サイトアイコン 酔人日月抄外伝

4月になりようやく晴れた東京の青空とソメイヨシノを撮る

 前回に引き続き2023年の桜写真。3月最終週の東京地方は平日含めて雨または曇り空がずっと続いていた。晴れの予報が出ていた日でさえそんな感じで、このまま今年のソメイヨシノは青空を見ることなく4月を迎える前に散ってしまうのだろうと諦めていた。

 そしてようやく久しぶりの青空が覗いた4月1日土曜日。半分くらい葉桜になった姿か、桜吹雪や花筏でも撮れれば……と、あまり期待せずに近所の桜スポットへ出かけてみたのだが、思いのほかソメイヨシノの花は残っていて、散り際なれども十分に満開と言えるような桜の景色を見ることができた。

 Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(52mm), f11, 1/200, ISO100
 大横川は東京東部の隠れた桜の名所として有名になりつつある。とは言えその中心地は主に門前仲町付近なのだが、もっと北の方、木場公園から扇橋周辺もずっと大横川沿いにはソメイヨシノの並木が続いている。

 目黒川などと違って川幅がそれなりにあるので、ギュッと左右から密集した感じはないのだが、逆に開放感があって東京スカイツリーと一緒に眺めることが出来る。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(102mm), f11, 1/250, ISO100
 しかし前回のエントリーにも書いたように、この大横川沿いのソメイヨシノは老化か病害か分からないが、ここ数年で樹勢がかなり衰えているのだが、場所によってはまだまだこの通り、見事なボリューム感を見せている(もちろん望遠の圧縮効果も含む)。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(110mm), f4.5, 1/800, ISO100
 川岸は遊歩道になっていて桜のトンネルの中を散歩することができる(これも圧縮効果あり)。遊歩道とその周辺敷地は広くはないので、宴会をともなう花見などはほとんど行われず、従ってとても治安が良い。

 しかし良く見るとこの川沿いのソメイヨシノはそこそこ散り始めていて、葉っぱが少しずつ出始めている。やはりこの週末はギリギリ持った、という感じなのだろう。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(120mm), f6.3, 1/640, ISO100
 川沿いには民家も並んでいる。隣の家の庭に桜の木が立っているようなもので、この季節だけはリビングや寝室などから最高の眺めが見られそうだ。もちろん、その後は毛虫とかうるさいヒヨドリが集まってくるとか、秋には大量の落ち葉が降ってくるとか、良いことばかりではないと思うのだが。

 だから住宅街の公園などに新たに桜の木を植えるという話が持ち上がると、近隣住民には反対運動が起きたりして揉めるのが常だ。典型的なNIMBY案件と言えるだろう。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(77mm), f4.5, 1/2000, ISO100
 大横川を離れて木場公園を抜け仙台堀川あたりにやってきた。こちらの桜並木は大横川よりもずっと若く、とても元気で花も多い。ついでに大横川より少し満開のピークが遅れ気味だったようで、ほぼ最盛期といった感じだ。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(120mm), f11, 1/200, ISO100
 東京スカイツリーの先っぽと木場公園大橋と桜。毎年同じ位置から撮ってしまう定点観測ポイントだ。約1週間前の雨の週末は人が少なかったのだが、お天気がこうなるとお花見客でとてもにぎやかだ。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 26mmF2.8, f8.0, 1/400sec, ISO100
 芝生の広場にも立派な桜の木が数本ある。並木などと違ってそれぞれの木が離れてポツンと植えられているのがいい。都会ではあまり見られない一本桜の大木風味がある。

 ここ数年、道路や川沿いの桜は枝先が剪定されてしまうことが増えたが、こうした広場にある桜は自由に自然のまま伸び放題で、先端部まできっちり花が付いた姿はとても美しい。やはり桜はこうでなくては。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 26mmF2.8, f8.0, 1/400sec, ISO100
 春らしい綺麗な淡い色の青空の下、満開の桜を見ることができて良かった。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(81mm), f5.0, 1/800, ISO100
 地面もそこそこピンク色に染まっていてやはり散った花も多いのだが、でも桜は散り際が一番綺麗だというし、実際に今季一番のお花見日和になった。

 今年は開花が記録的に早いと言われたけれども、なんだかんだでギリ4月に入ってもまだ桜が見られたのだから、それなりに帳尻は合ったのではないかと思う。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(98mm), f4.0, 1/1000, ISO100
 ということで、今年の桜は以上だ。

 桜は毎年繰り返し撮りすぎて飽きてきているはずなのだが、結局カメラを向けてしまう。それでも以前から「花ではなく木を撮る」を意識するようにしていたら、本当に無意識にこういうアップの写真をあまり撮らなくなった。良いことなのか悪いことなのかよく分からない。
 

Nikon Z 5, NIKKOR Z 26mmF2.8, f2.8, 1/200sec, ISO100
 これはおまけの1枚なのだが、先週中まだまだ雨が降っていた日、横十間川親水公園のソメイヨシノ並木の様子を見に行った時にZ5+Z26mmで撮ったものだ。小さな堀の隅に雨に打たれて落ちた花びらが流れ着いて、ちょっとした花筏が出来ていた。基本ドブ川なので本来風情はないのだがこうして切り取ってしまえば問題ない。

 実のところ個人的には今年撮った桜の写真の中ではこれが一番気に入っている。2023年の春は天気が悪くてこうだったよな、という記録の意味も含めて。
 


 
モバイルバージョンを終了