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PENTAX K-1改とNikon D500をWEBカメラ化してみる

 新型コロナウィルスがもたらした「新しい生活様式」により、世の中いろいろなことがリモートで行われるようになった。仕事の会議もそうだし、友人達との飲み会、あるいは展示会的なものやユーザーセミナーなどもリモートでネット越しに行われている。

 そんな中でにわかにWEBカメラに注目が集まっている。パソコン内蔵のもの含め、今まではどちらかと言うとニッチな用途だったと思う。が、今は非常に多くの人が活用しているデバイスだ。そんな風潮に各カメラメーカーは敏感に反応した。

オンライン会議用のWebカメラとしてデジタルカメラを利用することが、昨今の在宅勤務/リモートワークに伴う新たなトレンドとなっている。Webカメラ化には、キャプチャーマシンなどの専用機材を別途購入したり、配信用の各種ソフトウェア(無料の選択肢もある)を応用することもできるが、ここではカメラメーカーが自社製...
カメラメーカー各社の「Webカメラ化」対応まとめ  - デジカメ Watch
 昨年末に発売されたSIGMA fpがもともと単体でWEBカメラ化できる機能を搭載していた。先見の明があってすごい。そのあとキヤノンがBeta版扱いとしながらも、ソフトウェアでEOSシリーズをWEBカメラ化できるようにした(地域制限があるらしい)。

 その流れに他のカメラメーカーもあれやこれや様々な方法で続こうとしている。我らがリコーイメージングを除いて。

 が、だからと言って手元のKシリーズをWEBカメラ化するのは諦めざるを得ないかと言えばそうでもない。コストはちょっとかかるが、ソフトウェアが出るのを待つよりも簡単に、今すぐWEBカメラ化する方法がある。
 

ビデオキャプチャー アダプター

 HDMIをUVC(USB Video Class)に変換する小さなアダプターを使えば良いのだ。↓こんなやつだ。


 Youtuberなどはこれのもっと高機能な、HDMIキャプチャー兼スイッチャー兼ミキサー兼エフェクターみたいなものを使ってパソコンに動画を読み込み、録画や配信をするらしい。しかしYoutuberではない我々一般人が、デジタルカメラをWEBカメラ化するくらいなら、この程度の安物で十分だし、圧倒的に簡単だ。

 ということで、ダメ元と思って適当に選んで買ってみたのはこれだ。 商品名は「ビデオキャプチャーボード」と書いてあるが「HDMI-UVC変換アダプター」と呼んだ方がしっくりくる。

 メーカーもよく分からないこのスティック状のHDMI-UVCアダプターは、ほとんど同じ外観で多くの製品が出ている。妙な評価の高さも含めて怪しさがあるのだが、3,000円ならものは試しとAmazonで発注してみたのだ。

 結果的に、期待していたことはほぼ完璧に出来た。
 

 さて、HDMI-UVCアダプター以外にもう一つ必要なものがある。カメラのHDMI出力を先ほどのアダプターにつなげるケーブルだ。PENTAX K-1/K-1 Mark IIはHDMI micro(Type D)端子を搭載している。少し古いカメラだとHDMI mini(Type C)の場合もある。

 そうか、USBケーブルのminiとmicroなら見分けるのに慣れているが、HDMIも同じように種類があるのか… と、カメラの説明書や仕様表を何度も見直しながら発注した。

 Amazonで検索すれば、他にも安いHDMIケーブルはいくらでも出てくるが、取り回しを重視し、線材部分が細くて柔らかそうなやつを選んだ。エレコムなら安心だろう。長さは悩んだのだが、とりあえず1mにした。
 

セットアップ

 機材は揃ったのでさっそくやってみよう。セットアップはとても簡単だ。

 まずはHDMI-UVCアダプターをパソコンのUSBに刺し、HDMIケーブルを接続する。アダプターはUSBメモリーよりも少し大きいが、そんなに取り回しは悪くない。

 電源はもちろんバスパワーで、こうしてハブを経由してももちろん問題ない。
 

 そして、HDMIケーブルのもう一端をカメラ側に刺す。K-1改のこのゴム蓋を開けるのははじめてかも知れない。防塵防滴のためにかなりしっかりしたフタになっているので、引きちぎってしまいそうでこじ開けるのに少し苦労した。
 
 さて、必要なセットアップはこれだけだ。特にドライバーのインストールなども必要ない。macOSにしろWindows10にしろ、アダプターをUSBに刺した時点で自動的に標準ドライバーがロードされ「USBカメラ」として認識される。あとはWEBミーティングアプリでこの「USBカメラ」をビデオ入力として使ってみるだけだ。
 

zoomで使ってみる

 macOS版のzoomアプリからカメラの認識状況を見てみた。

 このように、iMac本体内蔵の「FaceTime HDカメラ(内蔵)」とともに「USBカメラ」という選択肢がある。これがHDMI-UVCアダプターだ。その先につながるカメラはなんでも良い。

