本日2021年11月19日は日本の多くの地域で月食が見られた(天候要因は不明なので除く)。実際は部分月食なのだが食分が0.978と限りなく皆既月食に近いので「ほぼ皆既月食」と一般的に呼ばれていた。国立天文台は正しい用語として「たいへん深い部分月食」と表現している。
それはさておき、東京地方は終日晴れ予報だったものの朝から薄雲がずっと取れず、一時はこれはダメかも知れないと諦めかけたのだが、ちょうど最大食の前後15分くらいの間だけサッと雲が取れたおかげで、なんとかイメージしていたものに近い写真を撮ることができた。
今後もまたチャンスがあるかもしれないので、その時に見直せるよう撮影方法の備忘録として書き留めておくことにする。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*70-200mmF2.8 ED DC AW(200mm), f4.0, 2.5sec, ISO400, インターバル合成
撮れた写真とはこれだ。この多重露光的な手法を使った月食写真を一度撮ってみたかったのだ。少しアップにしすぎて月食具合の変化に乏しいところはイマイチな気がするが、影になった赤い月の様子も何となく写ったし、初めてにしてはまぁまぁだと満足している
撮影開始は17時48分で、終了したのが18時13分。少し前にずれているが最大食を挟んだ前後の様子を写した。
K-1 Mark IIのインターバル合成機能を使い、撮影間隔は2分30秒に設定した。それでちょうど月は一個分+αくらい移動する。カメラはもちろん三脚に載せて縦位置に構え、ほぼ対角線に動くことを想定して開始位置を決め、あとはスタートするだけだ。
最大食となる18時2分頃にちゃんとシャッターが切れるようにスタート時間を調整したかったのだが、雲との戦いでそれどころではなかった。今後の反省点としたい。
一番迷ったのは露出だが、過去のいろいろな例をネットで見て、直前に実地でテスト撮影してエイやッと決め、あとはK-1 Mark IIのRAWデータの懐の深さに頼ることにした。カメラ内で比較明合成まではやってしまい、合成後のRAWをLigtroomで現像している。
ピントはもちろん事前に地上の十分遠方の景色を使ってライブビューで合わせ込んだ。ズームを動かしたらピントも合わせ直さなくてはならないが、今回はテレ端200mmに固定とした。
本当は85mmくらいでもっと長い時間1フレームに収めることも考えていたのだが、雲が多くて長時間は無理っぽかったので、急遽テレ端で晴れ間の短い時間で終わらせることにした。その結果先に書いたように変化が乏しくなってしまったのだだが、月面の表情がより見えるようになって良かった面もある。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*70-200mmF2.8 ED DC AW(200mm), f4.0, 2.5sec, ISO400, インターバル合成
1枚目の写真は実はかなりトリミングしている。元のカットはこんな感じ(実はこれも少し周辺切っているが)で、本当は前後にそれぞれ3個分(約7分半ずつ)長く撮影していた。が、見ての通り前後は雲にやられてしまったので、真ん中の良いところだけ切り出してみたのが1枚目だ。どっちが良いかというと、雲に少し邪魔されたことの注釈付きでトリミングなしの方が良いかもしれないと思っている。
この経験と反省等々を生かして、次回はもう少し広い画角でもっと変化の大きな範囲を同様の手法で撮ってみたい。あるいは地上の風景と組み合わせるのもやってみたい。もちろん月だけを大きく取るのもやりたい。で、次の月食はいつだろうか?
(約1年後に皆既月食があるらしい)