「鮨 太郎」に久しぶりに行ってきた。前回はお正月に大間のマグロを食べたときだったので、実に半年ぶりだ。
季節はすっかり進み、ほとんど真夏のような季候になっている。梅雨の明け際なのか夏の台風なのか分からないような嵐までやってきた夜、期待に胸を膨らませ新小岩まで出かけてきた。
何を期待するって、この季節に江戸前寿司を食べるとなれば、やはり「新子」に出会えるかどうか?に決まっている。近年はタイミングが合わずに新子に出会えない年が多くなってきた。少なくとも昨年は食べていない。さて今年はどうだろう?
夏の小鉢。蓴菜やナスなど夏の旬が入っている。さっぱりしていて涼やかで美味しい。
お刺身も夏らしく水ダコとかやはりさっぱり系。塩にするかワサビ醤油でいくか悩む。
前半戦で必ず出てくる手巻きは、もはや具のマグロしか見えておらずシャリが入ってるのかどうか怪しい。海苔の香りと風味と相まってものすごく美味しい。
そして! いきなり出てきた新子!しかも四枚付け。美しいとしか言いようがないこの姿。あっさりしたこの風味を存分に味わえるように、濃い口のネタが出てくる前に出してくれたようだ。素晴らしい。
何とも言えない儚い歯ごたえと味わいが素晴らしい。もっと小さな8枚付けとかになると味よりも歯ごたえが勝ってくるし、2枚付けだと旨味はあるが新子らしさはどこか薄まってしまう。その絶妙なバランスが4枚ではないかと思う。
と言ってもこれはもはやコントロールできるものではなく、タイミングにかかっている。冒頭に書いた通りまったくダメな時もあるわけで、出会えただけでもう感謝というレベルだ。
美しすぎて縦でも撮っておいた。
そして次に出てきたのは、これまた繊細な味わいの生しらすの握り。ピリ辛の薬味と相まってキリッと口の中が引きしまる。
大粒のあん肝。ちびちびと切り取りながら箸を舐めつつ、日本酒もちびちびといただく。なんとも贅沢な時間が流れていく。
焼きもののお皿にはヤングコーンや鰻などなど、こちらも夏バージョンだ。
そして握りへ。いつもながらに格好良いシュッとした江戸前寿司の数々。ホッキ、中トロ、ウニ軍艦、穴子などなど。赤酢のシャリも美味い。
コハダも出てきた。新子と比べるとやはりずっと旨味がある。味わいで言えばやはりコハダに勝るものはない。新子をありがたがるのは江戸っ子の初物/新物好きをこじらせた結果だろう。
そして今回もまた最後におまけの巻物を出してくれた。これが豪華でほとんど一食分あるように思える。食材もなにげに中トロやらなんやらふんだんに入っている。素晴らしい。
体調の問題もあってアルコール摂取量を極力減らしているところだが、これだけ美味しいお寿司の数々を前にしてどうしようもなかったので、締めのビールまでちゃんといただいた。超美味しかった。
夏という季節は本当に嫌いで、じっと息をを潜めて早く涼しくなるのをひたすら祈って過ごしているのだが、ごくわずかに夏でうれしいことがあると言えば、新子を食べられることかもしれない。それ以外にも夏が旬の食べ物はけっこう好きなものが多い。暑さはまだしばらく続くと覚悟しているが、この夜のおかげでなんとかやりすごせそうだ。
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