Zマウントの廉価版単焦点レンズ NIKKOR Z 40mm f/2 を手に入れた

2021-10-14

 最近カメラ業界で40mmが流行っているらしい。昔からあった焦点距離ではあるのだが、最近特に40mmとか40mm相当の画角を持ったレンズやカメラの新製品が立て続けに登場している気がする。

 観測範囲の問題かも知れないのだが、40mm相当の単焦点レンズを積んだRICOH GR IIIxの登場と、それとほぼ同時にニコンからもZマウント用の40mmレンズが発表された。性格や方向性は違うものの「40mm(相当)」という重要な点で一致しているではないか。

 GR IIIxは製品ライフがまた長いはずなので、1年後くらいに手に入れればちょうど良いのではないかと思う。なので(?)今回はまずZマウントで40mmを使ってみることにした。40mm(相当含む)を使うのは初めてではないのだが、改めてじっくり体験してみようではないか。

開封&外観

 実はNIKKOR Z 28mm f/2.8 SE の予約を先に入れてあったのだが、それをとりあえずキャンセルし、改めて40mmF2のほうに注文を入れてみた。発表から数日経過していたので、初期出荷分は無理かも?と思っていたのだが、ちゃんと発売日に届いた。

NIKKOR Z 40mm f/2 箱

 まずは箱。サイコロに近い真四角の箱だ。外観こそ普通のZ仕様だが中身の梱包はかなり簡素な感じだった。でも今の時代は高いレンズでもだいたいこういうものだったかも知れない。

 このレンズはZマウントの撒き餌レンズといえるもので、40mmF2でフルサイズ対応でありながら実売初値で3万円程度だった。パンケーキと言えるほど薄くはなかったりしてニコンらしい無愛想さが満開だが、この値段の安さによって大抵のことは正当化されると思う。
 

NIKKOR Z 40mm f/2

 同梱物もほとんどなくて、本体と前後キャップに保証書などの書類が少々。本体にもスイッチ類はなく可動部もバイワイヤ式のピントリングのみ。

 重量はわずか170gしかない。最短撮影距離は0.29mと焦点距離のわりに寄れるが、最大撮影倍率は0.19と思ったほど大きくはない。

 フードは同梱されていない以前にそもそも製品として用意されていない。保護フィルター付けない&フード付ける派としては困るところだが、徹底的に軽快さを追求するという意味でこのままフードなしで使うのも良いかと思う。
 
 ちなみに手に入れてから気がついたのだが、前玉にフッ素系のコーティングは施されていない。
 

NIKKOR Z 40mm f/2 前玉側

 前玉側はこんな感じ。電源が入っていないと絞りは常に5.6あたりまで絞られた状態になる。他のZマウントレンズもそうなのだろうか? 絞り羽根がよく見えないズームレンズしか持ってないので気がつかなかっただけかも知れない。

 それにしても前玉はわりと小粒で、これでフルサイズ対応のイメージサークルを持つ開放F2.0のレンズとは思えないが、もちろんこれにはカラクリがある。
 

NIKKOR Z 40mm f/2 マウント側

 マウント側はこんな感じだ。なにより廉価版の象徴であるプラスチックマウントが目立つ。プラマウントのレンズを手にするのは久しぶりだ。Qマウントのトイレンズシリーズ以来かも。

 そして前玉と逆で後玉がでかい。フレアカッター的な四角いフレームの向こう側には、巨大なZマウント径に近いくらいの大きな凹レンズがいる。前玉が小さく後玉が大きいのは、バックフォーカスが短くできるミラーレスの特性を生かし切った設計なのだろう。ウネウネと波打ったレンズこそ使われていないが、スマホカメラ的とも言える。

