さて、先週手に入れてしまったPENTAX KF。新しいけど新しくない(発売日的には)最新の一眼レフカメラだ。
誰も期待も予想もしていなかったPENTAX KFが登場した(酔人日月抄外伝) 2022年11月28日
どんな使い心地でどんな絵が撮れるかはだいたい想像が付いているのだが、そうは言っても、実際に触って、シャッターを押して撮ってみないと分からないこともあるかもしれない。最近は特に、そういうスペックなどでは分からない「相性」みたいなものに敏感になっている。
ということで、まずは近所に散歩がてら持ち出してみることにした。折しも東京都心部も紅葉真っ盛り。天気は今ひとつだったがそれもまた良し。組み合わせるレンズも小型軽量、お気軽であることを優先して、小さい単焦点レンズを組み合わせることにした。
PENTAX KF CB, HD FA35mmF2, f4.5, 1/160, ISO200
KFに合わせる標準レンズはいろいろな面で本来DA35mmF2.4が最適だと(個人的には)思うが、手持ちのレンズの中からHD FA35mmF2で代用することにした。(イメージサークルと明るさの点で)大は小を兼ねるわけで。
雨上がりの公園には大きな水たまりが出来ていた。視線をグッと落とすとそこにはウユニ塩湖あるいは父母ヶ浜……とまではいかないが、そこそこ良い感じの銀杏リフレクションがライブビュー画面に映っている。慎重に水平を取り中心線を合わせてそっとシャッターを切った。ガシャコン!という音と振動は記憶にあるK-30やK-xのそれより大人しい気がする。
PENTAX KF CB, HD FA35mmF2, f2.2, 1/250, ISO100
PENTAX KF CB, HD FA35mmF2, f2.2, 1/200, ISO100
最近急に目にするようになった山茶花。色が濃いのにわりと薄暗いところに咲いていたりして、写真映えしにくい花だという先入観があるので、普段はスルーするのだが、新しいカメラを持っているせいか撮ってみようという気になった。
とても色は濃いのにやはり地味だ(必ずしもネガティブな印象ではない)。
PENTAX KF CB, FA50mmF1.4, f1.8, 1/400, ISO200
もう一つ、KFに合うのではないかと思って持ち出してきたレンズはFA50mmF1.4。ほとんどクラシックレンズと言ってもいいかもしれないが、なぜかいまだにディスコンにならずにラインナップに残っている1本だ。描写性能という面で、完全に今どきのデジタルカメラの性能に追い付いていないのだが。
ボケはガチガチ、開放付近は滲みまくりで、フリンジも酷いじゃじゃ馬というイメージがあったが、いやいやどうして、そんなに悪くない。レンズとかもうこのサイズでいいのでは?と思えてくる。
PENTAX KF CB, FA50mmF1.4, f2.0, 1/400, ISO200
PENTAX KF CB, FA50mmF1.4, f2.5, 1/1000, ISO200
銀座に野暮用で出かけたときにスナップをしてきた。中央通りでは歩行者天国をやっていてスペースが十分にあるためか、75mm相当の中望遠がむしろ嵌まった感じで、ずっとFA50mmF1.4ばかり使っていた。
ここで、バリアングルも思っていたほど使いづらくないかも知れない、と思った。液晶が手前に張り出して出てこないので、ホールディングが安定するし、視線を下げすぎずに済む。レンズ光軸とのズレについては、どうしてもまごまごするが、一長一短の範囲なのではないかと思った。
なお、銀座は観光地だし写真を撮ってる人も多いし、一眼レフカメラを構えていてもそんなに浮いたりはしない。それでもキラキラのクリスタルブルーのボディはやや人目が気になった(自意識過剰)。
PENTAX KF CB, HD FA43mmF1.9 Limited, f5.6, 1/1000, ISO200
冬至に近づきつつあるこの時期の太陽はかなり低い。わりと日中なのに影が長く伸びている。
ちなみにここからはHD FA43mmF1.9 Limitedに付け替えた。外装の質感がちょっとちぐはぐだが、サイズ的にはKFに合っているし、気軽に使いやすい。そして、このレンズだとスペシャルなカスタムイメージ「九秋」が使える。
PENTAX KF CB, HD FA43mmF1.9 Limited, f4.0, 1/500, ISO100
PENTAX KF CB, HD FA43mmF1.9 Limited, f2.8, 1/1600, ISO200
「九秋」は紅葉を撮るには発色が淡すぎないか?と思っていたが、先日行われた「PENTAXミーティングオンライン 2022秋」では、淡い中でも紅葉の紅を鮮やかに表現するというコンセプトで作られている、という解説がされていた。
と言うことで改めて、紅いものを撮ってみた。なるほど、確かにそうかも知れない。しっかりと見頃を迎えた濃い紅葉は、暗く沈むこともなく、朱色にすすけることもなく、べっとり飽和することもなく、良い感じに写るようだ。早く言ってよ!
