Z8のサブカメラをZ5からZfに入れ替えた

2024-11-17

 Nikon Zfを買った。

 Zfが発売されたのは2023年夏のことだったので、すでに1年以上経っているので今さら感はある。昨年はとにかくZ8に慣れるために他のカメラのことは考えないようにしていたのだが、最近になってだいたいZ8に慣れて理解してきたためなのか、サブカメラをどうするか問題を改めて考える余裕が出てきた。

Nikon Zf + NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

 すでに手元にはZ5があったが、Z8と組み合わせるにはちょっと古いし頼りない。Z6IIやZ7IIも今さらだし、Z6IIIはオーバースペック(&オーバープライス)すぎる。Z5IIはいつ出るか分からない(出ない可能性も高いと個人的には思っている)。ということで、どう考えてもZfしか選択肢はないのだが、なんか旬を逃した気がしてすこし躊躇していた。シルバー版が出てから考えようみたいに見て見ぬフリをしていた。

 しかしキャッシュバックキャンペーンが始まったことで決断するに至った。Zfを買うなら今しかない!と。

Nikon Zf + NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

 思い立ったが吉日ということで、マップカメラでポチッと発注したら2日後には手元に届いた。

 2024年11月時点でのZfの実売価格は27万円弱。PENTAX機をいろいろ整理して貯めてあったポイントが10万ちょっとあって、さらにZ5を下取りに出して約9万円弱。差し引きすると差額は約8万円の支払いとなった。さらに後ほどニコンから2万円がキャッシュバックされてくる予定だ。最終的に約6万円のキャッシュアウトでZfが手に入ったと思ったら非常に安い(錯覚であるのは承知の上で)。

Nikon Zfの箱

 昨年来Youtubeでいろいろな開封動画を見ていたので知っていたはずなのだが、改めて実物のZfの箱に対面してやや驚く。いつものZシリーズ製品の黒+黄色な統一デザインではなくて、Zf専用のグレー地のスペシャルなデザインの箱となっている。格好イイ。しかし残念ながら2万円のキャッシュバックを得るためにこの箱の一部を切り抜かなくてはならない。
 

Nikon Zf + NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

 同梱品など細かいことはざっくり省いて、さっそく中身を取りだしレンズを取り付けてみる。なるほど、このカメラは知ってるぞ!

 オリジナルのFM2に対して、ペンタ部が中央より過ぎるとか、両側のダイヤルの位置が変とか、Nikonロゴ部が引っ込みすぎているとか、そういった違和感はいつの間にか感じなくなってしまった。旧ロゴもダイヤルだらけの軍艦部も、グリップのないツルッとしたボディも、何もかも格好イイ。

 そして実はこのZfのためにレンズも新たに手に入れた。キットレンズになっている40mmはすでに通常版を持っているので、敢えて単品でNIKKOR Z 28mm f/2.8 SEを買いたした。正直言って見た目が一番の理由で28mmが必要なわけではない。26mmも35mmもあるし。でもZfを手にするならSE版のレンズはどうしても必要だと思ったのだ。
 

Nikon Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 Nikon Zf + NIKKOR Z 26mm f/2.8
Nikon Zf + NIKKOR Z 35mm f/1.4 Nikon Zf + NIKKOR Z 24-120mm f/4S

 手持ちのレンズをいくつか付けてみた。やはり小さいレンズの方が似合う。特にパンケーキの26mm f/2.8との相性はとても良い。これだったら無理して28mmを買い足さなくても良かったかもしれない、と一瞬思ってしまうくらいだ

 あとノーマル版の40mm f/2との組み合わせは何とも微妙な感じだ。使い勝手はとても良いはずなのだが、こうなるとこの40mmもSE版にしたくなる。が、ここはしばらく様子を見よう。
 
 35mm f/1.4は見た目がどうこうとは別に、描写性能面での相性が良いのではないかと期待している。

 そして24-120mmはもはや仕方がない。その便利さの前では見た目とか大きさは目をつぶるしかない。実際この組み合わせで使うことは多いだろうと思っている。さらにはまだ試してはいないが14-30mmも組み合わせる機会があるだろう。
 

Nikon Zfのバリアングルモニター

 さて、問題のバリアングル。静止画&チルト派としては何とも残念な部分である。Z8の4軸チルトを体験してしまうとあれがやはり忘れられない。

 実際使ってみると、アングルを決めるのに一手間多いことはそれほど気にならないが、横展開した液晶と(Peak Designの)ストラップが干渉するたびにイラッとする。そしてローアングルで水平を取ろうとしてカメラを動かしていると、何がなんだか分からなくなって目が回ってくる。こんなもの使っていけるのだろうか?心配だ。
 

