お盆休みも何事もなく過ぎ去り、いつも通りボケッとTwitterを眺めていたら、千葉県南房総市にある原岡海岸の写真が流れてきた。電気の灯る海上電柱列というか、砂浜に突き出した細い桟橋のある風景で有名なところだ。そのツイートに「良いなぁ、きれいだなぁ、久しぶりに行ってみたいなぁ」と、ちょっとした旅情を掻き立てられてしまった。
そして天気の良いとある金曜日の午後、リモートワーク中にやってきたバカらしいメールを見てそっとパソコンの電源を落とし、早めの週末に入ることにした。そうだ!原岡海岸に行って絶景でも撮りつつリフレッシュしよう!
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f1.4, 1/8000sec, ISO100, 0EV
距離にして100km足らず。東京湾アクアラインが空いていれば時間は1時間半もかからない。午後3時に家を出ても十分日没に間に合うくらい、思いつきで行けるけど非日常を感じる素晴らしい絶景スポットだ。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f1.4, 1/2000sec, ISO100, -1.0EV
鬱蒼とした生け垣のトンネルの先に砂浜はある。沖縄の備瀬あたりにあるフクギ並木のトンネルを少し思い出す。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f1.4, 1/4000sec, ISO100, 0EV
海岸沿いの細い路地。自転車も通るし軽トラも行き交う生活道路らしい。何でもないようでいて何かか感じるものがある。ここが本当に自宅から1.5時間で来られる場所だなんてちょっと信じられない。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f1.4, 1/8000sec, ISO100, 0EV
砂浜に出て海を眺める。すぐそこに小さな無人のボートが浮かんでいた。何をしているのだろうか? 日暮れ前にどこからともなく人がやってきてこの船は浜に引き上げられた。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f3.2, 1/6400sec, ISO100, 0EV
この日は砂浜に出ても風がほとんどなく、海はとても穏やかで小さな波が打ち寄せているだけだった。
この砂浜はもちろん海水浴場なのだけど、今年は営業していない。監視員もいないし海の家のようなものもまったく出ていない。実際に海水浴客がゼロだったのは日取りと時間のせいだけではないと思う。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f16, 1/640sec, ISO100, 0EV
さて、この原岡海岸が絶景ポイントとして有名なのは、この桟橋があるからだ。海水浴客よりも、この桟橋を目当てにくる人の方がこの日は圧倒的多かった。その中の半分くらいはカメラを抱えた同業者だ。
この桟橋、テレビやCMやらミュージックビデオなどでもときどき使われていたりする。この日も何か撮影をしていてドローンが飛び回り、桟橋の先っちょのほうは通行止めになっていた。うーん、ちょっと桟橋に出てやりたいことがあるのだけど、暗くなる頃には解放されているだろうか?
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f2.0, 1/2000sec, ISO100, 0EV
まだ日没まで時間があるのに気がついたら電球が点灯していた。ずいぶん早いな…
なお、この原岡桟橋は過去台風で何度も破壊されている。去年も相当な被害を受けたことは想像に難くない。その前年も前々年もたしか被害を受け、桟橋自体が流されたり、電柱が倒されたりしたはずだ。しかしそのたびに復活している。しかも電球のソケットと支柱、傘の部分はちゃんと再利用しているらしく、このレトロな雰囲気を保っている。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f8.0, 1/400sec, ISO100, -1.0EV
日没が近づくにつれて人が増えてきた。何かの撮影はまだやっている。砂浜から桟橋と海と夕日を撮る分には特に問題は無い。
しかし、ここは入場料を取るわけでもないし、周辺に土産物屋さんが並んでいるわけでもない。海水浴客には特にこの桟橋も電柱も電球も必要はないだろう。一方で、この絶景(写真)を目当てにやってくる人は滞在時間も短く、お金もそうそう落とさないはずだ。
なのにこの桟橋と電柱列を維持する努力には本当に頭が下がる思いだ。せめて近くのコンビニや道の駅で少し買い物くらいはするようにしている。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f1.4, 1/250sec, ISO100, -0.3EV
さて、だいぶ良い感じに夕暮れてきた。実はここが絶景ポイントとして有名なのはもう一つ要素があって、この桟橋はほぼ真っ直ぐ富士山の方向に突き出ている。だから完璧に晴れた日には富士山の姿もよく見えるのだ。が、残念ながらこの日は水平線(地平線)付近には厚い雲がかかっていて富士山の姿は見えそうにない。
約2年前の秋に訪れた時は運良く富士山は見えたのだが、電線が切れていて電球が点灯していなかった。その前は電球は無事だったがやはり今回と同じく富士山は姿を見せなかった。なのでまだ完璧にこの原岡海岸のベスト条件に出会ったことがない。次回に期待しよう。
PENTAX K-1改, HD D FA*85mmF1.4ED SDM AW, f5.6, 1/640sec, ISO100, -1.0EV
さて、太陽が雲に隠れて間もなく日没だ。これからマジックアワーとブルーアワーを迎える。原岡桟橋的にはこれからがハイライトだ。
ここまではD FA★85mmF1.4だけ使ってきたが他のレンズももちろん持ってきている。三脚もある。色々試してみたいことがあるのだが上手く行くだろうか?(ということで、続く)
館山道の現時点での終点、富浦ICからすぐだ。ICの出口周辺には道の駅はじめいろいろ集まっているから、遅い昼ご飯として房総の魚介を目当てに行くのも良い。鉄道なら内房線の富浦駅から歩ける距離だと思う。