さてNikon Z 8を発注したわけだが、レンズをどうするか考えないといけない。と言っても、Zマウントはすでに2年以上にわたって使ってきているわけで、広角から標準系についてはすでに持っている。どれも気に入っているのでZ 8(以後機種名はスペースを省いて”Z8″などと表記する)でもそのまま使うつもりだ。
問題は望遠レンズだ。現状の手持ちZマウントレンズの最長焦点距離は120mmしかない。もちろん用途によってはこれで十分なのだが、雑食アマチュアカメラマンとしては、やはりもっと長いレンズも欲しい。ぼちぼち飛行機とか野鳥などもリハビリ復帰したいと思っている。
ということで、出そうでなかなか出てこない200-600mmを待つという手もあったのだが、大きさや重さや使用頻度などを考えて、もう少し気軽に使えそうな NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S をまずは使ってみることにした。このレンズはZマウントの望遠ズームとしては定番中の定番だ。というか300mmオーバー領域のズームは、今のところこれしかないとも言える。
このレンズが発売されたのは去年の2月。Z 9世代の望遠ズームとして人気が出たと同時に、昨年来の社会情勢のあれこれなどによって、品薄を越えて入手難の状態がしばらく続いていた。
そして昨年12月にはとうとう受注と出荷が一時停止されることになり、新品を手に入れることは出来なくなってしまったが、それも今年4月になって解消され、販売が再開されたばかりというところだ。
Z8登場とともにまた争奪戦になるかと思えばそんなことはなく、今はだいたい主な販売店では即納可能な状態で流通している。部品不足なども回復してきていると言われているし、さらに生産体制も調整したのではないだろうか。
小型軽量で使いやすいけれども本格的な望遠ズーム
さっそく箱を開けて中身を見てみる。なお付属品は前後キャップに専用フード、ソフトケースLC-3だ(同梱品の写真は割愛する)。
このレンズはZ8で使うために手に入れたものだが、動作確認をしないといけないし、ある程度どんな感じなのか慣れておかなくてはならない。もちろんZ5でもちゃんと使えるわけで、大きさや重さのバランス含めてこの組み合わせも案外悪くない。
最大径は98mm(フィルター径は77mm)、全長は222mmで重さは三脚座込みで1453g、三脚座を外すと1355gとなる。400mmまでの4倍ズームとしては非常に小型軽量だと思う。Zマウントのレンズで言えば70-200mmF2.8とほぼ同サイズ、同重量となる。
レンズ構成はなんと20群25枚という超多枚数レンズとなっている。EDレンズ6枚、スーパーEDレンズ2枚にナノクリスタルコートにアルネオコートも施されている。こういうレンズが可能になったのは、ミラーレス化とかガラス材や光学設計技術の進歩だけでなく、精度良く組み立てたり、複雑なズームやAF駆動を実現する機械的な部分の技術が発展したことが一番大きいと何かで読んだことがある。
望遠レンズの場合、ミラーレス化による短フランジバックの恩恵はあまりないと言われているが、構成図を見る限りこのレンズは一眼レフ用とは異なり、バックフォーカスもそこそこ短く、大きな後玉が使われていて、Zマウントらしさがうかがえる。
ちなみにAF駆動はSTMで非常に高速だ。またレンズ内手ぶれ補正が搭載されているのも特徴だ。Zマウントのフルサイズ機はボディ側にセンサーシフト式の手ぶれ補正が搭載されているが、Z8とZ9はシンクロVRに対応しているので、このレンズとの組み合わせでもより強力な手ぶれ補正が働くはずだ。
なおインナーズームではないので鏡胴はズーミングに従って伸びるのだが、思ったほどではない。重量バランス的にも前が重くなりすぎることもないし、ズームリングの回転角もちょうど良い感じだ。以前、D500と組み合わせて使っていたAF-S 200-500mmF5.6 とは使いやすさがだいぶ違う気がする。
ズームリングの重さも適度だし、逆さまにして自重で伸びてくるようなことも今のところない。一方でズームロックなどもない。とは言え、このクラスのレンズでは肩からぶら下げたまま歩き回るみたいなことはないので(しない方がいいので)、あまり気にしなくても良いだろう。重すぎず軽すぎずちょうど良い。ズームロックやトルク調整機構もないが、そもそも内部のカム機構の工夫により自重でズーム位置が動かないように設計されているので、その辺も気にする必要がない。これは素晴らしい。
レンズファンクションボタンはL-FnとL-Fn2の2つ、さらにピントリングと独立したコントロールリングが別途設けられている。Z5では設定を追い込んだりしていないが、これらのリングとボタンを何に割り当てて使うかは、Z 8が届いてからじっくり検討したいと思う。使い勝手に大きく影響する部分になるはずだ。
