1ヶ月ちょっと前の2月初めにNikon Z 8のファームウェアVer.2.00が公開された。昨年5月の発売以来、Z 8にとってはこれが最初のメジャーバージョンアップとなる。
そのアップデート内容は多岐にわたるのだが、まとめとして以下のWEB記事へのリンクを張っておく。重要な部分については実際のテストも交えて解説されており、その他全項目がリストアップされていて、Ver.2.00の全貌がつかみやすい。
この中で重要なのはやはりAFの機能向上(特に鳥認識AFの追加)と、新しいピクチャーコントロールの追加ではないかと思う。あと地味だがシャッター音の変更機能も欲しかった機能だし、MF時の半押し拡大解除については、ユーザーの声を取り入れるニコンの姿勢が良く現れていると思う(自分ではあまり使わないのだが)。
こうしてVer.2.00にアップデートしたZ 8は新たにいろいろなことが出来るようになったわけだが、まずは新しくピクチャーコントロールに追加されたモノクロモード2種(フラットモノクロームとディープトーンモノクローム)を使ってみることにした。
以下写真を貼っていくが、正直言ってこれらは「モノクロームで撮る」ことを目的としてシャッターを切ったので、内容について特にコメントすることがないものがほとんどだ。ちなみに特に断りがない限りだいたい「ディープトーンモノクローム」を使っている。キリッとハイコントラストで締まる方がモノクロ初心者向きな気がする。
自動販売機前。自転車が横切ったのは偶然だ。
新宿駅西口はスクラップ&ビルド中で景色が大幅に変わった。ディープトーンモノクロームは青空が暗く落ちる。
新宿駅西口地下のタクシー乗り場があるロータリー。ここからコクーンタワーとドームが見える景色も新鮮だ。いつまでこの状態なのだろうか?
地上に上がってコクーンタワーのドーム付近にやってきた。RX-8が良い感じだ。
普段、写真系のYoutubeをいろいろ見ているのだが、都市風景的なスナップは光と影の境目を探せ、みたいなことを言っている人がいた。なるほど?
東京スカイツリーの真下付近。どん曇で日差しと日陰のコントラストがもともとなかったので、珍しく「フラットモノクローム」で撮ってみた。フラットと名がついているだけあって、こちらの方が階調が豊か(に見えやすい)なような気がする。
空き家なのかそうではないのか、微妙に乱雑ながらギリギリ片付けられているかのような民家。押上周辺にはまだまだキラキラした東京スカイツリーとは真逆の古い町並みが残っている。これも「フラットモノクローム」で撮ったのだが、あとからちょっと物足りなく感じてコントラストを付け加えてしまった。
雨の祝日に横浜のみなとみらいまでCP+ 2024を見に行った。その帰り道に通りかかったスタバの店先。水鏡とはいかなかったがしっとり濡れた感じが良い。これはもちろんディープトーンモノクロームだ。
ここまではちゃんと撮影時にモノクロに設定して、EVFで色のない画像を確認しながら撮ったのだが、最後のこの梅の写真は普通にカラーで撮ったRAWファイルからNikonの純正現像ソフトNX Studioで現像してみた。設定はフラットモノクロームだ。白梅はもともと色に乏しくなりがちでモノクロにしやすい。
ということで、どこかで見たような切り取り方ばかりしてしまったが、わりと満足している。
街角スナップというのは何もなさそうな日常の場所に絵になりそうなフレームを見いだして、その瞬間を切り取るという点で写真撮影の重要な要素の多くが詰まっているような気がする。Z 8はおよそスナップには不向きというか、性格が違いすぎるカメラのように思えるが、自分のようなにわかからすれば何をするにも高速でスムーズなZ 8はとてもスナップ向きなカメラだ。大きさと重さを除けば。
なお、「シープトーンモノクローム」と「フラットモノクローム」はNikon Z fに取り入れられた新しいピクチャーコントロールで、これまではZ fでしか利用できないものだったのだが、こうしてZ 8にも適用されたところを見ると、今後他の機種にも展開していくのかもしれない。Z 8にはZ fのようにモノクロモードに切り替える物理スイッチはないが、Fn3ボタンとiメニューからピクチャーコントロールの選択を呼び出せるようにしてあるので、切替はそれほど面倒ではない。
あとはAdobeのCamera RAWのカメラマッチングプロファイルが、この新しい二つのモノクロモードに加え「リッチトーンポートレート」をサポートしてくれたら完璧なのだが。