今冬の東京地方は1月にそこそこ冷え込んで雨が少なかったせいか、梅の開花がだいぶ遅くなった。それに押されてということなのか例年なら2月中旬には開花をしているはずの河津桜の開花もかなり遅く、見頃を迎えたのは3月も中旬を迎えてからになった。
梅や河津桜の開花を待ちわびていたのは人だけではない。その蜜をあてにしているメジロやヒヨドリたちもお腹を空かせて今か今かと待っていたことだろう。
写真界隈では「梅とメジロ」の組み合わせを「ウメジロー」と呼ぶことがあるのだが、その派生として「桜とメジロ」の組み合わせを「サクジロー」と呼ぶ場合がある。もはや語呂は何も合ってもいないのに。さらに「桜とヒヨドリ」の場合を「サクヒヨ」と個人的に呼んでいる。ここまで来ると「ナナニッパ」並に意味不明な言葉だとして嫌がられる場合もあるのだが、個人的には気にしていない。
以下、今シーズン撮影できたサクジローとサクヒヨ、さらに東京に咲く河津桜の都市風景を貼っていく。
木場公園とそのすぐ横を流れる大横川ぞいにソメイヨシノの並木がある。その中になぜか1本だけ河津桜が混じっている。寒気がようやく去り、少し暖かくなり始めた3月上旬、一気に咲き始めたと思ったらあっという間に満開まで一歩手前という状態になり、とても生き生きとして瑞々しく綺麗だった。
木場公園大橋の南側にある小さな花壇の中央に植えられた一本河津桜。多分まだ若い木で年々大きく枝を広げてきて、いつの間にか隠れた河津桜の名所になりつつある。
木の老化と安全対策のためか、街角の桜の木はどんどん枝が払われ無残な姿になりつつあるが、公園内の若木であればおかしな剪定をされることは(しばらくは)ないだろう。このくらい勢いある姿がやはり本来の桜の美しさなのだろうと思う。
青空に枝を伸ばす若い河津桜。枝先までびっしりと花をつけている。
品種を問わず、地元の桜の木の中ではこの河津桜が一番のお気に入りだ。このまま手を加えられることなく巨木に育ってほしい。
大横川沿いに戻り少し南に進むと、桜並木はソメイヨシノから河津桜と寒緋桜へと切り替わり、見事な景色が広がっていた。遠くに少しだけ姿を見せる東京スカイツリーと絡めて撮るのも毎年のお約束だ。
どこにピントを合わせたら良いものやら?
この一帯の河津桜並木は本当に綺麗だ。残念ながらこちら側の護岸には遊歩道はなく、木の下まで行くことはできない。おかげで人に根を踏まれることもなく、枝を選定されることもなく綺麗に咲いている。だからこの方が良いのかもしれない。
ここからようやく本題の「サクジロー」と「サクヒヨ」だ。まずはメジロ。
ピンクの花の中を素早く動き回る緑色の小さな小鳥たちは、もともと警戒心が薄いのか、あるいは都会育ちで人慣れしているためか、かなり近くまで寄ることができる。なのでフルサイズで400mmもあったら長すぎるくらいかもしれない。カワセミもこのくらい近寄れたら良いのに。
時には逆さまになったりしながら枝から枝へと渡り歩くメジロを追いかけてシャッターをひたすら切る。
十分明るいのでシャッター速度を高めに設定し、鳥認識AFにすべてを任せてしまえば、だいたい良い感じに撮れる。メジロくらいなら連写速度も連写枚数も必要ない。数打ちゃ当たる戦法に変わりはないが、歩留まりが上がってるおかげで無駄打ちもむしろ減ったと思う。
次はヒヨドリ。嘴にいっぱい花粉をつけてせっせと蜜を吸っている。
ヒヨドリはいつでもどこにでもいて、大きな声を出して騒々しい上に、メジロを追い払ったりして行儀が悪いというイメージがあるが、個人的にはそんなに嫌いではない。とはいえ桜や梅と一緒でなければわざわざカメラを向けることも少ないのだが。
ヒヨドリはメジロより二回りくらい大きいのでさらに撮りやすい。むしろ気をつけていないと尾がフレームから欠けてしまうことが多く、途中から意識してズームを引き気味にしたくらいだ。
鳥たちも今年はなかなか咲かない梅や桜に焦らされて、お腹を空かせて待っていたのではないだろうか? 例年よりも多くの鳥たちがいたように思える。
おまけで動画も撮ってみた。400mmくらいならニコンの手ぶれ補正でも手持ちで何とかなる。音もカメラの内蔵マイクのままだがヒヨドリの大声はしっかり録れていて、それなりに雰囲気はしっかり記録できる。ちょこまかした動きも良い感じで静止画とはやはり情報量がだいぶ違う。
使い道は定まっていないのだが、Z8を手にしてからはこうして静止画を撮りつつ、時々スイッチを動画モードに切り替えて短い動画を残すようにしている。これこそがミラーレス機ならではのハイブリッドカメラとしての使い方だと思う。
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