広角単焦点一本勝負! 伊丹空港に着陸する飛行機を千里川土手で撮る

2023-09-09

 短い神戸での滞在を終えて東京へ帰りがけに、1時間くらいぽっかりと空いた時間が出来たので、ここ数年ずっと訪れたいと思っていた千里川土手に行ってみることにした。記録をたどると前回千里川土手に行ったのは2016年冬のことなので、実に今回は7年半ぶりになる。

 飛行機写真好きな人たちの間で千里川土手と言えば超有名な定番撮影スポットだし、そうじゃない人でも千里川で撮影された飛行機の写真は一度くらい目にしているのではないかと思う。Nikon Z 8の発表時のプロモーション動画や作例でもここで飛行機を撮る様子が使われていたし、検索すればいくらでも作例は出てくる。

 いわば定番撮影スポットすぎて、すでに絶景写真のひとつとして消費され尽くしてはいる感はあるのだが、やはり自分で撮ってみないことには何も始まらない。

迫り来る着陸機Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f4.0, 1/2000, ISO64
 しかし今回持っているのは26mmと40mmのレンズしかない。カメラはZ 8なので飛行機撮影に不足はないが、レンズは通常では飛行機撮影(特に飛んでいる飛行機の撮影)には使われることがほとんどない広角レンズだ。

 しかし千里川土手は滑走路端にあまりに近すぎるので、このくらいの広い画角のレンズでも十分に楽しめる。というより、こういう撮影が出来ることこそ千里川土手が他の空港の撮影スポットとは一線を画すところだったりする。
 

頭上を通過するB737-800Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f2.8, 1/2000, ISO64
 JALのB737-800が頭上に迫ってくる。感覚的にも非常に近い。B737-800は旅客機としては小さい方というイメージがあるが、こうして見ると十分すぎるくらい大きな飛行機だ。150人以上の人が乗れるのだから当たり前なのだが。

 機体の下面が緑色にかぶっているのはカメラのホワイトバランスのせいではなく、千里川土手周辺の緑の草むらを映しているから。同じ理由で冬の新千歳では機体の下面は真っ白に輝くし、下地島では珊瑚礁の海によってエメラルドグリーンになる。
 

J-AirのE170 逆光Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f2.8, 1/2000, ISO64
 J-AirのエンブラエルE170。B737-800よりさらに二回りくらい小さい飛行機だが、ほぼ真上を通過していく迫力はすごくて鳥肌が立つ! ちょうどお昼過ぎの真夏の太陽を遮っていく飛行機は美しい。
 

まもなくタッチダウンNikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f4.0, 1/2000, ISO64
 そしてすぐにタッチダウン。空港側を向いたこの景色が有名(特に夕景〜夜景が美しい)なのだが、典型的な千里川土手からの飛行機写真を撮るにはやはり望遠レンズが必要だ。いずれZ100-400mmを持ってきて挑戦したい。
 

千里川土手上空にさしかかったJALのA350-900Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f4.0, 1/2000, ISO64
 そうこうしているうちにJALのA350-900がやってきた。那覇から飛んできたらしい。A350はいつのまにか羽田線からは消えていて、今伊丹空港で見られるA350は那覇便だけのようだ。狙ったわけではなかったのだが結果的にちょうど良い時間だった。
 

千里川土手上空を通過したANAのB777-200ERNikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f4.0, 1/2000, ISO64
 さらに羽田からやってきたANAのB777-200ER。-300に続いて伊丹空港で見られる機体の中では2番目に大きいやつ。JALからは引退間近でレア機扱いされているが、ANAのB777は国内線にまだたくさん飛んでいる。先行きがどのくらいあるか分からないが、世代交代の話は聞かないのでどうなるのだろうか?(B787-10に置き換えていくとか?)

