Apple Watchに生活を支配されてしまったので Series 8を買った

2022-09-23

 Apple Watch Series 8を買った。ブログにしろニュース記事にしろYoutubeにしろ、発売日以降もほとんどレビューらしいレビューを見かけないくらいには不人気商品のようで、この記事もまた製品レビューではない。

 ”不本意ながら”気がついたら生活をApple Watchに管理され、それに依存してしまったことについての告白というか、独り言に過ぎない。

Apple Watch Series 8の箱

 パソコンはMacでスマホはiPhone、ついでにiPadも手放せないという程度にはAppleデバイス経済圏で生きている自覚はある。しかしApple Watchを手にするには6世代目までの進化を待つこととなり、初めて手にしたのが約2年前のSeries 6からだった。それは「こんなもの要らないだろ」とずっと思ってたからであり、最終的にSeries 6を買ったときも大した目的や期待があったわけではない。

 それからの2年。わりと冷めた気持ちで使い始めたはずなのに、今となってはApple Watchなくしては生活に支障が出るのではないか?と思うくらいに依存してしまっている。

 今回も新製品としてはほとんど目新しいこともなく特に何かを期待したわけではない…… という点では2年前と同じなのだが、その背景にあるのは「こんなの要らないだろ」ではなく「必要だから仕方がない」という気持ちでSeries 8を買った。

 

 どの程度依存しているかと言えば、お風呂に入るときに外して充電する以外、日中はもちろん寝るときもずっとつけっぱなしにしている。在宅勤務だったり何も予定のない休日だったり、部屋着のまま家から一歩も出ないときでさえずっとつけている。

 信者面してApple製品がいかに生活を豊かにするか?などと鼻持ちならない演説をしたいわけではない。どっちかというとこの状況に戸惑っている。どうしてこんなことになってしまったのか?と。
 

Apple Watch Series 8開封

 「Apple Watchのどこにそんなに依存しているのか?」と聞かれても、論理的に説明することはできない。それがむしろこの依存の深さを表しているのではないかと思う。つまりこれはスマートフォンと同じくもはや自分にとって生活のインフラになってしまったのだ。

 

 それでも一応何に使っているのか説明を試みる。

 まずApple WatchはiPhoneやMacのロック解除キーとして機能する。さらにはすべてのAppleデバイスで同期しているパスワード管理アプリのマスターキーとしても機能する。指紋認証とか顔認証とか、そんなのまだるっこしい。

 次に個人的にiPhoneはスマートフォンである前に、iPodの延長線上にある音楽プレーヤーとして重要な役割を担っているのだが、Apple Watchはその操作端末になる。混雑した電車に乗っていても雨の日で傘を差していても、Apple Watchだけで音楽プレーヤーの操作がすべてできる。イヤホンで操作?まさか!

 コンビニに行けばiPhoneを取り出すまでもなくApple Payの支払いもできる。エクスプレスカードとメインカードを使うなら断然Apple Watchのほうが手っ取り早い。最近はエコバッグだったりセルフレジだったりで、会計時にやることが多いので一手間減るだけでもありがたい。

 メールやLINE、電話などの通知を取りこぼさない。なんならトイレに入ってるときに電話に出ることもできる。と言っても実際にそんなことはしないしメッセージや電話は無視することもあるから、本当は大きなお世話なのだが。アプリごとにApple Watchへの通知はOFFにできるので設定を詰めれば快適だ。

 さらに、知らない間に歩数と階段の上り下りを数え、自転車に乗れば即座にそれを認識し、消費カロリーを記録し、丁寧な手洗いを指導され、座りっぱなしでいるとちょっと休めと注意をされる。心拍数、呼吸数や酸素飽和度も定期的に記録して、たまに「心拍がおかしいけど体調悪くない?」と心配してくれる。騒々しい居酒屋に長居していると、環境が悪いから移動しろと警告をくれることもある。大きなお世話だって? 全くその通りだ。

 夜が更けるとそろそろ寝る時間だと教えてくれるし、どの薬をいつ飲むべきか教えてくれて記録もされる。そして一番重要なのは、寝ているときに睡眠状態を監視し記録してくれることだ。もちろん医療機器ではないので参考データに過ぎないが、定期的な主治医との問診には役立つ。

 そして朝は決まった時間、あるいは設定した時間になったら優しい音楽を奏でながら腕を揺すって確実に起こしてくれるのだ。どこで鳴っているか分からないiPhoneを布団の上でジタバタしながら探す必要はない。
 
 とまぁ、この程度のことだ。なにも目新しいことはない。

 

Apple Watch Series 8

 一番刺さったのは最後の「ヘルスケア」デバイスとしてのApple Watchだ。歩数を数えることくらいガラケーの時代からできたわけだが、「出来る」と「使える」は全く違うし、さらに「意味がある」となると大きな隔たりがある。生活改善なんてしゃらくせえ!という意識の低さだったのに、今日は運動してないな……とApple Watchとヘルスケアアプリを見ながら、怠惰な一日を反省してしまうのだ。