Nikon Zf + Peak Design

 ということで、まずはバリアングル展開時のストラップとの干渉を避けるために、できる限り左手側にはストラップをつけないことにした。

 今のところ暫定的にZfにはリストストラップ(PeakDesignのCuff)を右手側のみに取り付けておき、パッキングキューブのXスモールをカメラケースとして使うことにした。そのパッキングキューブにはアンカーを取り付けてLEASHにつないで肩から斜めがけできるようにしている。これならいざとなったらLEASHを直接Zfに付け替えることもできる。
 

Nikon Zfの感度ダイヤル周り Nikon Zfのシャッターダイヤル周り

 Zfのダイヤルなんて飾りだ!と言って実際はコマンドダイヤルとボタンで操作をやりくりしているユーザーが多いと聞く。が、今のところ自分としてはこのダイヤルをできる限り使ってやろうと思っている。シャッター速度ダイヤルはなかなか使うタイミングはないと思うが、感度ダイヤルと露出補正ダイヤルはCポジションにせず、そのまま使うつもりだ。

 あと、グリップも(今のところは)付けるつもりはない。この形をこのまま楽しもうと思っている。ガシッと握ることができないなら、結局同じことではないかと思っている。シャッターボタンの位置の問題もあるし、持ち方を工夫すれば何とかなる気がする(今のところは……)。
 

実写してみる

 さっそくZfを持ち歩いて適当に撮ってみた。レンズもほとんどが28mmだ。

すみだ川

青空

 地元なのにあまり隅田川沿いにやってきたことがない。万年橋周辺はスナップして歩き回るにはけっこう良いかもしれない。この地域は微妙に観光地化してきて、休憩に適したカフェなどもたくさんある。
 

空

 紅葉の具合をチェックしに近所の公園を歩いてみた。まだまだ緑色だったが気配は少しある。あと2週間くらいだろうか?
 

交差点

 この時期は日が低いので光と影が良い感じに撮れる…… と思ってカメラを構えていたら自転車が良いところに飛び込んできたのでシャッターを切った。Zfは連写機ではないけれどレスポンスがとても良いので、とっさの瞬間を撮れるのが良い。その辺はZ8に感覚が近い。
 

ラーメン屋

銀杏の大木

 そういえばモノクロモードに切り替える物理スイッチがあるんだっけ?と思い出し、切り替えてみる。「おぉ!」と小さく感嘆したのだが、これも使うのはきっと最初のうちだけだな、と思ってしまった。

 スイッチが動画への切替と一体化しているせいで、どっちに回すんだっけ?と一瞬考えてしまうのが致命的な気がする。今日はモノクロ縛り!みたいに思い込まないと、その場の思いつきでパチパチ切り替えるのは意外に面倒かもしれない。RAW現像派としてはあとで現像すれば……と思ってしまう。
 

新宿のバラ

 ファインダーはニコンのいつものやつだし、AFも限りなくZ8に近い感覚で信頼できる。操作系がかなり違うが、iメニューやらボタンやらカスタマイズを施して、重要なところはZ8に寄せてだいたい似た感じにできる。

 ただし、カスタム割り付け可能な機能が微妙にZ8と違うところがボタンの数や配置の違いよりも気になる。というよりズバリ「AFエリアモードの循環選択」が設定できないのが痛い。唯一のボディ前面Fnボタンに割り当てたかったのに。事前の調査不足だった。どうやらZfとZ6IIIには「AFエリアモードの循環選択」がないらしい。なんで!
 

新宿の紅葉

 色味はだいたいZ8と同じだが、Zfのほうがややスッキリしているかもしれない(感覚)。あとハイライトの粘りも強いかも。高感度耐性よりも個人的には気にする部分だ。ただし画素数が24Mピクセルしかないのは何とも寂しい。Lightroomで等倍拡大したときに「えっ?これだけ?」と思ってしまう。分かっていたことなのだけど。

 あとは動画もそのうち試してみようと思う。
 

さようならZ5

 Nikon Z5を手に入れたのはコロナ禍真っ盛りの2020年暮れのことだった。当時はまだペンタキシアンだったが、ミラーレス機の進化が気になっていたところだった。Z5はフルサイズZマウントのエントリー機であり、機能や性能面で最先端のカメラではなかったが、最新のミラーレスの世界を体験してみるには取っつきやすそうに思えた。

Nikon Z5 + Nikkor Z 24-200mm F4-6.3 VR

 UHS-IIのダブルスロットにマグネシウム合金の筐体、ファインダーも上級機とほとんど同じスペックでボディ内手ぶれ補正も搭載している。ニコンらしいクソ真面目なエントリー機でとてもよくできていたと思う。

 いろいろ思い出はあるのだが、そのあたりを語り始めるとキリがないので、Z5で撮影した写真を4枚だけ選んで以下に貼っておく。

函館山から冬の函館夜景

 真冬の函館山から眺めた夜景。北海道から沖縄まで旅にもよく持ち出した。
 

桜散る

 散り際の桜。特に小型の超広角ズームNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sとの相性は抜群で、むしろこのレンズを使ってみたいがためにZ5を選んだと言ってもそう間違ってはいない。小型で高性能な高倍率ズームとか、ミラーレスならではのレンズを楽しめた体験は大きい。
 

