。特にLimited Silverは猛烈に格好良かった。手放してしまったことを後悔している。
 

B787の機窓PENTAX Q, 03 FISHEYE, f5.6, 1/1000sec, ISO125
 初代Qは海外含め旅によく持ち出していた。今考えても最高の旅カメラだったと思う。複数のレンズを持っていくことに何のためらいも苦労も感じなかった。
 

ミラノ チェントラーレ駅PENTAX Q, 03 FISHEYE, f5.6, 1/80sec, ISO250
ベネチアの運河PENTAX Q, 02 STANDARD ZOOM, f5.6, 1/80sec, ISO250
 ミラノ中央駅とベネチアの運河。当時は出張でイタリアへ出かけることが何度かあり、よくQとレンズ数本を持っていった。空いた時間や週末にあちこちQを持って観光に行ったことを思い出す。

 しかし今見返してみてもとても良く写っている。最新のiPhoneで撮った、と言ってもほとんどの人は疑わないだろう。いや、当時のAPS-C一眼レフはこんな写りだったよ、と言っても通じるかもしれない。
 

神戸港PENTAX Q, 01 STANDARD PRIME, f1.9, 1/2000sec, ISO250
 神戸港の絶景を眺めながら優雅にワインを飲んでみたり。Qシリーズは飲み食いの記録にもよく使った。

 01 STANDARD PRIMEはとても優秀なレンズで本当にきれいに写る。まさにQマウントを代表する1本だったと思う。02 STANDARD ZOOMよりも好きだった。

PENTAX Q7

 2013年の夏、センサーが1/1.7インチに大型化されたQ7が登場した。それにより標準ズームの02 STANDARD ZOOMが24〜70mm相当になったし、03 FISHEYEも対角線180度となった。つまりこれが本来のQシリーズのあるべき姿なのだろう。

PENTAX Q7

 しかし残念なことにボディはプラスチック化されていた。いや、別にだからどうってことはない。ただ、プラスチックだったら何の変哲もないブラックでいいやという感じで、色選びに関しては低いテンションだったことを思い出す。でも、これぞ本物のQシリーズなのだ!というワクワク感はあった。

 実際、Qシリーズの中で一番多用した(一番多くシャッターを切った)のはこのQ7だったと思う。
 

夕焼けの羊蹄山PENTAX Q7, 02 STANDARD ZOOM, f5.0, 1/160sec, ISO200
 夕暮れの羊蹄山。超綺麗だった。冬のニセコにもよく持っていって、それこそ羊蹄山ばかり撮っていた。

 防滴ではなかったので、ゲレンデやバックカントリーで滑りながら使うことはしなかったけれども、ちょっとやってみれば良かったかも?と思っている。良く晴れたアンヌプリのピークからは、それこそ絶景が見られた。防水コンパクトカメラやスマホとはまたひと味違う写真が撮れたかも知れない。
 

ひたち海浜公園のネモフィラPENTAX Q7, 08 WIDE ZOOM, f5.6, 1/800sec, ISO100
銀座4丁目交差点PENTAX Q7, 08 WIDE ZOOM, f5.0, 1/1250sec, ISO100
 今では超有名になったひたち海浜公園のネモフィラと、あえて三愛ビルを背にして撮った銀座4丁目交差点。

 2013年末に登場した8本目のQマウントレンズは、それまでのトイカメラっぽさの路線から外れた超本気レンズで、Qマウントとしては破格に高かったけれど、意を決して買った。

 このレンズを使うと本当に1/1.7インチセンサーのカメラとは思えない写真が撮れた。今はスマホにも超広角カメラが搭載されるようになったけれども、まったく撮れる写真の質が違うのはレンズの質の違いだろう。

 しかしこの08 WIDE ZOOMはQマウントレンズの中で真っ先にディスコンになってしまった。
 

2013年東京湾大華祭PENTAX Q7, DA★60-250mmF4ED[IF] SDM, 10sec, ISO100
 マウントアダプターを使ってKマウントレンズを付けて撮った花火。晴海で行われていた東京湾大華祭はもう今はやっていないし、復活の見込みもない。もちろんオリンピックのせいだ。

