CP+2021ではリコーイメージングから J limited 01 が新製品として発表された。これは PENTAX K-1 Mark II をベースにしたカスタムモデルで、J limited を名乗る製品としては KP J limited に続いて2製品目となる。J limitedはカスタムブランドとして今後も継続していくとのことで、改めて01という番号が割り当てられた。今後 02、03 と続いていくはずだ。
試作機というかコンセプトモデル的なものは昨年11月に行われた J limited Online で見ていたのだが、まさか本当に製品化されるんだ!と少し驚いたといったら怒られるかも知れない。しかも今回は4色も用意されている。すごいやる気が感じられる。
CP+2021はオンライン開催となってしまったので、画面越しにしか見ることができなかった J limited 01 が、3月4日から新宿にあるリコーイメージングスクエア東京に展示されているという話を聞きつけ、さっそく見に行ってきた。
ゴールドのデュラテクトコーティングされたマウントと、ペンタ部の出っ張り(リーゼントとかポンパドールとか呼ばれている)がすごい。ディンプル調のラバー外装の造形は、指がかりなど実用上の使いやすさを考慮したこだわりが詰め込まれている。六角形のAOCoマークは(トップカバーと同様に)飾りに過ぎないのだが。
この真っ赤なモデルは「スカーレットルージュ」と名付けられている。かなり深みがありつつも印象としてはやはり鮮やかな赤で、3倍がどうのこうのと言われるのも無理はない。これはすごい。CP+2021で配信された「J limited Live」(残念ながら見逃し配信はなし)では「使えるものなら使ってみろ」という暴言が出たくらいだ。
確かに撮影に持ち出すにはそこそこ勇気が要りそうだが、観賞用としては完璧だ。それにブラックのレンズがとてもよく似合いそうだ。
青のような緑のような、何とも言えない微妙な色のモデルには「ヴィリジアン」という名前が付いている。写真で見た限りではこの色が一番気になっていた。
今回の4モデルの中では、このヴィリジアンだけトップとボトムおよびマウント周辺だけでなく、ボディ背面と側面まですべて同色に塗装されている。○○色と一言で表せない微妙な色合いは、周辺光源で印象が変わるかもしれない。メタリック調のテクスチャがとても目立つ感じで、これは美しい。
なお「K-1 II」のロゴフォントをこれで押し通すには相当苦労したようだ。噂によればT社長にも反対されたとか。でもハッキリ言っておこう。これは最高だ。個人的にJ limited 01で一番好きな部分と言っても過言ではない。
ブランドロゴや製品ロゴを統一し厳密に管理するのは基本的にけっこうなことだが、反対した人達には、そもそもコーポレート・アイデンティティとかブランド・アイデンティティとかは何のためにあるのか、目的を考え直してみろと言ってやりたい。
閑話休題。こちらの2台は「ブラック&ゴールド」と「LX75メタリック」だ。
ブラック&ゴールドはKP J limitedにも用意されていたカラーで、J limitedの基本色と言っても良いかもしれない。一見地味なようだが、ゴールドでプリントされた文字がけっこう目立って良い感じだ。これは渋い。
LX75メタリックは前評判がとても高かった。75周年モデルとして約26年前に発売されたLXチタンをオマージュしたもので、いわゆるLimited SilverとかSilver Editionとは違って、うっすらと黄色orオレンジがかったシルバーだ。ザラザラとした質感を感じさせるテクスチャもこだわり抜かれている。これは格好イイ。
カスタムされているのはボディカラーとトップカバーとマウントだけではなく、細部まで手が入れられている。例えばこのカスタムファンクションのダイヤルに入れられた文字とか。ここを専用パーツ化してしまうだけでも、いったいいくらかかるのやら。
グリップもこの通り。KPのような交換式ではないが、ミロク社製のカスタプウッドグリップが下半分に取り付けられている。ブラック&ゴールドのみ茶色っぽい「Red SP」で、他の3色は「Sumi Black」となっている。
レンズが取り付けられていてもチラッと見えるゴールドのマウントが良い。思ったよりよく見えて目立つ。
そしてやはり J limited 01の一番の特徴はこのトップカバー1だろう。何とこれ真鍮削り出して作られているのだ。だから手にするとずっしりと重たい。絶対に落とさないようにとの注意を受けた。
現在の展示品はまだ試作品であり、量産品は表面仕上げやエッジのシャープさなどもう少し改良されてるそうだ。
なお紛失した場合に保守パーツとして買い直すことは出来るようだが、恐らく驚くような値段になるだろうとのこと。また、保守パーツとして手に入れるには J limited 01 のオーナーであることを証明しなくてはならないとか。なんちゃって J limited化はできないのか… 残念。
そのトップカバー1のサイドにプリントされた文字列も特徴的だ。J limited LiveでデザイナーのTKO氏が話していたとおり、これは古いPENTAXロゴのフォントをベースにして書かれている。「PENTAX」単体のブランドロゴとして使うことは許されないが、文字列としてであれば良いという「社内調整」の結果生まれたものだそうだ。
というか、ここでも反対した人には反省してもらいたい。
そんなトップカバー1を外してトップカバー2だけにするとこんな感じになる。けっこう大人しくて普通の一眼レフに見える。でもやっぱり前に出っ張っているし、各所にエッジが立っていてシャープさが強く、ノーマルのK-1とはかなり雰囲気が変わる。そしてやっぱりおでこにAOCoマークが彫り込まれている。
この状態ならGPSも機能するので、ちゃんとGPSボタンが押せるように切り込みが入っている。なんと実用的!
なお、ブラック&ゴールドの場合、トップカバー2のPENTAXロゴは実はボディ本体と微妙に色が変えてあって、すこしグレー味が入っているそうだ。実物はハッキリと目視でその違いが分かったのだが、写真にはその差がまったく写らなかった。
ということで、J limited チームの主要メンバーでありデザイナーのTKO氏から直々にいろいろ説明してもらうことが出来た。11月のオンラインイベントも、CP+のライブも見たのだが、やはり実物を目の前にするのは説得力が違う。
J limited 01は結局中身はK-1 Mark IIなので手は出さないつもりだったのだが、実物を見せられて、その想いを直接語られると、グラグラときてしまう。写真を見てるだけならヴィリジアンが良いと思ってたのだが、実物を見るとブラック&ゴールドかLX75メタリックが良いと思えてきた。気がつくとどっちにすべきかを考えていて、ハッと正気に覚めるということを繰り返している。
リコーイメージングは絶対にデモ機の横で即予約注文受付をするべきだと思う。手付金を申し受け、クレジットカードのリーダーとJACCSの申込書をそのまま置いておけばいい。何なら説明をするJ limitedチームメンバーに「それで、お客さん、どれにしますか?」と言わせれば良い。飛ぶように売れるはずだ。