22年前に買った初めてのデジタルカメラ PowerShot A5 Zoomが出てきた

2021-06-29

 巣ごもり生活の始まりとともに、昨年から住環境の改善をコツコツと進めてきた。長年放置していた家中のあちこちを掃除して整理し、家具を修理したり新調したり、ため込んだものの断捨離などを続けて約1年。

 おおよそ目処がついたと思っていたある日、本棚を整理していたらその奥から突然出てきたのが、このデジタルカメラだった。何なのか分からずしばらく固まってしまった。

Canon PowerShot A5 Zoom

 Canon PowerShot A5 Zoomだ。なぜ我が家にキヤノンがあるのだ? と0.5秒くらい訝しんだものの、すぐに思い出した。これは20年以上前、若き日に初めて買ったデジタルカメラではないか! これまでの人生で買った唯一のキヤノン製カメラだ(もちろん先のことは分からない)

 すぐにGoogleで調べてみるとキヤノンの過去機種情報を集めたWEBサイト「キヤノンカメラミュージアム」の中にちゃんと製品情報が載っていた。

 もはや歴史的な技術遺産になりかけているが、こうしてちゃんと公式情報が出てくるのが素晴らしい。さすがキヤノン。

PowerShot A5 Zoomとはどんなカメラだったのか?

 撮像素子はCCDでサイズは1/3インチ。原色フィルターではなく補色フィルターが使われている。画素数は81万画素。サイズで言うと1024×768ピクセルで、いわゆるXGA相当である。レンズはフルサイズ換算で28-70mm相当で開放F値はF2.6-4というスペックだった。まさしく今でも標準ズームと言われる王道の画角レンジだ。

Canon PowerShot A5 Zoom

 現代のコンパクトデジタルカメラRICOH GR3と並べてみるとこんな感じだ。なによりも分厚さが目立つ。それでいて撮像素子サイズは16倍以上、画素数は30倍近く違うのだ。容赦ない時間の流れを感じる。
 

Canon PowerShot A5 Zoom

 ボディはアルミ合金だろうか?非常にしっかりしているし、保存状態が良くて22年も前の製品とは思えないくらいきれいだ。情報表示のモノクロ液晶も1エレメントも欠けずに生きている。モードダイヤルやシャッターボタンの配置など見ても、普通のコンパクトカメラの様式に則っていて普通に使える。

 1990年代後半のデジタルカメラと言えば、カシオのQVシリーズはじめ、リコーのDCシリーズ、フジフイルムのFinePixシリーズなど、フィルム給装から開放された自由な形状や仕様のデジタルカメラが多かった。搭載されているレンズの仕様もまちまちで「写真を撮る」という観点で見ると、わりとメチャクチャなものも多かったという記憶がある。

 そんな中にあって「カメラとして」王道の画角の標準ズームを搭載し、まるで「普通のカメラみたい」なクラシックスタイルのこのカメラは、かえって新鮮だったのではないだろうか。
  

Canon PowerShot A5 Zoom

 背面液晶は2インチ。画素数は分からないがかなり低解像度、低コントラストだ。なお、ライブビューも可能だが基本は光学ビューファインダーを覗くことが前提になっている。まだこの時代の液晶は輝度が低すぎて、屋外ではほとんど何も見えない代物だった。

 この写真では分からないが、ライブビューに切り替えてみると、画面右側に縦に一ドット幅分の表示が死んでいるが、逆に言うと故障箇所はそれくらいで、20年以上前の電子機器としては全体的にはとても状態は良い。

 メニューなどのUIはこの時代の製品にしては非常に良くできていて、レスポンスもごく普通だ。なおカレンダーは2030年まで対応しているらしく、ちゃんと2021年に設定できた。
 

Canon PowerShot A5 Zoom

 記録メディアはCFカードだ。すでに記録メディアとしてCFはオワコンになりかかっているが、それでも普通にGB単位のものが今でも手に入る。しかし、細かい仕様は分からないが恐らくGBクラスの今どきのCFカードはこのカメラでは使えないだろう。

 このカメラが作られた時代、CFと言えばMB単位だった。それも8MBとか16MBとかそのくらい。いまやかえってそんな小容量のCFを手に入れるのは難しいのだが、幸いに20MBのCFが手元に残っている。これなら使えるだろう。なおこのCFは見ての通りSanDisk製だ。今でもちゃんと読み書きできる。
 

Canon PowerShot A5 Zoom

 電源は2CR5というリチウム電池(充電池ではない)が使える。2CR5も今やほぼ使い道がない電池だと思うが、幸いまだ家電量販店やAmazonなどで、やや高いものの普通に手に入れることはできる。

 ということで、記録メディアと電池の二つがクリアできたので、22年の時を超えて動作させることに成功した。コイツ、動くぞ!

20年以上前にPowerShot A5 Zoomで撮った写真を発掘

 さて、このカメラを発見してから、いったいこれで何を撮ったんだっけ? ということで、NASの奥底を探してみたら、20年前の写真が色々と見つかった。思い出深い旅行の記憶とともに何枚かはTwitterに貼ったので、そのまま転載しておく。

 まずは初めてのグアム旅行。今はもう立ち入りできない、島の外れのビーチなどへ行ったことを思い出す。不鮮明だけどグアムらしい太陽を感じる写真が残っている。もしかしたらこのカメラはこの旅行のために買ったのかも知れない。

 なおExifはついていない。当時すでに初期バージョンのExif規格はあったらしいのだが、このカメラは対応していなかった。なので詳細の撮影日時も撮影時の設定も何も分からない。
 

 佐渡にも行った。実は佐渡は単なる旅先と言うよりはもう少し深い縁があるのだが。自分の車を走らせてフェリーに乗って渡ったことを思い出す。このあと、北陸道を西に進み富山まで行き、安房トンネルを抜けて松本を経由して東京に帰ってきた。
 

 この時期は仕事で3ヶ月に1回のペースでアメリカに出張に出かけていた。当時は面倒で仕方なかったが今となってはいい思い出だ。よく泊まっていたオレンジカウンティのホテル周辺の写真が数枚残っていた。今思えば出張とは言え、もっとたくさん写真を撮っておけば良かったと少し後悔している。
 

Canon PowerShot A5 Zoom

 さて、22年の時を超えて復活させることができたので、是非このカメラで写真を撮ってみたいと思う。もしかしたらどうにも見るに堪えなくて、ブログには貼らずTwitterで済ませてみるかも知れないが、一応、そのうち実写編で報告したいと思う。
 

おまけ:デジタルカメラ黎明期の旧機種を復活させた過去記事

 数年前に同じように90年代のデジタルカメラ黎明期の古いカメラを現代に蘇らせてみたことがあった。…と思ったらもう5年も前のことだった。


 どちらも1997年から1998年頃のカメラで、このPowerShot A5 Zoomとそう時代は変わらないが、この3台の中でみるとPowerShot A5 Zoomは圧倒的に現代的で完成度が高いと感じる。もちろん、当時はデジタルカメラの進化は日進月歩で、発売が半年違えば全然別物だったかも知れない。

 なおSONYのほうはもう手元にないが、NECのほうはまだ一応動態保存している。このPowerShot A5 Zoomもこのまま手元で動態保存しておくつもりだ。
 

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