フォーカスリミッターは3m以遠に制限する2ポジションのスイッチがついている。通常は3m以遠の設定で使うことになると思うが、実はこのレンズは近接撮影能力が強いことも特徴で、テレ端400mm時で0.98mまで近寄ることが出来るし、撮影倍率はなんと0.38倍に達する。なので望遠マクロ的な使い方もあるかもしれない。
最新レンズにありがちなギミックとして、小さな表示パネルが搭載され距離指標などが表示される。しかし節電のためか基本消灯しているので、表示を見るにはDISPボタンを押さないといけない。また表示中にDISPボタンを押すと、距離指標ではなく絞り値や焦点距離を表示することも出来る。
面白い機能なのだが必要あるいは便利か?と言われると微妙なところだ。最近発売されたZ85mmF1.2にこの表示パネルが搭載されなかったこともあるし、もしかしたら早い段階で廃れるのではないか?という気もする。またこれは勝手な推測に過ぎないが、部品不足の影響が一番大きかったのがこの小さな表示パネルだった、みたいなこともあるのかも?と思っている。
Z 5で試し撮りしてみる
少しだけだがZ 5に取り付けてさっそく撮りに出かけてみた。
Nikon Z 5, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/80, ISO100
目の周りが繁殖期カラーのコサギ。水辺の森の中に静かに佇んでいた。もちろん場所や状況によるわけだが、このサイズの鳥を撮るには400mmでもトリミングなしで何とかなる。
Nikon Z 5, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(340mm), f5.3, 1/250, ISO400
アオサギの親子。親鳥は捕ってきた餌を子にあげている様子だった。とはいえ子どものほうもすでに十分に大きい。
Nikon Z 5, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/800, ISO400
カワウの親子(多分)。こちらもすでにだいぶ育っているようだ。この場所だけの事情なのか、それぞれの鳥たちの特性や好みなのか、コサギの巣は一番低いところにあって、そのつぎにアオサギの巣、そしてカワウは一番高いところに巣を作っていた。
Nikon Z 5, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(190mm), f5.0, 1/640, ISO640
飛び立とうとして羽を広げた瞬間のコサギ。Z 5では難しいが、Z 8だったら飛んでいるところも撮れるだろうか? 400mmでは短いのは承知の上だが、カワセミのダイブシーンに久しぶりに挑戦してみたい。
Nikon Z 5, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(100mm), f8.0, 1/800, ISO100
この手のレンズはテレ端ばかり重要視されがちだが、ワイド端が中望遠域の100mmというのも使いやすそうだ。70-200mmの代わりとして風景なんかにも使える場面が出てくると期待している。
Nikon Z 5, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f10, 1/640, ISO100
あとは飛行機を撮りに行きたいと思っている。というより、このレンズのメインの使用目的はそうなるだろう。できればZ 5でも羽田空港あたりで試してみようと思っていたのだが、この週末も雨のようなので諦めた。Z 8が来てから改めて羽田とか成田とか行ってみようと思う。気力が戻れば百里あたりもそのうち。
Zマウント今後の予定
ということで、現在のZマウントの保有状況をまたロードマップ風にまとめてみた。
Z 8はまだ手元にないがフライングで持ってることにしてしまった。それよりもレンズ。これで14mmから400mmまでいい感じに3本のレンズで揃ったと思う。変形小三元的な感じでなかなか美しいシステムではないかと自画自賛している。今のところ大三元系のレンズは考えていない(あくまでも今のところ)。
しばらくはこのままで良いと思っているのだが、もしかしたら100-400mmを使いこなすために Z TELECONVERTER TC-1.4x が欲しくなるかも?とは思っている。その場合100-400mm f/4.5-5.6が140-560mm f/6.3-8として使える。レフ機時代と違い今ではこのくらいの解放F値は十分に実用の範囲内だ。
あとは単焦点レンズが欲しくなるとは思っているが、具体的には分からない。体験会で触ることが出来たMC100mm f/2.8とか50mm f/1.2あたりは気になっている。あるいは f/1.8シリーズのどれかも良いかもしれない。
……などと、久しぶりに手に入れるレンズをあれこれ妄想するという楽しみを味わっている。Z8を手にしたらさらにその妄想は捗ることだろう。今から楽しみだ。