下町の隙間にある自然を探しつつ清澄庭園の涼亭でかき氷を食べる

2022-08-20

 夏休み期間中はだいたい自宅でダラダラと過ごすことにしている。そもそも帰る田舎もないし、どこか旅に出るには混んでたり高かったりで面倒だし。SNSその他に流れてくる真夏の海や山やあちこちの見知らぬ土地の景色を見て、羨ましい!夏を満喫したい!と思う気持ちはあるのだけれど、暑いのは苦手ということもあって重い腰は持ち上がらない。

 そんなお盆真っ只中の良く晴れた日。うだるような暑さはもう仕方ないので、かき氷でも食べに行こうと思い立って出かけてみた。この日の目的地は最近訪れていなかった清澄庭園だ。ここは都営の公園なので、行動制限が出ていた時期はずっと休園していたような気がする。ということはもしかしたら3年ぶりくらいかも知れない。
 
清澄庭園の池と涼亭RICOH GR3x UE, f5.6 1/400, ISO100
 清澄庭園とはこんなところだ。都内の庭園はだいたい江戸時代の大名屋敷の名残だったりするが、ここは明治になってから岩崎弥太郎によって新たに作られたという変わった経歴を持つ。池の水は隅田川から引かれている。

 周辺には特に景観条例があるわけではないが、周囲はあまり高い建物がない。そのうちタワマンがニョキニョキ現れても不思議ではないが、それはそれで東京っぽくて良いと思う。
 
 さて、冒頭で「かき氷を食べに清澄庭園へ向かう」と書いたが、それは↓こんなツイートを見たからだ。


 なぬ!あの「涼亭」の中に入れるだと? かき氷云々よりもそっちに引かれてしまった。「涼亭」とは上の写真にも写っている池上の木造建築のことだ。有料の施設で通常は一般開放されていない。ときどき何かの会合や集会が行われているっぽいが、いったいどういう人たちが何をやっているのだろうか? 誰かの誕生日会をやりたいからと言って個人が借りられるものなのか?(規約および料金的な意味で)
 

涼亭の座敷からの眺めRICOH GR3x UE, f5.6 1/40, ISO100
 ということで、いつもは近寄ることができない「涼亭」の玄関をガラッと開けて中に入ってみる。席数が思ったより少なく混んでいたのだが、タイミング良く5分待ちくらいで入れた。なるほどー、こういうところなのか。

 やはりここは清澄庭園の一等地で、ここからの景観のために庭園すべてが設計されているようだ。窓によるフレーム効果もとても良い。なお、室内は冷房完備でガンガンに効いていたのでなお最高だった。
 

涼亭のテラスRICOH GR3, f9.0 1/40, ISO100
 かき氷ができるのを待つ間に「涼亭」を探索してみた。テラスというか縁側というかなんというか、座敷の外に出てみる。すぐそこはもう池で手が届きそうなところを亀が泳いでいる。思ったより広い空間で、ここに座り込んでビールでも飲んでボーッとしてみたい。

 なおこの「涼亭」は明治42年に建築された建物で、その後何度か改修を経てそのまま現存しており、一応東京都の文化財に指定されている。東京のこのあたりで関東大震災と東京大空襲を生き残った木造建築物は他に聞いたことがないくらいとても貴重なものだ。

 やはり周囲にに何もない庭園の池の上に建つという立地が良かったのだろう。あるいはこの建物を燃やすまいと努力をした人たちがいたのかも知れない。なお清澄庭園は地域住民の避難所としても実際に使われている。
 

清澄茶屋のかき氷RICOH GR3x UE, f2.8 1/40, ISO100
 さて、お目当てだったかき氷がやってきた。宇治抹茶味だ。アイスも粒あんもわらび餅も乗っていてなかなか豪華だ。メニューは4種類あってこのかき氷の他に抹茶アフォガード、盛り蕎麦、和三盆セットも選べた。でもここはかき氷一択でしょ!

 量もたっぷりでとても美味しく、強い冷房と相まって暑さも吹き飛び、寒気がしてくるぐらい身体が冷えてとても満足した。

 なお、涼亭を使用した清澄茶屋なる企画は上のツイートにもあるとおり、8月13日と14日の2日間限定だった。ときどきこうして茶屋として一般公開されることがあるようだが、不定期なもので突然決まるので次はいつ頃とか予測がつかないらしい(店員さん談)。
 

RICOH GR3x UE, f2.8 1/40, ISO100, 71mm相当クロップ
 さて、汗も引いて糖分も補給したところで帰り道は遠回りしながら、日陰を選びつつ散歩しながら帰る。GR IIIxを手にしてから何となくストリート的なものを意識したスナップ風味のものばかり撮っていたが、そういう意識を排除するとやはり街中の所々にある緑や花などを撮ってしまう。
 

サルスベリRICOH GR3x UE, f2.8 1/800, ISO100
 何も考えずにただ撮ってみただけなのだが逆光で少しエモくなったサルスベリとか。今さらながらサルスベリって夏の花だったんだなと気付く。と言っても、初夏から初秋までわりと長いこと楽しめるようだ。
 

萎れきったヒマワリRICOH GR3x UE, f3.2 1/500, ISO100
 萎れきった巨大なヒマワリ。暑さにやられ辟易している感じにすごい共感してしまった。が、このヒマワリは十分に育ってまもなく種を落とそうとしているところで、予定通りの一生を終えようとしているだけと思われ、本当のところは暑さにやられたわけではないだろう。
 

裏路地の茂みRICOH GR3x UE, f5.6 1/160, ISO100
 カメラ、しかもGRを持っていなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうな裏路地の風景。ここは公道なのか私道なのか? 不自然なクランクと古い木造住宅と、なぜか鬱蒼とした緑と鉢植えの数々。人の生活感があって野生ではなくしっかりと管理されている緑のようだ。
 

クレーンと青空RICOH GR3x UE, f5.6 1/400, ISO100
 そんな古き良き雑然とした下町に新たなタワーマンションが建とうとしている。いや、これはタワーではないのかもしれないが、敷地はかなり広いので大規模なものであることは間違いない。人口が増えるのはいいけれど、これ以上バスが混むのは困る。
 

船橋の梨RICOH GR3x UE, f5.6 1/40, ISO2500
 ここからは散歩とは関係ないのだけど、お盆休み中に千葉県は船橋と市川と鎌ケ谷の市境付近にある農家さんへ行って梨を買ってくるのがここ数年の決まり事になっている。今年も山盛り買ってきたのだが、農家さん曰く、今年の梨の出来はイマイチだそうだ。6月に降った雹の被害も大きかったらしい。

 確かに例年よりも小粒なものばかりだったが、食べてみたらいつも通りの美味しさだった。これで残りの残暑期間もなんとか乗り切れるはずだ。
 

夏の夕暮れPENTAX K-3 III, HD DFA21mmF2.4ED Limited DC WR, f5.6, 1/1600sec, ISO200
 久々に綺麗な夕空が見られた。8月になってもずっと天気がグズグズしていてスカッとした夏空をほとんど見ていない気がする。この日だって雲の感じは何となく秋の雰囲気だ。

 気付けば夏至からほぼ2ヶ月が経ち、日もだんだん短くなってきている。早く秋よこい!
 


 

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