これまで10年以上利用してきたflickr PRO(有料会員)を辞めることにした。そのことに関するごく個人的な思いを以下に殴り書きしておこうと思う。
過去10年分の写真のログが詰まっていた
Flickrは主にブログに貼る写真のアップロード先として利用してきた。そして長年にわたって使っていくうちに、過去写真ログのライブラリとして育ってきていた。だから例えば「2015年のF1日本GPで撮った写真を探したい」みたいなイベントが発生すると、HDDやNASの奥深くを探るより、Flickrにアクセスするほうが早くて、写真の閲覧も再利用も簡単だった。
iPhoneで撮った日常の写真は全てiCloudの写真ライブラリにあって、いつでもiPhone/iPadやMacなどAppleデバイスから見たり再利用することができる。
それと同じように一眼レフカメラなどを使って撮った趣味の写真の現像済みOKカットはすべてFlickrにあって、インターネット回線さえあればいつでもどこからでも、どの端末からでも参照可能でとても便利だった。
代替えのない写真特化クラウドサービス
Flickrは「写真」に特化したクラウドサービスの先駆けであり、完全に代替えできるサービスは今も昔もない、と個人的には思う。Instagram的なSNSとも決定的に違うし、iCloudフォトやGoogleフォトやAmazonフォトとも全然違う。
Adobe Lightroom Classicのカタログから直接現像結果をJPEGにエンコードしてアップロードできるし、フル解像度の写真が保管可能で、自動的に複数の縮小版が作成される。またブログなどに張り付けるためのURLリンクをワンクリックで生成でき、その際好きな解像度を選ぶことができる。
位置情報含めたほとんどのExifも参照可能だし、タグを付けて管理することができる。著作権情報や公開範囲を細かく設定することもできて、パーソナルなアルバムというよりも積極的にパブリックに公開していくための機能が揃っている。
さらにSNS的な機能も持っていて、海外ユーザーが中心だけどフォローしたりフォローされたりしてコメントを付け合ったり、Fav(いいね!みたいなもの)をつけたり、いろいろなテーマでグループが作成されていたりする。しかも他の流行っているSNSと違って(比較的)治安が良いし、ストックフォトでもないので純粋に写真を楽しめるようになっている。
15年くらい前、インターネットといえばPCだけのものだった時代にはFlickrはアマチュアもプロも含めて写真家を名乗る(あるいは目指す)人たちにとって、唯一無二のプラットフォームだった。モバイル時代になってその価値は地に落ちてしまったが、ごく狭い用途では今でも唯一無二なのだ。
なので、趣味としての写真を純粋に楽しむ上でもブログを運営していく上でも、自然とFlickr前提のワークフローに染まっていったので、Flickrなしの写真ライフは考えられないと思っていた。だがしかし…。
それでもやめる三つの理由
なのにやめてしまう理由は主に3つある。
一番大きな理由はコストだ。以前は1年25ドルほどだったPRO会員料金は、いつの間にか倍になり、さらに現時点では1年契約の場合約80ドルとなっている。月に1000円以下と考えれば、他のいろいろなサブスクと比べてそれほど高いとは言えないかもしれない。でも…
このまま毎年値上げされ続けたら?という疑念が捨てきれない。それに冷静に考えてそこまでの価値があるサービスか?と言われると、そうは思えなくなってきた。
二つ目の理由は、先行きの不安だ。Flickrはすでにサービスとしては終わっていると言われて久しい。経営母体が何度も変わり、サーバーがAWSに移動して一息ついているようだが、ユーザー数は激減していると思われる。それは上記したSNS的な活動の低下から、明らかにコミュニティがやせ細っているのが実感できる。
もちろん運営や経営の実情は知る由もないが、もし万が一「ユーザーが減る→料金を上げる→さらにユーザーが減る」というスパイラルに入ってるとしたら…? という疑念がますます大きくなってきた。だとしたら申し訳ないがサービス延命のための値上げを受け入れることはできない。
三つ目の理由は使い勝手の悪さがどうにも手に負えなくなってきたからだ。Flickrにアップロードした写真は内容を更新をするとURLが変わってしまう。更新前の旧バージョンの写真が旧URLで保持されるのではなく、完全に新しいものに置き換わってしまい、旧URLはリンク切れしてしまうのだ。
これはAdobe Lightroom Classic側の問題だとは思うのだが、どんなに気を付けていても何かの拍子に昔の写真が意図せず勝手に更新されてしまうことがあるのだ。しかもそのことに気づかないまま。そうすると何が起こるかというと、それらの写真を貼ったはずのブログ記事に写真が表示されなくなる。
10年前の記事だったら仕方ないとあきらめがつくかもしれないが、そういったことがごく最近アップロードしたはずの記事に対しても起こる。この問題は昔からあって、そういったことを避けるために自分なりにワークフローをかなり調整したのだが、それでも半年前の記事の写真にリンク切れが多発しているのを見つけ、心が折れてしまった。これはもう完全に管理するのは無理だ…。
過去記事の写真貼り替えは完了済み
ということで、Flickr PROをやめるために、すでにブログの過去記事の写真は全てWordPressのメディアライブラリに移行した。現ブログに関してはいろいろ考えてほぼ手作業で約3ヶ月かけて行った。
今までは記事に貼った写真をクリックするとFlickrに飛んで、そこで等倍画像を見たりすることができるようになっていたが、現在はそのままウィンドウ幅一杯に拡大表示されるだけになっている。そもそもWordPressにアップロードした写真は長辺1920ピクセルに縮小したものなので等倍画像を見ることはできない。
が、いろいろ考えてブログの写真はそれでいいだろうと思っている。Flickrで元画像を隅々まで見ていたという(奇特な)人がいたら申し訳ないのだが。
なお旧ブログの方は手作業ではなくWordPressのプラグインを使いほぼ全自動で移行した。その代わり写真の拡大はもはやできなくなってしまった。また、以前はFlickrからExifを自動で引っ張って表示するようにしていたが、それも当然表示されなくなっている。
なお、自動移行の手順については↑こちらのブログ記事を参考にした。なぜかまったく同じようには行かなかったのだが、とりあえず最低限の処置はできてると思う。いろいろおかしなところは残ってるかも知れないが、気がつき次第手動で直していく予定だ。でも正直なところ、旧ブログは最悪消えても良いと思っている程度に手を掛ける気はない。
さよならFlickr!
ということで、現在の契約は8月末日で終了する。そこまではPROアカウントのままなのだが、すでに写真の整理(削除)はほぼ終了した。自動継続設定も切ってあるので、このまま9月を迎えると自動的にFreeアカウントに移行するはずだ。
Freeアカウントは写真のアップロード上限が1000枚なので、その範囲でアカウント自体は維持していこうと思う。特に使用目的はないけれど。
今までありがとう!flickr!