Nikon Z 8とNIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR Sで近所の野鳥を撮る

2023-06-01

 Nikon Z 8を手に入れたその週末さっそく撮影に出かけてみた。試運転にしてはいきなり望遠ズームのNIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR Sを組み合わせたのだが、まずは近所の公園を歩き回ってその辺にいる野鳥たちを狙ってみた。

 東京下町のごみごみした住宅街にも良く見るといろいろな野鳥が暮らしている。それらは都市と人に馴染んでしまった特に珍しくもない野鳥達だし、結局今回撮れたのは、ほとんどがじっとしている姿ばかりで、Z 8(以後機種名はスペースを省いて”Z8″などと表記する)の性能をフルに生かして撮れた、とは到底言えない写真ばかりだけれども、自分自身にとってその撮影体験は今までにはない新鮮なものだった。
 
コサギの飛翔Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/2000, ISO560
 着陸直前のコサギ。これは前回のエントリー「届いたばかりの Nikon Z 8 はこの先10年の相棒となり得るのか?」の最後に貼っておいたやつだ。

 急にバサッと音がして上からコサギが降りてきたので、サッとカメラを向けてシャッターを押しただけだ。AFはカメラの被写体認識にまかせっぱなしで、特に連写もしていない。
 

アオサギ エビ捕食Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(230mm), f5.0, 1/2000, ISO2000
 エビを捕まえて飲み込もうとしているアオサギ。カワセミのダイブシーンの前にアオサギの捕食シーンくらい撮れないと話にならないだろうということで、練習のつもりで撮ってみた。一応捕食した瞬間も撮れたのだが、絵として地味すぎるのでエビの姿もはっきり写っている少し後に撮れたこちらを採用しておく。

 こちらはAFだけでなく連写にも頼っている。動画みたいなフレーム数でバッファ詰まりまで相当余裕があるというのは本当に素晴らしい。こういうのが本当に「なにもしなくても」撮れてしまう感がある。

 なおプリキャプチャーは設定方法がこの時点では分かっておらず試していない。その後メニューを探検しているときに見つけ、iメニューに登録しておいたので、今度チャンスがあれば試してみたいと思う。
 

歌うシジュウカラの幼鳥Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/1000, ISO2500, DXクロップ
 この日はカワセミにも出会えずちょっと残念な気持ちになっていたのだが、いつもよく歩いている遊歩道脇の木の上で、見たことあるようなないような可愛い小鳥がしきりに囀りつつバタバタしていた。

 望遠端でDXクロップしてファインダーを覗いてみると…… シジュウカラのようだが色が薄くてネクタイがはっきりしていない。ということはシジュウカラの幼鳥ではないか!かわいい。なるほどそういう季節なのか。
 

ホシゴイNikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f6.3, 1/2000, ISO400
 と言うことで、ここからはしばらく幼鳥シリーズとなる。まずはゴイサギの幼鳥、ホシゴイ。

 ゴイサギは成鳥も子どもも日陰でじっとしていることが多いが、陽の光を浴びて真っ赤な目が光っている。本当に若いゴイサギの目は黄色いはずなので、この子はそろそろ大人になりかけているのだろう。
 

アオサギ幼鳥 漁の練習Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/2000, ISO1000
 そしてまたもやアオサギ。じっと水面を見つめていたが漁はしていなかった。身体が小さく全体的に色が薄く、嘴も少し短いように見えるので、この子も巣立ちしたばかりの若いアオサギではないかと思う。
 

コサギの巣Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/1000, ISO500, DXクロップ
 近所の野鳥ビオトープはサギやカワウの繁殖地になっている。春から初夏にかけての時期は子育てで大騒ぎだ。サギの子をみると恐竜の血筋を強く感じる。

 この巣の小鳥はまだかなり小さいので本当に生まれたばかりなのではないかと思う。親鳥のほうが羽を毛羽立てているのもとても良い。
 

カルガモ親子Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(230mm), f7.1, 1/1000, ISO400
 可愛い幼鳥といえばカルガモだ。水辺の岩の上で休んでいるカルガモ親子に出会うことが出来た。子ガモは親ガモの日陰に入っているのが良い。ただこの大きさの子ガモが2羽しかいないのが気になる。生まれたときはもっと兄弟姉妹がいたのではないかと思うのだが、生き残れなかったのだろうか? この子達だってまだまだどうなるか分からない。

 都会の中でも天敵は沢山いるのだろう。生き残れなかった子ガモが可哀想というのも人間の勝手な感想で、そうやって生態系はバランスを保っているわけで、仕方のないことなのだ。
 

カルガモの子Nikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm), f5.6, 1/1000, ISO500, DXクロップ
 比較的近距離だったのだが、子ガモをアップにしたくてDXクロップに切り替えた。Z8のセンサーはZ9同様に45Mピクセルあるので、DXクロップしても約20Mピクセル弱の画素数があり、デジタルテレコン的な意味でクロップを積極的に使っていくことが出来る。

