GR III/GR IIIxに追加された「ネガフィルム調」で東京スカイツリーの見える街角を撮る

2023-01-23

 RICOH GR III/GR IIIx用の新しいファームウェアが公開された。主なアップデート項目は「ネガフィルム調」という新しいイメージコントロールが追加されたことである。

 今までありそうでなかった「ネガフィルム調」とはどんな仕上がりになるのだろうか? ということでさっそく手元のGR IIIとGR IIIxのファームウェアをアップデートして撮ってみた。
  

東京スカイツリー通り(ポジフィルム調)東京スカイツリー通り(ネガフィルム調)

 左が「ポジフィルム調」で右が「ネガフィルム調」だ。見ての通り「ネガフィルム調」は色は薄めでハイキーな感じだ。特にこってり系の発色でコントラスト高めな「ポジフィルム調」と並べると差がとてもよく分かる。シャドウ部の出方もかなり違う。まるで露出が違うのではないかと感じるくらいに。

 ネガフィルムってこんなだったっけ?というのは置いておいて、これまでGR III/GR IIIxに搭載されたイメージコントロールのどれとも違っていて、かなりはっきりとした個性を持っている。

 ということで、以下「ネガフィルム調」で撮った写真を貼っていく。今回はGR IIIxだけを持ち、錦糸町駅周辺をウロウロしながら適当にスナップした。しかもすべての写真に東京スカイツリーが写っている。

 似たような写真ばかりでネガフィルム調の作例的な意味はあまりないが、どちらかと言うと「東京スカイツリーが見える下町」がこのエントリーの主題だと思って欲しい。
 

江東橋五丁目から東京スカイツリー(ネガフィルム調)RICOH GR3x UE, f7.1, 1/400sec, ISO100
 首都高速7号線の南側。まだスカイツリーまでは距離はあるがその姿はチラッと見える。
 

総武線と東京スカイツリー(ネガフィルム調)RICOH GR3x UE, f16, 1/25sec, ISO100
 総武線のそばまでやってきた。錦糸町はビルが建ち並んでいて視界がないが、ビルの隙間に突然姿を現す。 
 

錦糸町駅から東京スカイツリー(ネガフィルム調)RICOH GR3x UE, f9.0, 1/60sec, ISO125
 錦糸町駅のホームも雑然としていて今ひとつ眺めが良くないが、やはりチラッとその姿が見える。車窓からはよく見える。
 

ベトナム料理屋さんと東京スカイツリー(ネガフィルム調)
RICOH GR3x UE, f8.0, 1/400sec, ISO100

 錦糸町駅の北側までやってきた。電線地中化された一方通行の通りは知る人ぞ知るスカイツリーのビュースポットだ。
 

錦糸町北口の街角から東京スカイツリー(ネガフィルム調)RICOH GR3x UE, f5.6, 1/500sec, ISO100
 しかし1本通が違うとこの通り電線だらけだ。これはこれでこの地域らしい風景でとても良い。
  

錦糸町北口の街角から東京スカイツリー(ネガフィルム調)
RICOH GR3x UE, f8.0, 1/400sec, ISO100

 当たり前のことだが、スカイツリーがあってもここは普通の人々の生活がある下町だ。多くの観光地そうであるように。
 

錦糸町北口の街角から東京スカイツリー(ネガフィルム調)RICOH GR3x UE, f5.6, 1/800sec, ISO100
 裏路地からも先っちょがチラッと見える。しかし近づくにつれ「灯台もと暗し」状態になってくる。
 

錦糸町北口の街角から東京スカイツリー(ネガフィルム調)RICOH GR3x UE, f8.0, 1/400sec, ISO100
 錦糸町には何十年も暮らしているし、ここに東京スカイツリー姿を現して10年以上が経過し、見慣れた風景なのは間違いないが全然飽きない。

 

 最後に「ネガフィルム調」の感想を少し書いておくと、これはPENTAX機の「冬野」や「里び」に近い雰囲気があるな、と感じた。もちろん同じシーンで撮り比べたらきっと全然違うのだろうが、低彩度でハイキーというところから来る印象からそう感じるのだろう。いずれにしろこの淡い感じは真冬の日差しに合っているような気がする。夏は夏で眩しさがうまく表現できるかも知れないが。

 一方で正直なところ、今回の撮影では「ネガフィルムっぽい」と感じたところはあまりなかった。パンタグラフ越しのスカイツリーと空がオーバー目に写ってる部分が、それっぽいなとは思ったくらいだ。

 そもそもフィルムっぽさを感じるにはGR IIIxのレンズが真っ直ぐでクッキリ解像しすぎるからだろうか。あるいはポストビューがオーバー目に感じてついマイナス補正をしてしまうからかもしれない。ネガフィルムっぽい以前に隠しきれないデジタル味がある。それは悪いことではないし、これで良いのだろう。あくまでも「調」なのだし。

 自然の草木や風景を撮るとまた印象は変わるかもしれないし、GR IIIで撮ると(画角的な面で)また違う感じになるかも知れない。

 これまでGR III/GR IIIxでは「ポジフィルム調」がわりと好みだったのだが、正反対の雰囲気を持つ「ネガフィルム調」もけっこう気に入ってしまった。全く違うからこそここぞと言うときに使いどころがあるのではないかと思う。

 願わくは「ポジフィルム調」同様にAdobeのCameraRaw /Lightroomのプロファイルにも追加されて欲しいのだが……
 

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