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ようやく姿を現した PENTAX K-3 Mark III に触ってきた

 待ちに待って待ちくたびれていた PENTAX K-3 Mark III が3月31日にようやく正式発表された。

 思えば、2019年2月のCP+で開発を匂わせたあと、その年の9月に行われたPENTAX 100周年イベントで突然その姿を現し、2020年中に発売を目指すと宣言されていた。

 その後2020年に入って巻き起こったコロナ渦の中、5月と7月には動画で続報が発表され、10月には詳細なスペックと製品名が明かされるとともに、年明け2月頃に発売が延期された。しかしCP+2021の1週間前に2度目の発売延期が発表され、もはやこのカメラは幻で終わるのかと諦めかけた先週31日に、ようやく正式発表され、4月23日に販売を開始することとなった。

デジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-3 Mark III」製品ページ。3つのコンセプトとこだわりの詰まった機能・性能、アクセサリー、仕様などのご紹介のほか、スペシャルなコンテンツもたっぷり掲載しています。
PENTAX K-3 Mark III / 製品 | RICOH IMAGING - 

 お値段はボディのみでおおよそ25万円ちょっと。バッテリーグリップなどがセットになった数量限定のプレミアムキットが30万円ちょっとだ。K-3シリーズだと思うとずいぶん高くなったが、今どきのレンズ交換式カメラの中で見れば、そんなに飛び抜けて高いこともない。また20万円台後半という事前のアナウンスも間違っていなかった。

 そんな中、さっそく今週末からリコーイメージングスクエア東京と大阪で、実機のタッチ&トライが始まった。事前予約制で15分間に限定し、実機に触ってみることができる。ということで、初日の初回の予約を取り、他の予定を全て脇に押しやって新宿に駆けつけてきた。
 

 DA20-40mmF2.8-4 Limitedが取り付けられたブラックのK-3 Mark IIIとご対面。触れられる日がようやくきたか… と感慨深いものがあって、しばし固まってしまった。

 それにしてもこの黒×黒の組み合わせは格好イイ。
 

 我に返って手に取ってみると、普段K-1 Mark IIを使っているせいなのか、あるいは20-40mmが特に軽いせいなのか、持ち上げた瞬間「軽い!」と思ってしまった。

 細かい部分の操作系はともかく、全体的にグリップ握った感触や全体のサイズ感、ダイヤル操作したりINFOボタン押したり、MENUを開いたり、その辺の手触りというか操作感は従来からのPENTAX機そのもので、何ら違和感はない。
 

 なお、K-3 Mark IIIとともにひっそりと新製品として発表されたホットシューカバーO-FC177が取り付けられていた。K-3 Mark IIIのペンタ部形状に合わせてデザインされているという(もちろん他の機種でもちゃんと似合うようになっている)。撮影者の側を向いた小さなPENTAXロゴがポイントだ。

 色はガンメタっぽい感じでなかなか渋い。ユーザーレビュー特典でもらえる、限定品のホットシューはもっと明るいシルバー調になるだそうだ。


 このホットシューカバーは、なにげにK-3 Mark III企画担当の若代氏の一押しアイテムらしく、強くお勧めされたので、スルーしてましたスミマセン、と謝りつつ慌てて発注した。

 さて閑話休題。タッチ&トライの時間はわずか15分しかなく、事前に確認したい項目をリスト化しておいたのだが、それらを一つ一つチェックする余裕はまったくなかった。

 なので、すでにTwitterに色々書いたことの繰り返しになるが、以下に実機を触って確認できたこと、感じたこと、思ったことを適当に箇条書きで書き並べておく。もちろん全ては主観が入った「個人の感想」に過ぎないので、その点は十分考慮して読んで欲しい。

