2ヶ月ほど前の7月上旬は食べることが叶わなかった新子に思いがけず出会うことが出来た。
5年ぶりの新子は食べられるのか? 「鮨 太郎」で夏の旬を愉しむ -酔人日月抄外伝(2023年7月8日)
お店はいつもの行きつけの寿司屋で新小岩にある「鮨 太郎」だ。立秋も過ぎそろそろ秋の旬の食材が出てくるか?……という気配は、少なくとも体感ではまったく感じられないくらい厳しい残暑が続いている。さらにこの日の東京は台風崩れの大雨が降った日だったが、お寿司が食べたい欲は少しも削がれることはない。
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カウンター席に座ると目の前に焼き上がったばかりの玉子焼きがあったので思わず撮ってしまった。お寿司屋さんと言えば玉子焼きは欠かせない。そして地域やお店によって味に差(特色)が出る部分だ。この玉子焼きには海苔が混ざっているようだ。出汁の旨味か砂糖の甘味か?という単純ではない味わいでとても美味しい。
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お刺身いろいろ。イカやホタテは定番だが、この日はアカムツが出てきた。北陸で採れるとノドグロと呼ばれる魚と同じものだという。皮を炙ってあって脂のジューシーさが引き立つ。
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猛暑が続いていることもあるが、9月の初旬は食材もの面でもまだまだ夏なんだなと実感するのがこの水茄子。シャキシャキして甘みがあってとても美味しい。
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この日の日本酒はその名もズバリ”I LOVE SUSHI”だ。佐賀県の「天吹」という超辛口純米酒で、名前の通りお寿司に合わせることを狙って作ってある。ラベルはいろいろなバージョンがあるようだが、この中トロのイラストは超かわいい。
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生しらすのお寿司。ショウガがピリッと利いている。これも夏の旬だろうか。超美味しい。
さらにいつも通り赤酢のシャリに握られた格好イイ江戸前寿司がこれでもかと出てくる。格好良いだけでなく見た目の何倍も美味しい。
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そしてなにも言わずにそっと目の前におかれたのは、この青白く輝く一貫の寿司。そうそう、最近の〆はだいたいコハダだよね…… !!! いや違う! 2枚付けだけどこれは紛れもなく新子ではないか!
慌てふためく我々を見てニヤニヤとする大将。今年はすっかり諦めていたのに思いがけず巡り会えてしまった。江戸っ子は見栄を張って4枚付けとか8枚付けとか、いやオレは10枚付けを食べたことある、などと自慢話をしがちだが、実際のところ4枚とか2枚とか、そのくらいの方がちゃんと稚魚ながらもコハダの風味が味わえて美味しい。
新子が食べたいというと大将は「高い上に手間ばかりかかって何が良いのかさっぱり分からない」みたいなことを言って嫌がるのだが、結局ちゃんと用意してくれるあたりよく分かっている。我々は粋がりたいだけの○○なのだと(○には好きな字を入れててほしい)。
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最後は余り物のネタで太巻きを作ってくれたり、野菜とウニを取り合わせた大将の気まぐれサラダを出してくれたり、さらに「そういえば珍しいものが……」ということで、クジラ刺しを出してもらったりした。幸せすぎる。
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最後はいつも通り〆のビール。アサヒのマルエフはしっかりした苦味がありつつさっぱりしていて美味しい。
5年ぶりの新子を食べることが出来て最高に幸せな夜だった。また来年を楽しみにしよう。次はぜひ8枚付けくらいのやつを。