 それはともかく、Kマウントレンズをつけるとほぼすべてのレンズが望遠になる。だから敢えて超望遠ごっこをするのがQによるマウントアダプター遊びの醍醐味だった。
 

PENTAX Q-S1

 翌2014年の夏にQマウント4機種目となるQ-S1が登場した。しかしこの頃からもうQマウントの動向は少しおかしかった。このQ-S1だって、外装が変わっただけで中身はほとんど(極一部を除いて)Q7と変わりがなかったのだ。予感は的中し、これ以降Qシリーズの新製品は出ていない。

PENTAX Q-S1

 Q7と中身が変わらないなら別に要らないや、と思ってずっと無視していた。しかしQ-S1発売から2年が経ち、いよいよQマウントの終焉が濃厚となってきたところで「最後のQマウント機を動態保存する」という名目でようやく買ったのが2016年夏のことだ。当時激安で投げ売りされていたこともある。レンズキットで2万4千円を切っていた。

 またもやブラックにしたのは、むしろ02 STANDARD ZOOMのブラック仕様を手に入れるのが目的だ。もちろん02 STANDARD ZOOMは既に持っていたが、そういうことは関係ない。ついでに言うと01 STANDARD PRIMEのブラックも無くなる前に… と思って買ってある。
 

焼肉TKGPENTAX Q-S1, 01 STANDARD PRIME, f1.9, 1/60sec, ISO1600
 禁断の食べ物、焼肉TKG!

 Q-S1ではあまりまじめに写真を撮っていない。が、食事の記録にはよく使っていた。暗所性能とかそんなに良くないはずだが、明るい良いレンズと相まってほとんど問題ない。素材通りに超美味しそう!な写真がたくさん残っている。
 

隅田川のカモメPENTAX Q-S1, 08 WIDE ZOOM, f5.0, 1/1250sec, ISO200
 AFがどうとかあまり考えたことはない。特に標準から広角域ならパンフォーカスとして扱ってしまうこともできた。こういう写真はK-1で撮れる気がまったくしない。iPhoneなら撮れるだろうか? 撮れるかも知れないけど撮る気にならない。個人的にはQならではの1枚だと思っている。
 

桜PENTAX Q-S1, 06 TELEPHOTO ZOOM, f2.8, 1/1000sec, ISO200
 そうそう、Qマウントの名レンズと言えば、地味だけれどもこの06 TELEPHOTO ZOOMではないかと思う。超軽量で小型の沈胴式、ズームリングの感触などはがさつでお値段も安かった。しかしビックリするくらいきれいに写る。開放F値もF2.8通しだ。

 このレンズを使うととても極小センサーのカメラで撮ったとは思えない写りが得られる。特にボケとか綺麗だった。
 

超小型レンズ交換式カメラは消えていく

 何年か前にも同じようなこと書いた記憶があるのだが、結局のところQマウントだけでなく、小型のレンズ交換式カメラというのは、すでにほとんど消えてしまった。Nikon 1もそうだしマイクロフォーサーズも、LUMIX GFは残っているがGMは消え、GXも消えつつある。小さい(≒安い)カメラはスマホ普及の直撃を受けたのだろうか。

 これもまた何気なくTwitterに書いたらそこそこの反響をもらった。

 Qシリーズに限らず、このクラスのカメラについては、みんないろいろ思うことはあるようだ。

 そういう自分も今はiPhoneのカメラを信用しているし多用している。小型なカメラとしてはGR3があるが、それさえ少し持て余している。どっちかと言えばフルサイズ至上主義でK-1 Mark IIが今は一番好きだ。

 だから消えゆくQマウントを今さら偲んで「悲しい」とか「残念」とか言う資格はないのかも知れない。

PENTAX Qシリーズ

 実際Qマウントは防湿庫の底に眠らせているだけで使っていない。一応8本の全レンズと、Q7とQ-S1を残してある。手放す気はまったくなくて、このままにしておこうと思う。

 時代がもう3周くらいして、また再び超小型カメラの時代がやってくることを夢見つつ。
 

 

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