RICOH GR IVを手に入れてから早くも1ヶ月以上が経った。大筋においての使用感はGR IIIとほとんど同じということもあって、実際のところ新鮮味はあまりなく「新しいカメラを使っている」という感覚は乏しい。それはGR IVにとっては狙ってそう作ったのだろうし、これ以上ない美点なのだと思う。
起動が速いとかボディがちょっと薄いとか、電池が長持ちするとか新しいイメージコントロールが入っているとか、スマホにつながりやすいとか、そうした細かい部分の違いはもちろんある。だからなんというか、GR IIIに6年以上の歳月をかけてその作法に慣らされてきた身にとっては、使っていて非常にストレスがないカメラだなと思う。
そんな薄い1ヶ月インプレッションを述べたところで、以下にこの間にGR IVで撮ってきた写真を貼っておこうと思う。だいたいはすでにSNSなどに上げたものがほとんどだ。
その辺の街角。ようやく気温が下がってきて秋らしくなってきた。空の色も澄んできて良い感じ。GRシリーズはデフォルトで「ネガフィルム調」に設定している。あっさり淡い感じがとてもよい。特に空の青色の発色がとても好きだ。
上に貼った入手直後のエントリーでも書いたが、GR IVから搭載された新しいイメージコントロールの「シネマ調」もかなり気に入っている。黄色系と緑系があるのだが、どっちも捨てがたい。が、なんとなく緑の方が採用率が高い気がする。色が淡いのは「ネガフィルム調」と似ているが、色調がかなり転んでいてコントラストは高い。
このカルガモの写真なんか、運河の淀みにある普通はカメラなんか向けないとてつもなく汚い場所なのだが、何とも言えない雰囲気が出ているように思える。
夕焼け空。この日は雲も良い感じに出ていたし、夏の空気の名残があって湿気があったせいかとてもよく焼けた。そこを風景とかこってりした色乗りの古典的な色調ではなく、これもまた「シネマ調」で撮った。ただし緑ではなく黄色の方を使った。飽和しそうなコテコテ風味は食傷気味なので、こういうのが新鮮でとてもよい。
なお新しくなったレンズに関して感想を言うなら、絞りによらず隅々までシャープだがレンズ補正をOFFにするとそれなりに樽型に歪んでいるし、周辺光量もわりと盛大に落ちる。
左が補正あり、右がなし。歪曲補正は両方ともあり。絞りF8でもこのくらいになる。ただしこれはDNGファイルからLightroomでレンズプロファイルをいじっているので、カメラ内の処理と厳密には同じではないかもしれない。
歪曲はともかく周辺光量は表現の一環として敢えて落としたい場合もあるので、それはそれで良いと思う。というか、わざとちょうど良い感じの滑らかな光量落ちを作り込んであるのでは?とさ絵思えてくる。
上から肉のエアーズロック、中トロにぎり、ポルチーニ茸。最近外食で食べた美味しかったものたちだ。なおこれも上の2枚は「シネマ調(黄色)」を使っている(そのせいかマグロがサーモンっぽい色味になってるかもしれない)。ポルチーニ茸は「ネガフィルム調」だ。GR IVではもはや「スタンダード」を使ったことがないかもしれない。
GRシリーズは飲み屋というか、ちょっとした会食みたいなところで使うにも、大げさすぎなくて良い。ホワイトバランスやAFが良くなったと言われるが、こういうシーンではGR IIIとあまり差を感じない。悪くはないが特に良くもない感じだ。
でもこういうのは単なる記録写真だとしても、スマホで撮るのとは二味くらい違う写真が撮れる。ここには載せないが人を撮るならなおさらだ。
心臓の手術以降、お酒はちょっとずつ解禁しているが、いずれにしても以前の量に戻ることはないだろう。ほんのちょっと嗜むだけ。
それにしてもちゃんとした店でちゃんと注がれた生ビールは旨いよね。美味しそうなウニ軍艦を目の前にしたらなおさら。こういうのもちゃちゃっと撮れるからGRはとても楽しい。
夜の駅。ラッシュ時間帯は人でひしめき合っているはずだが、少し遅くなるととたんに人がいなくなる瞬間がある。
センサーも画像処理エンジンも新しくなって、高感度性能も上がっているはずだが、その辺はもともと余り気にしていないせいもあって差があまり良く分からない。これはISO1250なので、今どきのカメラなら常用領域だが、返って味気なく感じてしまいLightroomでグレインを足してしまってるくらいだ。そういえばISO3200とか6400とかまだ使ったことがない。
東京スカイツリー2景。これはとある同じ場所に立ったまま180度向きを変えて2枚連続して撮ったものだ。
そしてこれは高感度の作例…… とはいえない。人をぶらすためにッシャッター速度をかなり遅く設定したので、感度はISO250程度まで下がってしまった。これまた物足りなさを感じて後処理でグレインを足している。
GR IVでは手ぶれ補正がかなり強化されたようだ。5軸になったのでマクロ領域でもっと効くかと期待していたら、そこについては(実感としては)それほどでもないのだが、こうして超スローシャッターを気軽に使ったときの歩留まりが良くなったかな?と思う。
木場の角乗りと御神輿。夏が過ぎてからもお祭りシーズンは続いている。
こういう街角で出会ったイベントなんか撮るにはやはり28mm相当はその場の雰囲気全体が写り込むのでとても良い。角乗りのシーンなんかズームレンズ付きのミラーレス機でも持っていたら絶対に望遠端にズームしたくなるところだが、GRしか持っていなかったら端からそういうことは考えない。というか望遠はいまやiPhone(17 Pro Max)に任せてしまえば良い、と言える時代になったのかも。
9月末に最盛期を迎えていた彼岸花も撮った。さすがにGR向きとは言えない被写体だが、何とかならないことはない。とはいえこれが正解なのではないと分かってはいるが、そこは適材適所ということで、こういうのこそZマウント機に任せれば良いわけで。
と言いつつ近所のコスモスはGRで撮ってみた。広角系の画角だし煽り気味が良いかな?と思うのだが、そうすると液晶が見えない。GRで地面に這いつくばるのはちょっと違うので、ノーファインダー感覚で適当に撮った。だからこれもスナップだ(強弁)。
最後に個人的にこの約1ヶ月の間にGR IVで撮った写真の中で一番気に入ってる一枚を貼っておく。彼岸花を見に行った水元公園で見かけた風景。コサギかなにかが獲物を探して池の縁を歩いているところ。これは野鳥写真でも風景写真でもなくて、まさしくスナップ写真だと思う。
多分なのだがこれはGR IVがなかったら撮れていないと思っている。iPhoneでは撮る気にならないし、Z8やZfでも無理な気がする。それは技術的にとか性能的にという意味ではなく、なんというか気持ち的に。GRを持っているから故にそういう目線がそうなっている、というべきか。
もちろんこれ自体はそんなたいそうな語りをするほどの写真ではないのだけど、そういう心の中の何かスイッチを押してくれるカメラである、ということは間違いない。結局は機材に撮らされているということなのだが、それの何が悪いのか?と開き直っているぞ、ということを言っておきたいのだ。
旧型のGR IIIはこのまま手元に残すだろう的なことをどこかで書いた気がするのだが、やはり色々考えて手放すことにした。死蔵しておくには勿体ない。今の時点でもGR IVはもちろんGR IIIの中古市場もかなり品薄のようだし。我がGR IIIは2019年3月15日の発売日に手に入れた正真正銘の初期ロットなのでそれなりにヤレているが、6年半経った今でもちゃんと使える。誰かに使ってもらえるならその方が世の中のためになるだろう。



























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