県営名古屋空港のそばにある「あいち航空ミュージアム」でYS-11展を見てきた

2020-02-22

 セントレアでFLIGHT OF DREAMSを見た後、電車とバスを乗り継ぎ、県営名古屋空港へ移動した。目当ては空港の脇にある「あいち航空ミュージアム」だ。この一帯は三菱重工など日本の航空機産業の中心地とあって、主に日本製の航空機にまつわる歴史などが展示されている。

 ここで今年の4月上旬まで「日本の翼 YS-11展」なる特別展示が行われているということで、是非行かなくては!と思っていたところなのだ。B787初号機よりもこっちの方が本来の目当てだったと言っても良いかもしれない。何しろ期間限定なのだ。

YS-11PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(22mm), f5.0, 1/40sec, ISO400, 0EV
 大きなハンガーをそのまま博物館にしたかのような建物の中に、所狭しと引退した古い飛行機やヘリコプターなどが並んでいた。中でも一番の目玉はYS-11の実機だ。

 このYS-11は航空自衛隊で1965年から2017年まで(なんと52年間!)現役で飛んでいた機体だ。セントレアのB787同様にラストフライトでここまで飛んできて、そのままこの博物館に収まり余生を過ごしている。
 

YS-11PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(19mm), f5.6, 1/40sec, ISO400, 0EV
 この機体は特別展示ではなく常設展示されているので、おそらくいつ来ても見ることができる。土日祝日は機内に入ることも出来るらしい。この152号機は航空自衛隊機と言えどもVIP輸送用のP型なので、旅客機のようにちゃんとした内装とシートが設置されているそうだ。

 訪れた日は平日だったので機内は公開されていなかった… 残念! その代わり全体的に博物館内は空いていたのだが。
 

YS-11展看板PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(19mm), f4.0, 1/40sec, ISO200, -0.7EV
 さて、肝心の「日本の翼 YS-11展」だが、YS-11実機の脇で行われており、いくつかのパネルが並んでいる。思ったよりもこじんまりとした展示だった。
 

YS-11展 展示物PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(23mm), f4.0, 1/50sec, ISO400, -0.7EV
 展示内容は、開発の経緯などのプロジェクトX的な内容の他に、こうした一般には目にすることがない資料が並んでいた。これは輸出用に改良されたYS-11Aのセールスパンフレット、いわゆるカタログだ。

 なるほど、やはり飛行機の場合も売る側はカタログを配りるわけか…。買う側の立場を想像するとなんか親しみが湧いてくる。
 

YS-11マニュアル類PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(30mm), f4.0, 1/60sec, ISO400, -0.7EV
 さらにこれはフライトマニュアルとトレーニングガイド、そして仕様書だ。フライトマニュアルのコピーは硝子ケースの外に置いてあって、実際に中身を読むことが出来るようになっていた。ページをめくってみたが、もちろん何が書いてあるのか素人には良く分からない。

 いずれにしろ、飛行機にもはこうして説明書類がどっさり付属しているわけで、買った人はこれを熟読… したのだろうか? と想像してしまう。

 これ以外にもYS-11にまつわる様々な資料が置いてあった。
 

YS-33模型PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(21mm), f8.0, 1/40sec, ISO800, -0.7EV
 これはYS-33という幻の国産ジェット機の模型だ。YS-11のあとも国産旅客機の企画案は色々あったらしい。ほぼYS-11の機体のままジェット化したYS-11Jとか、このYS-33とか。そういった幻の企画書やカタログ案なども置いてあった。これは面白い!

 YS-33は100~150席クラスの3発ジェット機で、1500mに満たない地方空港のジェット化を念頭に置いていたそうだ。まさかB737やDC-9と真っ向から戦うつもりだったのだろうか?

 この模型が旧全日空カラー風味になっているところが妙にリアリティがあって不思議な気持ちになってくる。B727と737、そしてDC-10を足して割ったようなデザインはちょっと洒落ているから、実物を見てみたかった気はする。
 

零戦PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(15mm), f4.0, 1/30sec, ISO400, -0.7EV
 その他にもいろいろな飛行機が所狭しと並んでいる。日本の航空産業の歴史と言えば避けて通れない零戦も実機が展示されていた。が、これはリストアした本物ではなく、完全なレプリカだそうだ。
 

EH101PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(16mm), f4.0, 1/30sec, ISO400, 0EV
 これは2018年まで警視庁が使用していたEH101という大型のヘリコプターだ。シングルローターとしては最大クラスではないかと思う。大きいものはそれだけで尊い。というか、格好良い。
 

全日空YS-11模型PENTAX K-1改, HD DFA 15-30mm F2.8ED SDM WR(28mm), f4.0, 1/50sec, ISO400, 0EV
 実機以外にも模型がたくさん展示されていた。全日空のモヒカン塗装が最も似合っていた飛行機はこのYS-11ではないかと思う。

 ちなみにYS-11実機に搭乗した記憶はかすかにある。全日空だったか東亜国内航空だったかは覚えていない。しかし機内でのある出来事が強烈に印象に残っている。

 というのは、離陸して飲み物のサービスが始まった頃に、一部の乗客達が何を思ったか「もっと高く飛べ!」と騒ぎだし、CAさんがそれを律儀にもコックピットに伝えたらしく、しばらくしてからエンジンとプロペラが唸りだして機首が上がり上昇を始めた。その後「これがYS-11では限界の最高高度です」とアナウンスが入って客室内は拍手喝采… という記憶だ。

 昭和のこととは言え、飛行機の運航がそんなにおおらかだっただろうか? もしかしたらあれは夢というか妄想なのかも知れない、と少し自分を疑い始めている。
 


 「あいち航空ミュージアム」は、県営名古屋空港に隣接しているが、ターミナルビルからは少し離れている。名古屋駅前からでている県営名古屋空港行きのバスに乗れば、いずれにしろミュージアム前にも止まるので問題ない。ターミナルと行き来したい場合も、そのバスに乗れば楽ちんだ。
 

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