 ただし意図せずクロップされたままにしてしまうことに注意しないといけない(GR3などでも過去何度もやってきた失敗)。それを防ぐために「クロップ警告」という機能がZ8にはあるのだが、小さなDXマークがファインダーの隅で控えめに点滅するだけで見逃す可能性は十分にある。

 ワンタッチのクロップ切り替え機能はとても便利だが、ファインダーを覗きながら右手側で押せるカスタマイズ可能なボタンの中で、もっとも勝手に押される確率が低いFn2に割り付けたので、これでしばらく運用して様子を見てみよう。
 

 このカルガモ親子の様子を短い動画に撮ってみた。Z8は動画性能もZ9のそれを引き継いでいてかなり凄い。静止画ユーザーはとかく「デジタルカメラに動画機能は要らない」と言いがちだし、自分もそう思ってきたし、実際今まで一眼レフなどで動画を撮ることはほとんどなかった。

 しかし先日のニコンファンミーティングでとあるZ8開発者の方が「静止画メインの方も、写真を撮る合間に動画モードに切り替えて、10秒くらいでいいので動画を撮ってみて欲しい。シャッター速度がどうのとか細かい作法は後回しで良いので、まずは静止画と同じそのままの設定でもかまわない」と話していたのがとても刺さった。なので、その提言を真に受けることにしようではないか。

 このカルガモの動画はまさに写真を撮る合間に「静止画/動画セレクター」を動画モードに切り替えて、手持ちのまま30秒ほど撮ってみたものだ。撮影時はProRes HQ 10bit SDR 4K(UHD)/60pで記録し、あとでH.264に書き出しただけのもので特に編集はしていない(最後にフェードを追加しただけ)。

 なんとなく、最近動画の楽しさがじわじわと気になりだしているところで、Z8を買う気になったのも静止画と動画の垣根が低い高性能なハイブリッドカメラである、という点への興味があったかも知れないと自覚している。
 

ヒヨドリNikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(350mm), f5.3, 1/800, ISO2000, DXクロップ
 新緑の中に佇むヒヨドリ。かなり逆光でファインダー内ではほとんどシルエットだったのだが、ちゃんと被写体認識した。

 現時点ではかなり感覚的な感想に過ぎないが、首の長いサギ類よりも首の短い小鳥系のほうが「鳥」と認識されやすいような気がする(要検証)。
 

青い鳥オナガNikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(300mm), f5.3, 1/2000, ISO1600
 オナガ。薄いブルーの身体に長い尾、首から上だけ真っ黒で小鳥よりは大きめの身体はとても綺麗なのだが、街中でもわりと群れを作っていて声がうるさいというイメージがある鳥だ。

 実際カラスの仲間ということもあってか、行動もどこか不貞不貞しい…… と、姿が綺麗なわりにあまり好かれていない部類の鳥だと思うのだが、これが東日本にしか棲息していないというから自然界は不思議なものだ。東京には一杯いて生命力は強そうなのに。
 

嫌われ者カラスNikon Z 8, NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S(340mm), f5.3, 1/400, ISO720
 生命力が強そうでどこにでもいると言えばカラス。もっとも人間に嫌われている鳥といっても過言ではないかもしれない。写真に撮る人もあまりいないしSNSでも見ることは少ない。童謡に歌われ物語に登場するなど、昔から人々の生活のそばにいたはずなのにどうしてこうなったのか。

 このカラスは先ほどのオナガからもちょっかいを出され、散歩中の老人には杖を振り上げて追い払われ、子ども達からも追い回されるなど、散々な目に遭っていた。なのにこうして人間の近くから離れず、じっとカメラを見つめてくるのだからやはり不貞不貞しい。地域猫用に誰かが置いていった食料を狙っていたのかもしれない。

 ちなみに身体も目も真っ黒なカラスでも、Z8のAFはちゃんと鳥として認識され瞳にAF枠が点灯した。もうこんな便利な機能を使ってしまったら、小さなシングルAFポイントをちまちま動かすとかやってられなくなってしまう。それが趣味として楽しいかどうかは別として。
 

Nikon Z 8 + NIKKOR Z100-400mm f/4.5-5.6 VR S

 ということで、初撮り報告は以上だ。単体では重たいと感じるZ 8も、この100-400mmズームと組み合わせるととても軽快に感じる。

 ファインダー像は全く途切れずカクツキも皆無。AFはワイドエリアのまま被写体認識を同時に効かせることが出来るので、ピント位置のことを気にする必要はない。いや、気にするべきなのかもしれないが、とりあえず考えなくても撮れてしまう。

 それに連写性能もすごい。秒間20コマというスピードでも、高効率RAWであれば14bit記録のまま事実上の無限バッファ状態になるのだ。出来るとなると返ってやり過ぎないように自制心が働くという心理状態になっていたりする。
 
 手にしてまだ2日も経っていない時点で、機能もざっくりとしか把握しておらず、まだ慣れてもいない機材でこんなに楽に撮れてしまうのなら、自分にももっと出来るのではないか?と、得られた結果は凡庸でも、この先の夢を見るには十分な体験だった。
 


 

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