smc PENTAX FA43mmF1.9 Limited を K-3 Mark III で使ってみる

2021-05-11

 現在我が家の防湿庫に収められたKマウントレンズは、多くがフルサイズ対応のFA/DFAだが、これらは当然すべてK-3 Mark IIIでそのまま使うことが出来る。K-1 Mark II用の広角〜標準ズームをK-3 Mark IIIで使うシーンは思い当たらないが、単焦点となると話は別だ。広角が標準に、標準が中望遠に化けるとは言え、きっと使い道があるだろう。

 先日、とあるところで「K-3 Mark IIIにはFA43mmが意外に合うんですよ」という話を小耳に挟んだ。ほほぅ… そうなのか? FA Limitedシリーズの中では個人的に一番苦手としている43mmが、APS-Cで使うことで使いやすくなるなら、それはそれでいい話ではないか。ということでさっそく試してみることにした。

K-3 Mark III + FA43mm

 なお持っているFA43mmはsmcのMade in Vietnamのブラック版だ。FA Limitedの中では一番最後に手に入れたのだが、そうは言っても5年ほど前のことだ。小さなレンズと言うこともあって、見た目的にも手にした感じもK-3 Mark IIIとの相性は非常に良い。色違いなのもむしろ格好良いと思う。

 さてこの組み合わせで散歩に出てみよう。

深紅のバラPENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f2.0, 1/800sec, ISO100, -0.7EV
 公園に咲いていた真っ赤なバラ。PENTAX機のデフォルトの設定のままのJPEG撮って出しでは、赤が色飽和したように潰れてしまうことがあり、こういう赤いバラは特に苦手としてる印象があるが、カスタムイメージを適切に調整したり、RAWを丁寧に現像すると赤の階調はいくらでも取り出すことが出来る(なんでそこまでしないといけないんだよ!と言うのはその通り)。
 

ネモフィラPENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f2.0, 1/250sec, ISO100, +1.0EV
 花壇のネモフィラ。へぇ〜ボケはこんなにキレイだったっけ?

 中央部がクロップされているため見かけ上の撮影倍率が上がり、K-1 Mark IIで使うときの寄れない感は薄らぐ。K-1 Mark IIではこのレンズでこういう風味を味わうことは難しいと思う。
 

パンダの遊具の顔PENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f2.8, 1/1250sec, ISO100, -1.0EV
 この前も撮った近所の公園にいるパンダ。AFは瞳認識はしなかった。ピントは鼻先に合ってしまったかも知れない。特に日が当たって陰影が出てるわけでもないのだが、顔の丸みの立体感がよく出てくるのが良い感じだ。
 

民家の壁PENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f8.0, 1/250sec, ISO100, 0EV
 もちろん絞ればカッチリする。もともと標準域の単焦点だけあって、デジタル補正しなくても気になるような歪みはほとんどない。中央部がクロップされているので周辺減光も気にならない(それがむしろ残念に感じられる場合もあるはずなのだが)。
 

神社の桜の葉PENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f5.6, 1/100sec, ISO100, 0EV
 とある神社の境内。こういう場合絞りを開けがちなのだが、お参りしてる男性の姿が分かる程度まで絞ってみた。

 さっきのネモフィラの場合とは一転、ボケにガサガサ感が出てきた。絞り羽根の形の影響もありそうだ。小さな後ボケがグリーンに縁取られるのはいかにも古い設計のレンズらしい。この辺の古くさいネガティブな特性も、画角が狭まることで少し拡大された印象になるのはAPS-Cで使う場合の欠点だろう。
 

お線香PENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f2.8, 1/500sec, ISO100, -0.7EV
 さて、K-3 Mark IIIにFA43mmが良く合う、という感覚はこれだけでは分かったような分からなかったような、微妙な状態だ。たしかに標準よりちょっと広い43mmの画角そのままよりも、少し狭くなって中望遠的な雰囲気が出てくると、目の前をざっくり切り取る感じで目が慣れやすい気はする。
 

緑と青空PENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f2.8, 1/5000sec, ISO100, 0EV
 空を見上げてみる。なんかこうなるといかにも中望遠っぽい。しかし85mmほど本格的中望遠ではない、独特の雰囲気だ。とはいえこの領域は昔からDA40mmF2.8 Limitedという本物のパンケーキレンズがあったわけで、PENTAX界隈ではそんなに目新しいことではないはずなのだが。

 F1.9という開放の明るさがポイントなのかもしれない。それに絞りでどんどん変わっていく描写性と、どことなく醸し出される古くささも楽しむべきなのだろう。
 

日本庭園枯山水PENTAX K-3 Mark III, smc FA43mmF1.9 Limited, f4.0, 1/1600sec, ISO100, 0EV
 いずれにしろK-3 Mark IIIに取り付けると軽快なのが良い。ボディ駆動のAF音も小さなレンズのおかげで気にならない。ピント精度面でも問題なさそうだ。

 うーん、HD版だとどうなのだろう? ちょっと気になってきた。

 それよりもまずは、他の2本のFA LimitedもK-3 Mark IIIで使ってみて、APS-Cで使うFA Limitedの感覚を一通り試してみたいと思う。
 

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