 それにしても千里川土手で見るA350やB777の迫力は本当にすごい。このクラスの大型機が頭上を通り過ぎると、少し遅れて後方乱気流による猛烈な風圧を体感することが出来るし、空気が発するヒュルヒュルという独特の音が響き渡るのを聞くことが出来る。こんな大型機が風を切って飛んでいく様を実際に肌で感じることができるなんて、日本国内ではここくらいではないかと思う。
 

ANAのB767-300ER真正面Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f4.0, 1/2000, ISO64
 滑走路と反対側には進入灯火などの空港設備が並んでいる。つまりこの辺が滑走路の中心線上になるわけで、ここに立っていれば飛行機は真っ直ぐこっちに突っ込んでくるように見える。やってきたのはANAのB767-300ERスタアラ塗装機だ。どこまで引きつけられるかギリギリを探るのが楽しい。
 

千里川土手の風景Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f2.8, 1/2000, ISO64
 土手は川を挟んで2本、ずっと空港沿いに伸びていていろいろなポジションをとることが出来る。超望遠だと撮影ポイントは(一般的には)滑走路の延長線上にほぼ限られるが、広角だと「空港周辺の風景」としていろいろ撮りようがあって面白い。

 35℃超えの日陰の少ないなかで汗だくになりながら歩き回ってしまった。26mmというスマホ画角のレンズは意外にこの場所と相性が良い。もちろん超広角があれば飛行機の真下に入って、もっと迫力のある、パースを強烈に生かした飛行機写真が撮れるだろう。あるいは少し離れて標準域で撮るのもありかもしれない。
 

JALのB787-8Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f4.0, 1/2000, ISO64
 羽田からやってきたJALのB787-8が降りてきた。翼の長い787は特に広角レンズのパースが生きやすいと思う。地上の風景が入らなかったのはさておき、26mmの画角でフルに機体が入るポイントを探って撮ってみた。超広角があればもっと寄れるのに!

 なお飛行機までの距離が近いだけに、スピードも猛烈に感じる。短い時間でいろいろ探りながらカメラのの設定を詰めてみたが、結局Z 8の連写速度に頼るのが一番だ。連写速度は15fpsで、AFはもちろん飛行機認識モード、全画面のオートエリアAFにまかせきった。また安全を見てシャッター速度は高速に設定し、確実に止めて写すことにしたが、慣れたらスローシャッター気味にして流すのも良いかもしれない(次回以降の宿題)。
 

 これは動画バージョン。音があるし静止画では伝わらない迫力が確実にあると思う。とはいえ、この動画自体は静止画撮影の片手間に動画モードに切り替えてただ手持ちで撮ってみただけのものだ。

 4K/60p H.265/HEVC 10bit HLGで撮影し、Final Cut Pro Xで3本のクリップをつないで書き出し、Youtubeにアップロードした。HDR再生が可能な端末とアプリであれば夏空の眩しさが感じられる明るい動画として再生されるはずだ。
 

羽田空港第一ターミナルの夕暮れNikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f2.8, 1/30, ISO160
 と言うことで、千里川土手に滞在できたのは約1時間ほど。その後伊丹空港から羽田へひとっ飛びして帰ってきた。

 羽田に到着するとちょうど日没の時間帯で第一ターミナルから見える西の空が少し焼けていた。千里川土手もきれいなな夕焼けが見られただろうか? 本当は真昼よりもこのくらいの時間帯の方がドラマチックな写真が撮れるのだろう。また今度はたっぷり時間をとって、何かのついでではなく千里川で撮影することだけを目的に訪れたいと思っている。
 

 アクセス方法はいろいろあるのだが、今回は阪急宝塚線の曽根駅からレンタルサイクルを使った。これが一番楽だと思う。土手の近くには以前はなかった駐車場も近くに出来ていたので、関西圏に住んでいるならば車が一番楽だろう。さすがに東京から車で行くのはちょっと遠い(距離ガバ勢ではないので)…… と思いつつ、それもアリかも?とちょっと考えてしまっている。
 

千里川土手で撮影した昔の記事


 

関連記事

コメント2件