iPhone 11 Pro Max があれば GR III は不要になるのか?

2019-10-28

 最初に書いておくがこれは「煽りタイトル」だ。ついでに結論も先に書いておくと「そんなことは全くない」となる。それどころか、以下の内容はiPhone 11 Pro Maxを手に入れてからこの1ヶ月の間に撮った写真を貼りつつ、ちょっと感想を書いただけのものだ。

 ただこの間、iPhone 11 Pro Maxを中心に使っている間はGR3はほとんど使わなかった。というかあまり同時に使う気になれないという点で、どこか交差する部分はあると思う。

 すでにコンパクトカメラ市場はスマホによって壊滅させられたわけだが、もしかしてGRのような大サイズセンサーを積む高級コンパクト機もやっぱり駆逐されてしまうのではないか?と、スマホカメラの進化に感心しつつも、カメラクラスタの一人としては心配しているのは本当だ。

地下鉄のトンネルiPhone 11 Pro Max, 4.25mm(広角), f1.8, 1/8sec, ISO1000, ナイトモード
 地下鉄のトンネルをホームの端っこから撮ってみた。ナイトモードを使っている。撮って出しではなくて後調整しているのでHDRっぽさは少し強調されてるかも知れない。いずれにしろナイトモードはかなり強力だ。

 なお、ここに貼った写真は個人的なポリシーにより全て3:2に切り出してある。また撮って出しではなくiOS/mac OSの写真アプリかLr mobileで調整している。
 

白駒の池の紅葉iPhone 11 Pro Max, 1.54mm(超広角), f2.4, 1/480sec, ISO20
 iPhone 11シリーズのカメラで一番特徴的なのは超広角カメラだ。画角はなんとフルサイズで13mm相当だという。超広角カメラではポートレートモードもナイトモードも使えないのだが、広い画角と強烈なパースはそれだけでちょっと変わった写真が撮れる。
 

白駒の池周辺の苔の森iPhone 11 Pro Max, 1.54mm(超広角), f2.4, 1/120sec, ISO200
 しかしこの超広角カメラはかなり歪んでいる。しかも単純な歪みではなくグニャグニャと変な形をしているので、Lightroomなどで補正することも出来ない。なのでその歪みが気にならないように使うのがコツではないかと思う。
 

ビリエットの看板iPhone 11 Pro Max, 6mm(望遠), f2.0, 1/100sec, ISO32, ポートレートモード
 ポートレートモードも進化している。被写体認識にはまだ苦手なものがあって完璧ではないが、上手くはまるといわゆる「一眼並み」に仕上がることがある。

 背景として合成するボケは画像処理ではなくて、実際にカメラのピントをずらして撮っているのだろうか? そうだとすれば距離によるボケ量の違いなども自然になるのは当然かも知れない。
 

ラーメンiPhone 11 Pro Max, 4.25mm(広角), f1.8, 1/50sec, ISO64, ポートレートモード
 広角カメラでもポートレートモードを使用できる。最短撮影距離が縮まるのでテーブルフォトで使いやすい。そしてボケ量も控えめなので、境目の不自然さも目立ちにくく使いやすいと思う。

 ちなみにボケ量は写真アプリで後から調整することが出来る。ボケ量は疑似的にF値で表され、最大F1.4から最小F16まで設定できる。F16にするとほぼポートレートモード無しと同じ状態になる。 
 

鈴鹿サーキットのベッテル人形iPhone 11 Pro Max, 6mm(望遠), f2.0, 1/440sec, ISO20, ポートレートモード
 でもポートレートモードの真価を発揮するのはやはり人を撮る場合だろう。被写体認識もボケ画像とのブレンドも、やはりこういったシーンに最適化されてるのだろうと思う。

 もちろんカメラクラスタ的に細かいことを言えば、背後のボケ量に対して被写界深度が広すぎる(ルクレール人形の顔から手前の女性まで全部ピントが来ている)みたいなところに文句を付けることはできるのだが。
 

駅のホームからiPhone 11 Pro Max, 4.25mm(広角), f1.8, 1/50sec, ISO125
HONDAの看板iPhone 11 Pro Max, 4.25mm(広角), f1.8, 1/10500sec, ISO32
 何も考えずにカメラアプリを立ち上げて、ただシャッターを押せば広角カメラで普通に綺麗に撮れる。ほぼパンフォーカスで12Mピクセルしかないが先鋭感もそこそこある。

 撮って出しでは発色は薄くて、かといってちょっと彩度をいじると突然ベタベタになるし、ハイライトに粘りが全くないあたりはいかにも豆粒センサー的で、情報量はあまりないと感じる。
 

東京の夕焼けiPhone 11 Pro Max, 6mm(望遠), f2.0, 1/1250sec, ISO20
鈴鹿サーキットの観覧車iPhone 11 Pro Max, 6mm(望遠), f2.0, 1/1900sec, ISO20
 望遠と言っても52mm相当だから、本当は標準と呼びたくなる。だから普通に風景を切り取る場合にも望遠カメラはけっこう上手くはまる場合がある。超広角よりももしかしたら使い道は多いかも知れない。
 

オリオン座iPhone 11 Pro Max, 4.25mm(広角), f1.8, 1/2sec, ISO1600, ナイトモード
 最後に再びナイトモードを撮ってみた一枚を貼っておく。

 これは良く晴れた未明、都内で夜空を撮ったものだ。真ん中あたりにオリオン座が映っている。解像はしていないがオリオン座大星雲も映っている。肉眼で見える+α程度の星は十分に写るようだ。

 ということは、条件のもっと良い場所に行けば恐らく天の川を撮ることも可能だろう。もちろん後処理がちょっと必要になるとは思う。
 

iPhone 11 Pro Max

 なお、近々iOS13.2にアップデートされると「DeepFusion」なるAI的な機能がさらにカメラに追加され、もっともっと写真の質は上がるらしい。特に細部の表現力が改善され、先鋭感も質感も改善すると言われている。実際にDeepFusionによってどのくらい撮影結果に変化が出るのか、楽しみにしている。

 ちなみに冒頭で「GR3が要らなくなるなんてことはない」と書いたが、具体的に撮った写真を比べたりはしていない。そんなの答えは最初から分かりきってるから。撮れた写真の「質」はもちろんだが、撮影体験というか撮影するという行為の楽しさが全く違う。所詮、偽物は本物に勝つことは永遠に出来ないのだ。写「真」に価値がある限りは。
 
 具体的にどの辺が?と言われると説明は出来ない。ミラーレスさえ受け入れられない一眼レフ原理主義者の戯れ言だから、突っ込むのは野暮ってものだ。
 

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