成田空港 ひこうきの丘から撮る絶滅危惧種4発機

2025-02-23

 ものすごい久しぶりに成田空港そばにある「ひこうきの丘」へ行ってきた。この冬の間、つまり滑走路が北風運用されていて、日没の時間がそこそこ早い季節のあいだに行っておきたいと昨年末から思っていたのだ。と言っても、東京在住かつ車あり民にとってはそんなに大変なことではない。単に気力の問題だ。

 いまだに成田空港周辺へ出かけて行くとなると、やっぱり一番の目当てはFLYING HONUになる。残念ながらA380で運航される成田ーホノルル線は年明けから減便されてしまったのだが、この日はちゃんと2便戻ってくる日(かつすでにホノルルを出発済み)であることを確認し、天候も気力も時間もあって道路状況も問題ないことを確認し、ようやく重たい腰を上げてみた。

 ということで、今回はANAのA380をメインとしつつ、成田空港に飛来する4発機をピックアップしてみようと思う。世界的に民間機は双発機が主流となり4発機はかなり数が減ってきた。そんな中でも貨物機やA380が就航する成田は4発機を観察するにはとても条件が良い空港だ。

日本貨物航空 Boeing747-8F

 国際貨物専門の航空会社NCAはB747-8Fのみ運航している。ANAによる買収が進んでいるはずだがNCAという名前は保持されるのだろうか。

NCA / B747−8F / JA14KZ

 全体的に古くからおなじみのB747独特のフォルムだが、翼が現代仕様に再設計されているので、なんとなくB787っぽさもあって美しい。
 

NCA / B747−8F / JA14KZ

NCA / B747−8F / JA14KZ

 巨体がゆったりと目の前を通り過ぎていく。エンジンカウルも後端がギザギザしていてその点もB787と同様だ。

 機首部が開く仕様なのは貨物専用機として作られた機体ならでは。B747自体が軍用貨物機の設計をベースにしているという歴史的背景を窺わせる部分だ。

 しかしこのB747-8シリーズはすでに生産終了してしまった。思ったほど性能も出ず、したがって思ったほど売れなかったという話を聞いたが、本当のところどうなのだろうか? このサイズの民間貨物輸送機は唯一無二なのに。貨物機も今後はB777クラスで十分なのだろうか?
 

大韓航空 Boeing747-400F

 続いてやってきたのは大韓航空の貨物機B747-400Fだ。大韓航空もB747-8Fを運航してるはずなのでそっちかと思っていたら、古い-400Fがやってきたではないか!

KAL / B747--400F / HL7602

 ちゃんとアッパーデッキが短くノーズドア付きなので、旅客型から貨物機へ改修された機体(B747-400BCF)ではなく、最初から貨物機として製造された正真正銘の-400Fだ。いや、どっちがレアなのかはよく知らないのだが、アッパーデッキが短い747はクラシックというかオリジナル感があってとても良い。

KAL / B747--400F / HL7602

 やはりB747は美しい。特に-400までのクラシック(およびテクノ)タイプはバランスが良い。CF6エンジンの控えめなファン径や翼端のウィングレットもとても良い。
 

KAL / B747--400F / HL7602

 後部のカーゴドアに窓の痕跡があるのは、旅客型のボディパネルを部品取りに使った結果だろう。あと貨物機だけどWi-Fiアンテナっぽい出っ張りが追加されているのもちょっと面白い。
 

Western Global Airlines Boeing747-400F

 世界中(特にアメリカ)には貨物専用のエアラインが多くあって、馴染みのないカラーリングの貨物機が飛んでいたりする。

Western Global Airlines / B747-400F / N258SN

 ロゴもなく何という航空会社が運航しているのか分からなかったが、レジ番号から検索してみるとWestern Global Airlinesという貨物専門の航空会社だそうだ。元をたどるとチャイナエアラインに導入された-400Fらしい。これも後部のカーゴドアには窓の痕跡がある。
 

ANA Airbus A380-800 FLYING HONU 2号機 JA382A

 さていよいよお目当てのFLYING HONUだ。まずは早便NH183がやってきた。機体はカイくんカラーの2号機JA382Aだ。

ANA / A380-800 / JA382A

 エアバス機は最新のA350もそうなのだが、翼がピンと真っ直ぐ張っていて、ボーイング機のようにしなっていない。そして翼端のウィングレットも旧型でかなり控えめなやつだ。ボディもデカいが翼もかなり巨大なことが分かる。
 

ANA / A380-800 / JA382A

 ひこうきの丘の真横を低空で掠めて行く。ワイド端100mmのレンズで足りるかどうかギリギリだったが何とかなった。この近くの菜の花畑との絡みもいつか撮ってみたい(この日も一応様子を見に行ったが全く咲いていなかった)
 

ANA Airbus A380-800 FLYING HONU 3号機 JA383A

 そしてラストは同じくFLYING HONUの遅便NH181が日没直前に到着する。夕方の光の中でFLYING HONUを撮ることができるのはこの季節だけだ。機体はラーちゃんカラーの3号機JA383Aだ。

ANA / A380-800 / JA383A

 コロナ禍では世界中のA380の運航が停止し、もはや超大型機の時代ではないと言われていた頃、新造されたばかりのANA向けJA383Aは1年以上エアバス社でストアされままで放置され、一度も商業運航することなく解体されるのでは?という噂も立つくらい絶望的な時期があったことを思い出す。

 こうしてお客さんを乗せた商業運航便として成田空港にアプローチする姿を見られるなんて!と、初めてJA383Aを見るわけでもないのに、やはりそういうあれこれを思い出してしまう。
 

ANA / A380-800 / JA383A

 鮮やかなオレンジ色の機体に夕日が差し込むので、その色が強調される。というかホワイトバランスもサチュレーションもどう設定したら良いのか良く分からない。特別現像で強調したわけでもなく、自然にこのくらいの濃いオレンジ色に写っていたわけで、これが本当の色なのだろう。
 

ANA / A380-800 / JA383A

 片翼に2発の巨大なエンジンを搭載するA380らしさがでるので、迫力があってとても好きなアングルだ。
 

ANA / A380-800 / JA383A

 翼とウィングレットの影がボディに落ちるので、ほぼ日没を迎えていることが分かる。垂直尾翼の大きさもあって、前から見るよりも後から見た方がA380の巨体感が感じられると思う。

 この前ANAのYoutubeチャンネルでやっていたのだが、A380の中央部メインギア6輪のうち、一番後ろの2輪はノーズギアに連動してステアリングするようにできているそうだ。地上走行の旋回性能を上げるためだとか。そんな仕組みになっているとは始めて知った。

 

 ということで今回の主な収穫は以上だ。撮りに出かけてしまえば数時間夢中になってシャッターを切るてえいどに楽しめることに変わりはないのだが、やはりどれも今まで取ってきた写真と変わり映えがせず、飽きが来ている、という感覚も厳然とある。

Jetstar / A321neo / JA28LR

 なのでなにか別のことをしなくてはな、という思いを新たにした。別のポイントを探すとか、別の時間帯、天候などなど…… もちろん、別の空港に遠征するというのも捨てがたい。とにかく、なにか飛行機写真を撮る楽しみになにか+αしたいと思っている。「撮り」は諦めて「乗り」に徹するもありだろうか。
 


 

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