新カスタムイメージ「里び」と DFA21mmF2.4 Limited で東京駅周辺を撮る

2021-12-19

 新しいカスタムイメージ「里び」が12月7日にリリースされた。K-3 Mark III向けには正式版が、K-1/K-1 Mark II用にはテスト版がリリースされている。もちろん両機ともにすぐにダウンロードしファームウェアのアップデートを行ってみた。

 そしてさっそく写真を撮りに行こう!となったわけだが、ちょうど東京駅方面へ出かける用事があったのでそこで使ってみることにした。日没前後の夕景で都会の風景となると「里び」のイメージとは正反対かも知れないが、敢えて使ってみるのも面白いだろう。

 どのカメラとレンズを持ち出すかを少し迷ったのだが、今はまだDFA21mmが楽しい。使いたい。そうなるとやはりボディはK-1 Mark IIになる。

K-1 Mark II テストファームウェア Vew 1.30 K-1 Mark II で里び

 K-1 Mark II用の「里び」入りファームウェアはVer 1.30となったが、これはテスト版なので正常動作が保証されていない。現時点では正式版へのダウングレードもできないので、最悪何かあっても自己責任となる。

 「里び」はカスタムイメージ一覧の中ではクロスプロセスの後に付け足された。このやっつけ感がいかにもテスト版な感じだが(もしかしたら正式版でもこのままかも知れない)、縦方向移動で「雅び」と移動できるので、実はそんなに悪い位置ではない。
 

 普段はRAWをLightroomで現像しているのだが、今回はカメラ内で同時記録したJPEGを使っている。少し明るさを調整したものもあるが、自分としては珍しくいわゆる撮って出しだ。

KITTE前PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f4.0, 1/40sec, ISO1600, 里び
 東京駅を出てKITTEに向かう。半月が空に昇っていてブルーアワーの空が美しい時間帯だ。見た目のイメージよりはだいぶ淡い。淡いけれどもこの時間帯の色合いがちゃんと出てるような気がする。「里び」で撮ってみた最初の方の1枚で、これを見て「へぇ〜!と面白い!」と思った。
 

KITTE前(RAW現像)PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f4.0, 1/40sec, ISO1600, RAW現像
 ちなみに同じカットのRAWから「鮮やか」ベースでいつも通り現像するとこんな感じになる。これが普通だと思ってきたが、もしかして色がギトギトすぎる?と思えてきて、過去の写真の仕上げは全て間違っていたのではないか?と一瞬不安になってくる。
 

KITTE内部クリスマスバージョンPENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f5.6, 1/40sec, ISO1600, 里び
 ということで、KITTEの中に入った。有名な吹き抜けにはクリスマス用のディスプレイがされていてとても賑やかな感じだ。
 

東京駅丸の内口の夜景PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f2.8, 1/30sec, ISO3200, 里び
 KITTEにやってきたのはもちろんこの景色を撮るためだ。もう写真スポットとしては消費され尽くしてる景色だが綺麗なことに変わりはない。北口に日本で一番高いビルが建つ予定だが、それが完成したらまた景色は変わるだろう。

 ここは広角が欲しくなるので21mmにはぴったりだ。いや、もっと短い超々広角レンズが欲しいと思えてくる。
 

東京駅丸の内口の夜景(iPhone)Apple iPhone 13 Pro Max, Ultra Wide Camera(13mm相当), f1.8, 1/25sec, ISO1250
 そこでiPhone 13 Pro Maxの超広角カメラを試してみた。なるほどこうなるのか…。ちょっとカメラを下に向けすぎたかも知れない。雑に撮ったせいかイマイチだな、と思ってしまった。だからここは21mmで十分良かったのではないかと思う。

 画角の違いもあるがやはり仕上げの違いがよく分かる。iPhoneに限らずスマホのカメラはこういうシーンの仕上げは鮮やかに仕上げるのが得意なところだろう。それに比べると「里び」は非常に落ち着きがあってレンガの風合いが良い感じだ。
 

東京駅と月PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f2.8, 1/20sec, ISO3200, 里び
 やはり東京駅というか建物は下から見上げた方が良いのではないかと思えてきた。東京駅丸の内口のロータリーは広々としてとても良くなった。駅舎も撮りやすい。

 「里び」は意外に都市の夜景にとても合うのではないかと思う。単に彩度が低くなってホワイトバランスと光源のズレが気にならないと言うだけではなく、人工的な光源の透明感はむしろ強調されるような気がする。色が淡いわりにコントラストが高めだからだろうか。
 

東京駅ドームPENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f7.1, 0.3sec, ISO400, 里び
東京駅ドームの床PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f5.6, 0.3sec, ISO200, 里び
 東京駅と言えばドームの中もやはり映える。だからやっぱり撮らずにはいられない。こここそもっとワイドなレンズが欲しい通ったが、敢えてiPhoneでは撮らなかった。15mmで撮ったことがあるから。

 
ドーム回転PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f5.6, 0.3sec, ISO100, 里び
 ドームの中心に立って真上にカメラを見上げ、スローシャッターのままわずかにカメラを回してみる。この撮り方は以前に見たことがあって一度真似してみたいと思っていた。手ぶれ補正がどう働いてるのか分からないが、このくらいのシャッター速度なら思ったより上手く行ったと思う。
 

里びで紅葉PENTAX K-1 II SE, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f4.0, 1/10sec, ISO3200, 里び
 これは東京駅ではないのだけど、帰り道で撮ったモミジ。もう今年の紅葉撮影は終わりと言った記憶があるけれど、まだ残っている木があると思わず撮ってしまう。そう言えば、ライトアップされた紅葉みたいなやつは撮ったことがないなと思いながら撮ってみた。

 デジタルカメラは(特にPENTAXのカメラは)は赤がベッタリしがちだけど「里び」はそんな気配がまったくない。でもちゃんと赤い。そして夜景にとても良く合う。

 ということで、久しぶりにJPEG撮って出し縛りをしてみた。わりと鮮やかな写真が好きで、RAW現像ではコッテリ仕上げがちなのだが、「里び」の風味はとても気に入った。「銀残し」ほど尖っていないし、今後はRAW+JPEG記録で「里び」のままにしておいても良いのではないかと思う。

 今まで通りRAWを基本的に使うにしても、参照用のJPEGがこの仕上がりだと、彩度を盛りすぎないような戒めになると思う。そしてできればLightroomに「里び」相当のカメラプロファイルが欲しい。「雅び」があるのだから是非。
 


 なお、DFA21mmF2.4 Limitedは本当に素晴らしいレンズだ。何を撮っても嵌まる気がする。いまはまだ新鮮だからかも知れないが、超広角だからという使いにくさがない。これに慣れて飽きたらそれはこれが自分にとっての標準レンズ… というと言い過ぎだけど、外せない1本になるときじゃないかと思う。
 

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