梅雨の晴れ間に隅田川河口に上がったシークレット花火

2024-07-05

 7月3日水曜日の夜、事前に何の告知もないなかで突如東京都心、隅田川河口付近に花火が上がった。浅草より上流部で毎夏行われる「隅田川花火大会」は7月最終土曜日開催なのでまだ早い。しかし何かのイベントやお祭りの開幕記念にちょっと打ち上げてみたとは思えないほど本格的な花火が次々に上がっていく。

 こんな重大なイベントの情報を見逃していたのか?と慌てながら、カメラを用意し見晴らしの良いビルの上へあがり慌てて写真を撮った。周囲にも急な花火に吸い寄せられて見物に出てくる人が沢山いる。

 花火の煙とともに風に流れてきた噂によれば、地元の倉庫および物流会社の創立100周年を祝うプライベートな花火大会らしい。警備やらなんやらの都合もあって秘密裏に進められた計画のようだ。
 

都心に上がる花火

 距離やらなんやら考えて120mmで足りるのではないかと思い、最初は標準ズームの24-120mmを付けて撮ってみた。ちょっと遠いがせっかく東京のビル街の真っ只中に上がる花火なのだから、都会の夜景も一緒に移した方が風情があるかも知れない、と何枚か撮ってみる。

 しかし……
 

都心のビルの隙間に上がる花火

 結局物足りない気がして100-400mmに付け替えてしまった。花火の前景も背景もビルだらけだし、東京タワーも見えているしこれで十分に都会の夜景風味もあるだろう。

 あとは運任せでとにかくシャッターを切りまくった。花火ってどうやって撮るんだっけ?と思い出しながらだったが、予習していなかったので正解が分からない。とにかく沢山の花火の軌跡を1枚に写し込みたくてシャッター速度を長くした。それでいてオーバーにならないように感度を下げ、絞りで調整する。ただ、花火は移動する輝点なので絞りすぎると写らなくなるかもしれず、なかなか難しい。もっとシャッター速度は速くして、スタック前提でも良いのかも。しかしそうすると開きかけなど中途半端なやつが混ざり変な写真になりそうだ。
 

都心のビルの隙間に上がる花火

都心のビルの隙間に上がる花火

 ……などとあれこれ悩みながら同じような写真を沢山撮った。結局今回はスタックはしておらず20〜30secの一発撮りで十分な量の花火が写り込んでいた。それだけもともと密度というか頻度が高い見事な花火だった。もちろん都会の真ん中とあって、一つ一つの花火のサイズとしてはかなり小さい方なのだが。

 コロナ禍にあちこちで行われたシークレット花火のように5分くらいで終わってしまうか? 10分は続くか?とドキドキしながら撮っていたのだが、結局きっちり30分行われた。シークレット開催にしてはかなり大規模だったと思う。これを一企業の周年記念でできてしまうなんてなかなか粋な話ではないか。いくらかかったのだろう?とか、よく警察がOKしたな、とかいろいろ思うところはあるのだが。
 

 スチルだけでなく動画も撮った。これはNikon Z8を手にしてからの習慣で、写真メインの撮影の合間にスイッチを切り替えて、短い動画を記録するようにしている。花火などはもしかしたらシャッタースピードやらなんやらで迷うくらいなら、動画で撮った方が確実という気もする。音も花火を楽しむ上では重要な要素だし。

 と言いつつ、動画の露出はさらによく分からない。花火はちょっとオーバーに写ってしまったようだがこれ以上暗くすると街灯りが霞んでしまいそうだ。SDRではなくHDRで撮れば良かったのかも。
 

 

 ということで、思いがけず楽しむことが出来た花火。打ち上げ場所は永代橋と中央大橋、月島の間の隅田川河口だったらしい。永代通りや首都高9号線などは規制しなかったのだろうか? なんなら毎年やって欲しいくらいだが、そうなるとやはり警備や観客整理、交通規制の問題が出てくる。

 なので願わくは他の企業や団体が何かの節目に30分だけのシークレット花火大会を開催する聖地になってくれれば、また同じような風景が見られるかもしれないし、場合によっては自転車を飛ばして隅田川まで走れば……(って奴がたくさん現れるからできないわけで)
 



 

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