 だから一見すると何の特徴もない、ただ安いだけのレンズのようだが、その一方で実はZマウントだからこそ成立しているという面もあるのだと思う。
 

Nikon Z 5 + NIKKOR Z 40mm f/2 斜め
 
 廉価版ということもあってか、ニコン公式でもこのレンズのカメラボディ装着イメージの写真にはZ 5が使われている。そう、Z 5にこそ似合うレンズなのだ。

 これを「ジェネリックGR IIIx」として扱おうと思ったのだが、この組み合わせだとフルサイズで開放F2だし、EVFもついているし、画角以外はどこも似ていないことに気がついた。実際にはこれでGR IIIxの雰囲気を味わうのはというのは難しいだろう。

少し撮ってみた

 Zマウントでは初の単焦点レンズだ。とりあえずジェネリックGR IIIxのことは忘れて試撮してみた。

コスモスNikon Z 5, NIKKOR Z 40mmF2, f2.0, 1/4000sec, ISO100
 うかうかしていたら東京でももうコスモスの季節が始まっている。というか最盛期は過ぎてしまっただろうか? やはり大口径単焦点レンズとなれば寄って開けるのが基本だろう。

 思わず気軽に撮ってしまうが、40mmのF2は思ったよりもピント薄い。EVFは見たままなんてのはウソじゃないだろうか? とにかく慣れていないのでその辺の感覚が今ひとつ分からない。
 

枯山水Nikon Z 5, NIKKOR Z 40mmF2, f4.0, 1/500sec, ISO100
 なぜか近所の公園にあるわりと本気の枯山水。とは言え手入れが行き届いてないのか、微妙に雑草が生えているのだが。

 細かい解像度とかどうとかは分からないが、こういうカチッとしたザラザラした質感のものもがそのまま写るし、デジタル補正してると思われるが歪みも感じられなくて良い感じだ。思わず2段も絞ってみたが、最近のレンズらしく開放が最高画質設定だったりするのだろうか?
 

富岡八幡宮の手水Nikon Z 5, NIKKOR Z 40mmF2, f2.0, 1/1000sec, ISO100
 金の鳳凰的な何か。地元神社の手水舎で水を吐いていた鳳凰なのだが、ホースがつながれてちょろちょろと水が流れるように改造されていた。水滴が飛び散らないため? コロナ対策だとしたらちょっとピントがずれてるような気はするけど… まぁいいか。

 今度は前ボケで思い切りやってみた。量も質も申し分ない。後の玉ボケも結構良いのではないかと思う。噂通り端っこの方まで円形を保っているのがすごい。前玉こんなに小さいのに。
 

下町Nikon Z 5, NIKKOR Z 40mmF2, f5.6, 1/2000sec, ISO100<
 下町のゴチャゴチャした街並み。40mmという焦点距離&画角のせいか、とにかく真っ直ぐな線が気持ちよく写る気がしている。実際平面性も良く歪みも少ないのかも(デジタル補正込みなのは当然として)。そしてやっぱりこういうパキパキな感じが良い。
 

ドルチェNikon Z 5, NIKKOR Z 40mmF2, f4.0, 1/25sec, ISO125
 久しぶりに外食で食べたドルチェ盛り合わせ。この時点で絞りは開けすぎないことを覚えた。近い距離で撮る食べ物ならなおさらだ。

 以前マイクロフォーサーズでテーブルフォト用に40mm相当のレンズを使っていたことがある。何となく手放してしまったが、やはりこのくらいの画角は料理やお皿などのフォルムも崩れにくく、影もできにくくほどよい距離で切り取れるので、テーブル上の料理などを撮るのにちょうど良いと思う。
 

 なお、ここに並べた5枚は概ね(Lightroomのカメラプロファイルによる)クリエイティブ・ピクチャー・コントロールでゴリゴリいじっている。何となくそんな遊び心を呼び起こすレンズだと思う。端的に言って楽しい。
 


 あっさりと発売日に手に入ったのでそんなに品薄じゃないかもと思っていたが、やはりそんなことはないようだ。Amazonに限らず概ね有名な量販店では今のところ入荷待ちになっているようだ。
 

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