 個人的な事情として、ここ5年くらい睡眠に問題を抱え服薬治療を受けている状態ということもあって、睡眠を「管理」してくれるというのも非常に大きい。それは単に正確なログが取れれば良いということではない。睡眠時間にあるべき状態になるようにサポートしてくれ、たとえ眠れずにいたとしても「はやく眠れ」と詰め寄ってくるわけでもないし「睡眠にはこれが良いですよ」みたいな説教を垂れたりもしない。

 ただ「そういう日もあるよね」と共感してくれる気がするし「今までにもこういうことがあったよ」と傾向を教えてくれる、そしてその眠れなかった日のこともまた記録してくれる。それだけでまぁ仕方ないか、と安心する。
 

Apple Watch Series 8 と Series 6

 これら一つ一つのことはとても小さなことで、どうでも良いと言えばどうでも良いかもしれない。2年前以前の生活がそうだったように、本当はこんなものなくてもさほど生活に影響はないはずだ。

 さらに同じような製品は他にいっぱいある。しかも各機能についてみればより優れたものや、コスパの良いものはいくらでもあるだろう。でもそういうことではないのだ。うまく言えないけれど。

 Apple Watchで行われることや記録されることはiPhoneやiPad、Macと同期しお互いに関係し一体として機能していて、どれかひとつでも欠けたらそれぞれのデバイスの便利さは大幅に低下してしまう。実はApple Watchを機能させるためにiPhoneが必要なのではなく、逆なのではないかと思っている。

 これこそまさにAppleデバイスの閉鎖的かつ独善的な「エコシステム」そのものであり、まんまとその罠にかかったと言うことなのだろう。彼/彼女らに生活を「管理」されて良いのか?と言われたら「良いとは思わないし、気持ち悪い」とは思う。

 でも一方で「もはや仕方ないじゃないか」とも思うのだ。

 

 さて最後に少しだけどんなApple Watchを買ったのか紹介しておく。

Apple Watch Series 8

 購入したのは先日発売になったばかりのSeries 8の小サイズ(41mm)で、色はミッドナイトのアルミケース版だ。セルラーなしモデルなのでSeries 8では一番安いやつということになる。男性は大きい方(45mm)というイメージがあるが、自分には小さい方(41mm)でちょうど良い。寝るときにもつけていることを考えると、なるべく小さくて軽い方が良い。

 バンドについて、Series 6ではスポーツループとソロループを気分によって付け替えていて、どちらもそこそこ気に入っていたが、今回はスポーツバンドにしてみた。バンドまでミッドナイトにするのは地味すぎると思い、わざと少し明るめのスレートブルーという色にした。
 

Apple Watch Series 8 裏側

 前に使っていたSeries 6はあちこちにぶつけたり擦ったりして画面が傷だらけになった経験から、今回は対策としてフィルムを貼ることにした。縁が曲面のApple Watchにフィルムが貼れるのか?と思ったのだが、ガラスのような硬度を求めるのでなければ、ゼラチンのようなフニャフニャな素材でピタッと曲面を覆うフィルムがあちこちから販売されている。

 でも普通に使っていて風防ガラスが傷だらけになる腕時計なんて、普通ならどんな安物でもあり得ないのに。Apple Watchの一番の不満点はここだと思っている。他のスマートウォッチはどうなのだろうか?
 


 とりあえず有名ブランド製品ということで↑これを買ってみた。なんと1箱に同じフィルムが6セットも入っている。それだけ頻繁に交換が必要になるのだろうか?

 貼ってから数日経過しているが、いまのところ印象はとても良い。まず見た目に全くフィルムを貼ってあるとは分からない。タッチ操作もスムーズで影響はない。あとは耐久性と実際の保護性能がどうなのか?だが、まぁSeries 6は裸で2年使っていたのだからそれより悪くはならないだろう。
 

傷だらけのApple Watch Series 6 フィルムを貼ったApple Watch Series 6

 ついでに傷だらけのSeries 6にこのフィルムを貼ってみたら、大きな傷以外は見えなくなって綺麗にかなりの部分ごまかせたと思う。上の写真は左が元の状態で、右がフィルムを貼ったあとの姿だ。効果は絶大だ。

 当初はSeries 6は手放してしまおうかと思っていたのだが、見た目が綺麗になったら勿体なく思えてきたので、バンドを新しくしてこのままサブ機として使おうと思いなおした。Apple Watchは装着により自動切り替えされるので、どっちをつけているかは気にすることなくシームレスに使える(ただしMobile Suicaの共用はできない)。

 そうすればお風呂に入ってる間もつけっぱなしに出来るかもしれない(いや、そこは外せ)。


 

2022-09-23|タグ: , ,
関連記事