羽田空港の第3ターミナル(旧国際線ターミナル)近くに「羽田イノベーションシティ」という新しいショッピングモールのようなものが出来るらしい。その一部が今年の7月に暫定オープンしている。ここには羽田空港を見通せる展望デッキがあって、新たな撮影スポットとして期待されているのだ。
ボチボチと写真が上がってきているのだが、実際に体験してみなくてはなるまいということで、夏休み中の猛暑の日にカメラを持って出かけてきた。
場所はこの辺だ。B滑走路の西側(04端)にある。環八と多摩川河口の間の再開発著しい地域で、恐らく沖合展開する前の旧羽田空港の各種施設があったあたりだろう。商業施設なので駐車場もちゃんとあるし、京急または東京モノレールの天空橋駅とも接続しているので、交通の便はとても良い。
そしてこの羽田イノベーションシティはちゃんと分かってる人が企画、設計したのだろう。羽田空港を見通せる素晴らしいオープンデッキが用意されている。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(500mm), f7.1, 1/800sec, ISO100, -1/3EV
B滑走路22から離陸して行くANAのB787-8。羽田イノベーションシティの屋上デッキからこういう写真が撮れるのだ。飛行機の離陸シーンとしては平凡だが、これは今まで羽田周辺ではなかなか撮れなかったアングルだ。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(200mm), f7.1, 1/800sec, ISO100, -1/3EV
そして離陸機としては頭上のかなり近いところをかすめて行く。APS-Cで200mm(フルサイズ換算300mm相当)でこの距離感だ。B787相手なら100mmで機体全体が収まるくらいだろうか。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(200mm), f8.0, 1/1000sec, ISO100, -1/3EV
さらに追いかけて行けばバックショットも撮り放題。22を離陸した飛行機は川崎市街地を避けるためすぐに左に大きく旋回していく。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(330mm), f8.0, 1/800sec, ISO100, -1/3EV
B滑走路の離陸機だけではなく、C滑走路やA滑走路への着陸アプローチもなんとかなる。東京スカイツリーも第2ターミナルのデッキよりは撮りやすい。
ただ全体的に真夏の間はかなり上空まで空気の揺らぎでやられてしまうから、もう少し涼しくなってからの方が良いかもしれない。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(400mm), f5.6, 1/1000sec, ISO125, -1/3EV
着陸機を追ってると東京スカイツリーだけでなく、若洲の風力発電や葛西臨海公園の観覧車、さらに東京ゲートブリッジも良い感じに掠めてくれる。
AおよびC滑走路のほうはライトアップが点灯する夜の方が良い写真が撮れそうな気がするが、このルート(16R/L)で着陸してくるのは午後3時以降の3時間に限られる。冬至の頃なら午後5時には暗くなってるのでいけるかも知れないが夏は無理だ。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(500mm), f6.3, 1/1000sec, ISO100, -1/3EV
16RにアプローチしてくるANAのB787-8。夏らしい積乱雲が空に湧いていた。夕景だったら完璧だ。ただ実際はちょっと東京の淀んだ空気のせいで色がどうにもきれいに出なかったので、ハイコントラストなモノクロで現像してしまった。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(390mm), f5.6, 1/640sec, ISO160, -1/3EV
なお、お盆前の夏休みシーズンだったが、やはり例年と比べると大幅減便されていることに代わりはない。噂には聞いていたが、羽田空港はそこら中に出番のない機体がストアされている。
それでも多くは日によりローテーションしていると思われるが、ときどきあちこちに目張りやカバーをしてあって、本気でしばらく動かしてないと思われる機体もあった。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(400mm), f6.3, 1/200sec, ISO100, -1/3EV
午後6時になりだいぶ日が傾いてきた。飛行機写真的にはこれからがハイライトかも知れない。すこしシャッター速度を落として流す練習をしよう。なおこの背後にもやはりストアされている機体が沢山並んでいる。本来ならこの辺はもっと殺風景なのかも知れない。
16Rに着陸するこのANAのB787-9はカナダのバンクーバーから飛んできたようだ。現時点では非常に数少ない国際線だ。なにしろアジア便がほとんどない。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(270mm), f5.6, 1/500sec, ISO220, -1/3EV
そんな中でも羽田はやはり国内最大の超過密空港なので、複数の飛行機が交錯するそれらしい光景はそこら中で見られる。
伊丹行きのJAL B787がB滑走路から離陸するのを期待して待っていたのだが、なんと16Rから行ってしまうようだ。というか、この日はこのANAのB777の到着を最後に、新ルート運用が終了してしまった。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(200mm), f5.6, 1/500sec, ISO140, -1/3EV
なお、すでに少し触れたが、この羽田イノベーションシティから写真を撮るには、南風新ルート運用されてることが前提になる。単にボケッと飛行機を眺めたいだけならその限りではない。だから冬になるとちょっと難しいかも知れないし、いずれにしろ1日あたり3時間ほどしか運用されないのだ。
Nikon D500, AF-S 200-500mmF5.6E ED VR(330mm), f5.6, 1/800sec, ISO125, -1/3EV
ハイライトとなるのはやはりB滑走路、22からの離陸シーンだ。だが、南風新ルート運用されていたとしても、22から離陸するのは伊丹含む西日本方面の便のみだ。ただし福岡は含まれないらしい。那覇も便によるようだ。
だから減便と機材縮小されている現時点では、ほとんどがB737とB767で、B787はごく希だった。できればA350を狙っていたのだが飛んでこなかった。これもそのうち運航が正常化したら変わるのかもしれない。
残念ながら一時復活しかけた国内線運航便数は、9月からまた減便する方向にいくらしい。今冬はどうなるのか心配だ。
いずれにしてもここは羽田周辺では久々にとても新鮮な写真が撮れる新撮影スポットだ。南風新ルート限定というレア度も良い。そのせいか、同じことを考えている同業者(飛行機写真マニア)が集まりやすい。天気の良い週末などは結構混むのかも知れない。