  • ファインダーは期待通り素晴らしい。倍率が高いので視野角はK-1/K-1 IIと同じくらいある。しかも明るくて色付きも感じられないし、ピントの山もとてもよく見える。歪みもないし視野外も暗く沈み、シャッター切った時の像揺れもない。事前情報でかなり高い期待をもっていたが、それが裏切られるようなことはまったくなかった。
  • AFに関しては速度や動体追従などを詳細に試すことは出来なかったが、オートエリアAFに設定したときの顔認識(瞳認識)機能は体感できた。AF.Cにしておけばカメラを振ってもちゃんと瞳に一番近いAFポイントが選択され追従する。これは期待大だ。
  • ちなみにレンズは20-40mm、150-450mm、そしてDFA★50mmの3本を試してみた。AF時の駆動速度はレンズで決まる面が大きいと思うが、初動の速さ(レスポンス)はボディ側の要因も大きいのではないかと思う。ただ、自分はK-1 Mark IIあたりでも明確な不満を感じていないので、その辺に差があるのかどうかよく分からない。
  • AFポイントを選択するジョイスティックの操作感は思ったよりも良かった。節度感があってレスポンスも良いからちゃんと思ったところにAFポイントを動かすことが出来る。真ん中を押すとセンターに戻るのも良い。ただし操作性の一等地にあるだけに、反応速度や真ん中を押したときの動作をカスタマイズできるとなお良いかも知れないと思った。
  • シャッターフィールはキレがあるのに柔らかさも同時に感じられる。連写しても手に伝わるミラーショックやシャッターショックもほとんど感じないし、ファインダー内の像消失も短くキレがあって良い感じだ。音から受ける印象も同様だ。
  • 連写は速い。超速い。AF.C時の11コマ/秒とAF.S時の12コマ/秒の差も体感することが出来る。ただしAF.C時の設定を全てフォーカス優先にすると、特に動体を追いかけているわけでもないのに、なぜかガクンと連写速度が落ちる。
    レリーズタイミングの設定が、デフォルトは1コマ目も2コマ目以降も「オート」となっており、その場合はちゃんと11コマ/秒出るようだが、そのオート設定でAFがどのくらい動体を追いかけてくれるか?が、この高速連写が実際に役に立つのかどうかのポイントになりそうだ。
  • タッチ&トライのデモ機には、スロット1にのみUHS-IIのカードが刺さっていた。その状態でシャッターを押しっぱなしにしてみたのだが、体感で5秒以上連写速度を維持しているように感じた。スペック上最高画質のJPEG記録で37コマ=約3秒しか連写速度を維持できないことになっているので、計算が合わない。他の方もRAW+で試したらやはり5秒程度の連写速度維持が出来たらしい。
    若代氏に「スペックの数字はUHS-Iの場合なのではないか?」と聞いてみたのだが、詳しいことはさておき「仕様を決めた時点よりも量産機の連写速度維持可能な枚数は増えている」と明言された。ならスペック表を書き換えれば良いのに!
  • メニューがGR風の縦スクロール式に変更された点は何とも言えない。この点はやはり慣れていかないといけないだろう。タッチ操作も試してみたがイマイチだ。それよりもやはり前ダイヤルで大項目移動、後ダイヤルでページ送りで操作した方がしっくりくる。
    この点についても若代氏は従来のPENTAX方式のメニューにしたかったのだが… と言葉を濁されていた。
  • 背面液晶のステータススクリーン表示はどうにも気に入らない。どこがどうとは言えないのだが、フォントとアイコンマークと配置などなど、全てがどうにもアンバランスでちぐはぐに見える。違和感があって表示されてる情報がパッと頭に入ってこない。背面液晶自体は非常に高精細化されてはいるようなのだが。
    あと、INFOボタンによりステータススクリーン表示を消す手順が今までと微妙に変更されており、気がついたら背面液晶に何も表示されない状態に陥ることがある。INFOボタンを押してトグルさせるだけなので、分かっていれば問題ないが、K-1など最近のPENTAX機の作法しか知らないと戸惑うかも知れない。

 ということで、短時間のハンズオンによるファーストインプレッションはそんな感じだ。
 

 ところで、タッチ&トライで用意されていたK-3 Mark IIIは全てブラックボディだった。シルバーボディはプレミアムキットのサンプルとして、スクエア内の別の場所に静態展示されている。

 どうやらシルバーボディを限定品ではなくレギュラー品として同時発売することにはかなり苦労されていた(る?)ようだ。もしかして発売遅れの原因はシルバーの外装部品の準備にあったのでは?と勘ぐりたくなるような感じだった(もちろん真偽不明の勝手な憶測)。
 

 以上、グダグダと書いてきたが一言でまとめると「だいたい想像していた&期待していたとおり」だった。

 もちろん、細かいことが全て分かったわけではないし、実機を触ってもなお、思い過ごしや思い違いも多々あるかもしれないが、一方で「百聞は一見にしかず」でもある。すでに予約注文を入れた後だが、キャンセルする必要はまったくなさそうだ。
 


 なお、注文を入れてあるのはシルバーのボディ単体だ。ボディ同色のバッテリーグリップD-BG8と特製ストラップが付いてくるプレミアムキットも一瞬迷ったのだが、バッテリーグリップは結局使わないことがほとんどだし、ストラップも今はPeakDesign製しか使う気がないので、今回はボディ単体にした。

 それよりK-3 Mark IIIに合わせてレンズを色々買い足していかなくてはならないから、プレミアムキットを買わなくて済んだ予算はそちらに回したい。
 

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