2023年最初のレンズとしてHD PENTAX-FA77mmF1.8 Limitedを株主優待販売で買った。
リコーの株主優待販売では、概ね市場価格の最安値よりも少し安い値段がつけられていることが多い(もちろん時と場合と製品による)。実際、昨年下期分の優待販売品リストにあったHD FA Limitedシリーズはなかなかお買い得な値付けがされていたと思う。
間もなく出てくるはずの春のスペシャルカスタムイメージに対応したレンズとして、近いうちに手に入れなくてはならないものだったということもあり、株主優待販売の期限となる1月末ギリギリになって発注した。
HD PENTAX-FA77mmF1.8 Limited ブラック
Limitedレンズを買うときに悩ましいのは色をどうするか?という点だ。特に自分は浮気性で心変わりが激しく、時にはシルバー派だったかと思えば、いつの間にかブラック派に転向していたりする。今はちょうど「レンズはブラック」派に傾いているところだった。
なので今回買ったHD FA77mmF1.8 Limitedはブラックにしてしまった。主にこのレンズを取り付けて使うカメラはK-1 Mark II Silver Editionなのだけど、むしろシルバーボディにブラックレンズの組み合わせがいいと(今は)思っている。
KFのクリスタルブルーに取り付けるとこうなる。うん、キリッと締まっていてなかなか良いのではないかと思う。KFだとサイズ感もぴったりだ。ボディとレンズで質感がかなり違うとか、少し前が重たく感じるとかあるのだけど、それはそれとして見た目的には良い組み合わせだと思う。
なお今まで持っていたsmc版のFA77mmはシルバーだった。手持ちのKマウントレンズの中では(購入時期的な意味で)最古参の1本で、確かK-5を使っていた頃に買ったものだ。このレンズはそれなりに気に入っていたのだが、77mmを2本持っていても仕方ないだろうということでHD版のブラックと入れ替えに手放すことにした。
一時はHD版を手に入れてもsmc版は手放さずに持っておこうと思ったこともあったが、結局すべて入れ替えという形になった。外装色は冒頭でも書いたとおり、好みのブレが影響して31mmだけシルバーにしてしまったがまぁ良いだろう。
ちなみに31mmと43mmに関してはHD版にして良かったと思っている。ゴーストとかフレアとかフリンジがどうとかではなく、発色が現代的になり、今風の写りで使いやすくなったと思う。消えたと感じる部分こそがsmc版FA Limitedの「味わい」のひとつだったかも知れないが、個人的にはHD版の方が好みの方向で、K-1 Mark IIに最適化されているように思える。
ということでDFA/FA保有レンズリストを更新した。
DAも含めてKマウントのレンズはこれで一応の完成と思っている。100mmマクロのHD化が残っているとも言えるが、今のところあまり乗り気ではない。残念ながらメーカーのレンズロードマップあるDFA★の大口径広角レンズは出てくる気配はなくて、きっともうないものと半分くらい諦めている。
HD PENTAX-FA77mmF1.8 Limited 初撮り
ということで、まずはどんな感じなのか近所に出かけて撮ってみた。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/1000sec, ISO100
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f1.8, 1/2000sec, ISO100
季節柄まずは梅を撮ってみる。逆光気味のハイキー仕上げと、日陰バックのロウキー仕上げは定番中の定番の撮り方かと思う。FA77mmといえば白の階調重視で設計されたと言われているが、どっちにしてもちゃんと白梅の花びらの質感が出ているあたりはさすがだ。そしてコントラスト感もとても良い。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.2, 1/500sec, ISO100
咲き始めたミモザの花。どこにピントが来ているのか分からない。
そして何よりもボケが相変わらず美しい。前ボケも後ボケも。だいたいF2.0位で撮ることが多くて、あまり絞りの形が気になったことはないのだが、円形絞りになったことでより滑らかになってるかもしれない。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.5, 1/2000sec, ISO100
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/2000sec, ISO100
35mmフルサイズの中望遠なので、微妙な中距離でも背景のボケ量は豊かで立体感が簡単に出る。ボケ量のコントロール範囲が広すぎて適正な絞り値がどのくらいなのか分からなくなる(いつものこと)。
あと、軸上色収差の多さはどうにもならない。今どき6群7枚という少ないレンズ構成で、特殊ガラスも非球面も使っていない光学系ではこうなるだろう。といっても今回ここに貼った写真は概ねLightroomによる現像時にフリンジ補正を入れてある程度消してあるが、ピント面前後のフリンジは消えるが、ボケの輪郭に付く色は消せない。それはもう「味」と思い込むしかない。
77mmは鳥を撮るレンズではないが、たまたますごく近くにいたスズメを撮ってみた。といっても左のような距離感なのだが。なお絞りはF4.0で撮っている。
色収差のこともあるし、FA Limitedはあまりピント面のキレをうんうんするレンズではないと思うが、これが拡大して見ると右のように意外ににしっかり写っている。もちろんSharpen AIを使ったりしてないし、特にシャープネスも触っていない。ピントさえ合えば、ということだろうか。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f11, 1/100sec, ISO100
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f5.6, 1/800sec, ISO100
ボカすばかりが能ではないということで、しっかり絞ってみたりもした。当たり前だがとても良く写る。
PENTAX KF CB, HD FA77mmF1.8 Limited, f8.0, 1/3200sec, ISO100
KFに取り付けると約115mmのそこそこ立派な望遠レンズになる。基本的にはFA LimitedはK-1 Mark IIでしか使わないだろう。
このカットはもしかしたらイメージサークル内には夕日が思い切り入っていたかもしれないが、気になるようなゴーストやフレアは出ておらず、ちゃんとコントラストが保たれている。比べていないので分からないがもしかしたらHD化のおかげかもしれない。
ファーストインプレッションは以上だ。
HD版発売当時のレビューで、FA77mmは特有の艶がHD版では失われてスッキリしすぎている、という評価を聞いた記憶があるが、現時点ではFA77mmはHD版になってもやはりFA77mmだな、という普通の感想しかない。記憶の中のsmc版との比較しかないので、その限りにおいてはあまり大きな違いは実感していない。ボケは相変わらず最新のレンズに負けないくらい綺麗だし、階調が豊かで色乗りも良い。
ただし何となくだが、ピント面のキレや全体の発色のバランスはやはり現代的になっているような気がする。こんなに使いやすいレンズだったっけ?と。実はこの感想はそれは31mmや43mmの場合と同じだったりする。それこそがsmc版から失われたFA Limitedらしい「味」なのかもしれない、とは思う。よく言えばデジタルに最適化されたとも言えるし、悪く言えばデジタルっぽくなった、と。
あと個人的に最近FA Limitedを使う上でポイントだと思っているのはピント精度だ。そんなの当たり前に決まっているのだが、FA Limitedはピントをほんの少しでも外したときの画質的ペナルティが大きいと感じる。それは軸上色収差の大きさのせいかもしれないし、思い込みかもしれないのだが。
いずれにしてもファインダーでしっかりピントを見て丁寧にシャッターを切る必要がある。あとはやたらに絞りを開けすぎず、適切に絞るということも必要だ。特にそれが一番出来ていないのだが。
さて、春の新カスタムイメージで桜を撮るというのが次なる目標となる。どんな仕上がりになるのか今から楽しみにしている。