夕暮れのZ

 夕暮れの東京の空にあらわれた一筋の光。その中を羽田に向かう飛行機が横切っていく。24-200mmはZ5のキットレンズとして手に入れた初めてのZマウントレンズだった。24-120mと入れ替えに手放してしまったが、とても良いレンズだった。
 

深夜の止まれ

 深夜の街角。奥のボケの中には実は東京スカイツリーがいる。古い表面照射型のセンサーで高感度性能もそれほどではないし、特に暗所AFはかなり弱かったが、過去写真を見ているとけっこう夜に取った写真が多い。そしてちゃんと写っているのだ。実はカメラはこれで十分なんじゃないか?と思えてくる。

 なお出てくる画像の色味などはZ8ともZfとも全然違っていたと思う。あまりそういう方面に敏感な方ではないのだが、Z5とZ8の絵は全然違うことだけは分かる。それがセンサーのせいなのか、画像エンジンのせいなのか、あるいは敢えてこういう方向性に仕上げたものなのかは分からない。どっちが良い悪いではない。

ZfはZ8のサブカメラとして最適なのか?

 その問の答えはない。というか、究極的にはZ8に最適なサブカメラはZ8…… となるのだが、特にアマチュアの場合はそもそも「サブカメラなんて必要なのか?」という疑問が浮かんでくる。その問を真剣に考えはじめたらもはやこの「趣味」は成り立たないのだが。

ZfとZ8

 なので、いろいろな前提を置いた上でZ8とZfという組み合わせは絶妙にして最高だと思う。芯となる部分は共通でありながら、これだけ方向性の違うカメラに仕上がっているところが何とも面白い。だから写真を撮りに出かけようと思い立ったときに、防湿庫の前でどっちを持ち出すか悩むという贅沢を楽しむことができるはずだ。恐らく、どっちを持ち出しても得られる成果はそれほど変わらない(主に腕の影響で)ということを理性では分かっていながら、それを感情でごまかすのだ。そのギャップの大きさこそが趣味としての豊かさをもたらすに違いないと思っている。

 ただ今後もしかしたら、防湿庫の前で一瞬悩んだ末に結局Zfばかり持ち出すのではないか?という可能性を考えている。そうなったら仕方がないのでZ8を下取りに出してZfのサブカメラを探すしかない。これは実はZfに手を出すかどうか尻込みしていた理由のひとつでもある。自分はZ8を使いこなせる人になりたい、と思っている。それが結局Zfで十分だ、となるのは少し寂しい。

 さてどうなるだろうか?

2024-11-17|タグ: , , , , , ,
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コメント2件

  • Akira7 より:

    こんにちは、いつも拝見しています。Zf良いですね。
    やっとZ50IIが発表されました。Zfcを1年ほど使ってます。ダイヤルは感度と露出補正を頻繁に使っています。
    昨年2023年10月、ヨドバシカメラへZfを見に行ったところ稼働実機が無くモックアップのみでした。
    Nikon販売員さんに入荷状況を聞くと「早くても正月明けぐらいからで、GWぐらいには改善されるかも」との回答だった為、その場でZfcブラック28mmキットと純正グリップを買って帰りました。
    外付グリップが有ると持ちやすいです。Zfは本体グリップに突起が追加されて羨ましい。

    別件ですが、発売日に買った私のGR3は背面コントロールダイヤルが不調でメニューのカーソル送りもMFも操作不能になってしまいました。
    Ricohへ修理に出そうか迷っていますが、売却するつもりで代替としてiPhone16Proを購入しました。
    当たり前ですがカメラとしてはGR3の方が断然使いやすく、レンズの写りも良いことを再認識しました。
    Proじゃなくて良かったかも。16万もしたのに少しガッカリです。
    先週GR4の噂がでてきましたので、GR3は修理せず使おうと思い直しました。

    それにしても、ZfcとGR3とiPhone16Proの使い分けが難しいです。
    皆さんサブカメラの運用はどうしているのかな、と考えています。

    • hisway306 より:

      Akira7 さん、コメントありがとうございます。
      Expeed7版のZfcも欲しいですね。そうなったらそれがサブカメラとして一番かも知れません。
      GRはそもそものコンセプトがそうだから当たり前なのですが、独特の作法が求められる感じがして、サブカメラとするには役不足(正しい意味の方)だなと思います。それ以外は私もたいていのことはiPhoneで済ませるようになりましたが、仕上がりを見てもうこれで良いかと思えることはほとんどないです。普通のコンパクトカメラがほぼ絶滅した今となってはけっこう難しいですね。

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