PENTAX KF CB, HD FA43mmF1.9 Limited, f2.0, 1/1250, ISO100
逆光に透けるモミジ。青空と葉っぱの緑と枯れかけの茶色と、多くの色が混ざっている一枚。このカットももちろん「九秋」で撮っている。うん、やはりなかなかいいのではないかと思う。
同じカットのRAWデータからカメラ内で別のカスタムイメージで現像したもの。左上が「雅」で右上が「鮮やか」、左下が「フラット」で右下が「里び」だ。
なるほどなるほど。
PENTAX KF CB, HD FA43mmF1.9 Limited, f5.6, 1/400, ISO200
ということで、今のところはこんな感じだ。
最後に現時点のPENTAX KFに関する感想を箇条書きにしておく。
- ボディは思っていたよりずっと小さく軽い(K-1 Mark II比)
- クリスタルブルー綺麗
- K-3 Mark III以前のAPS-C機の光学ファインダーはこんなだったか……
- 測距点が少ない! ひとつ動かすと端っこまで飛ぶ感覚。昔はこうだったっけ……
- グリップは素材のせいか表面柔らかく感じる(いい意味で)
- ダイヤル回しにくい。特に前
- バリアングルは思ったより使いやすい
- 新型の液晶は特に目立ったメリットなし。いずれにしろ明るさは十分
- ライブビュー時のAFはPENTAX機歴代トップの快適さだと思う。像面位相差が効いてる?
- 電池は心配したほど減りが早いとは感じない。シングルショットでポストビュー確認、ライブビュー多用して250枚撮っても残量目盛りはひとつも減らなかった
- RAWが14bitある。K-S2まではこのクラスは12bitだったはず。K-70から14bit記録になったらしい。JPEG専用で使うかRAWで使うか迷う。なおAdobeアプリでカメラプロファイルがサポートされることはないだろう。
とまぁ、ファーストインプレッションはこんな感じだ。過度に期待はせず、いつでも気楽に使うことで長くつきあえる一台ではないかという気がする。もしかしたらカメラは(レンズも)もうこれでいいんじゃないか? とさえ思ったが、どうだろうか? もしかしたら自分はどのシリーズでもエントリー機のほうが性に合ってるのかも知れない。
1日遅れたけどKFのFWをアップデート。「冬野」出現を確認した👉 pic.twitter.com/SPfmgrI7wI
— Hi (@hisway306) December 2, 2022
さて、12月1日にはさっそくファームウェアアップデートがあり、冬向けの新しいカスタムイメージ「冬野」が追加された。幸い対象レンズも持っているし、これもさっそく試してみなくてはなるまい。
問題は「冬野」の撮影サンプル画像が雪景色ばかりなことだ。東京には桜も夏空も紅葉もそれなりにあるが、雪だけはめったに見られない。どこか北の方に出かけるしかないか…… (などと妄想している)