 このスクリーンショットではまだカメラの電源を入れていないので、(zoomアプリによって)無信号時のデフォルト画像としてカラーバーが表示されている。あとはカメラをONしてHDMI出力を開始すればこのウィンドウに映像が映る。接続の順番なんかも特に関係なくて何ともあっけないと思ってしまうくらい簡単だ。
 

 さて、レンズ交換式のカメラを使うとなれば、レンズをどうするか?を考えなくてはならない。用途次第だが、一般的なWEBカメラの代わりとすれば比較的近距離になるのでワイド寄りのレンズが便利だろう。

 その上で、ネット越しにビットレートが落ちたとしても「オレはフルサイズ一眼レフを使ってるぜ!」という雰囲気を醸し出しつつ、雑然とした部屋の殺風景さをごまかすためには、背景をボカしたい。

 ということでFA31mmF1.8AL Limitedを付けてみた。ちょっと役不足感が否めないが、大きさや重さ的にも手持ちのレンズの中ではこれが適任だと思われる。しかし、FA31mmがこんなことに使われるなんて、発売当時に誰が想像しただろうか?
 

 電源オン!でこんな感じになる。zoomアプリのキャプチャだが、ネットを経由したものではなくあくまでも自分の環境を映してるだけなので、これがインターネットを経由するとどうなるのかは分からない。まぁ、背景がボケていてなんかちょっと良いカメラ使ってる? みたいな雰囲気くらいは伝わるだろう。

 Windowsでも試したがまったく同じで、やはり「USBカメラ」として認識される。今度、会社のWEB会議でこっそり使ってみようと思う。

 なお、WEBカメラ化するに当たってK-1改は以下の設定にしてみた。

 とりあえず今のところはこんな感じだ。

 本気でやるならカメラ用のACアダプターが必須だろう。今のところ電池だけでどのくらい持つのかよく分からないが、まぁ1時間くらいはいけるのではないかと思っている。ただ、K-1改はそんなに長時間CMOSセンサーに通電していて熱的に大丈夫なのか心許ない。10分程度動かしていてもそこそこ本体は熱を持ってる感じがする。
 

Nikon D500でもやってみる

 この方法であればHDMIへのライブビューあるいは動画スルー出力を持つカメラなら、どれでもWEBカメラ化できる。

 ということでNikon D500でもやってみた。なお、D500はHDMI出力端子がminiタイプなので別途HDMIケーブルを用意した。レンズは中古でDXの標準ズームを7,900円で買ってみた。設定は細かいところの挙動で違いがあるものの、基本的な方針はK-1の場合と同じだ。


 D500のHDMI端子カバーはUSBやマイクなどと分けて個別になっている。開けるのもそんなに難しくないし、ヒンジがついていてケーブル刺してる状態での取り回しも良い。なんだかんだでこういう細かいところの使い勝手までよく考えられているなとちょっと感心した。

 ただ、これ防塵防滴性能はどうなの?と、ちょっと心配になる。
 

 さて、D500をWEBカメラ化した結果、zoomではこんな感じになる。やはりAPS-Cだしだ小さな標準ズームということで、背景ボケ量はFA31mmと比べると少ない。が、実はK-1改よりも全体的に画質は良いのだ。

 例えば、顔を隠しているクリアファイルの文字のジャギーに大きな差がある。D500はCMOSセンサーの出力画素データをFull HDに落とす際にちゃんと再サンプリングフィルターをかけているのだろう。K-1改は単純間引きなのではないかと思える。なので、ピントが合った部分はD500の方が圧倒的に綺麗に見えるのだ。こうなると、Fマウントの広角大口径単焦点が欲しくなる… が、DXには余り良いレンズがない…。

 ということで、結論としてはWEBカメラとしてははK-1改ではなくてD500をメインで使おうと思っている。画質もそうだが、やはり自分のメインカメラであるK-1改をここまで酷使するのはちょっと可哀想な気がするのだ。D500ならそういう罪悪感もなく使える。

 そのうちNikonからソフトウェアも出るようだが、画質や使い勝手はそのとき比べて見ようと思う。
 

おまけ:他のカメラでも試してみた

 カメラのHDMI出力はだいたいminiかmicroのどちらかなので、せっかくだからK-1改とD500以外に手持ちの他のカメラでもWEBカメラ化できるかどうか試してみた。

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