12年前のNHK朝ドラ「あまちゃん」のロケ地などを巡る旅 #1

2025-04-06

 以前からずっと行きたいと思っていた岩手県沿岸に行ってきた。目的地は久慈……となれば勘のいい人はすぐに分かると思うのだが、12年前に放送されたNHK朝ドラ「あまちゃん」のロケ地めぐり、いわゆる聖地巡礼が目的だ。

 移動の自由度を最大限にするために、正宗パパ同様に”モータリゼーション”にたよって東京から車で出かけるつもりでいたのだが、残念ながら308は修理中のまましばらく戻ってきそうにないので、予定を変更し新幹線を利用して盛岡からレンタカーで移動することにした。新幹線はなにも問題なくダイヤ通りに運行されればとても速いし楽ちんだ。

 ということで、まずは初日に巡った場所をざっと紹介する。この際まとめたりせず、写真の枚数も気にせず時系列に貼っていく。

侍浜海水プール

 最初に訪れたのは久慈市の北にある侍浜海水プール。ここはアキが海女になるための特訓をするシーンで使われた場所だ。なるほど、あれは袖ヶ浜ではなかったのか、と今さら知ることになる。

侍浜海水プール

 自然にできたものではなく人工的に整備されたプールで、残念ながら冬期は休業中なので水は張っていないし誰もいない。ただし自由に見学することはできる。

 休業中とはいえ周辺含めてとても綺麗でちゃんと整備されているようだ。水が張られた景色をぜひ見てみたいと思うが、そうなると水遊び目的で来る人(主に子どもたち?)がいるだろし、むしろその状況で見物だけの観光客がウロウロするのはどうなのだろう? などと要らぬ心配をしてしまった。
 

侍浜海水プール

 アキが海へと流されていったという設定の水門はあれだろうか? 実際に撮影に使われたかどうか分からないがそれっぽい雰囲気がある。

 プールの深さは全体的にとても浅く実際には素潜りの練習ができるようなところではない。いや、ドラマ中でも実際のところ潜る練習をしていたわけではなく、水に顔をつけていただけだったっけ。
 

侍浜の岩場

 なおプール周辺はゴツゴツの岩場でその向こうには太平洋が広がっている。荒波が寄せては押し返していてなかなか雰囲気のあるところだ。もしかしたらドラマ内に出てくる海女さんたちの集合写真はこの辺の岩場で撮られたものではないかと思えてくる。風が強くて非常に寒かった。

久慈駅

 続いて三陸鉄道の久慈駅にやってきた。駅前、駅ナカ、ホームなどなど、ドラマの中では繰り返し何度も登場する場所で語りきれない重要な場所だ。

久慈駅

 ドラマ中の北三陸駅こと久慈駅。初めて来たのに懐かしすぎて、むしろちゃんとした写真を撮っていないことにあとで気付いた。でも見逃しがちな駅前の小さなロータリーとベンチもドラマ内で使われていた重要な場所だ。
 

久慈駅の中

 駅の中にももちろん入ってみる。改札からホームに出るあたりの景色はなんとなく面影があるが、実際のところドラマ内の北三陸駅とはかなり違っている。実際この駅内でどのくらいロケが行われたか分からないが、スタジオ撮影も多かったのだろう。
 

久慈駅のあまちゃん関連展示

 駅内の一角にはこうしてあまちゃん関連の展示も行われている。やっぱりなんだか懐かしい。

 久慈駅で聖地巡礼というからにはホームに出てみるべきだったのだが、いろいろ見るものや行きたいところが多すぎてすっかり失念しすっ飛ばしてしまった。次回への宿題としたいと思う。
 

リアス亭のうに弁当 リアス亭のうに弁当

 駅内にある三陸リアス亭では「うに弁当」が売られている。数が少なく早い時間で売り切れ必至なので予約しておくことが望ましい。今回はもちろん予約しておいた。

 このリアス亭もドラマ内のリアスとは違って、駅中そば屋のカウンターみたいな感じになっている。うに弁当も夏ばっぱが車内で売っていたものと同じではないと思うが、ドラマの中ではこの弁当は重要なアイテムなので聖地巡礼の旅としては絶対に食べておきたい。蒸したウニがたっぷり乗った弁当は非常に美味しかった。シンプルで食べ応えもある。2025年3月時点でお値段は2500円となかなかするが、その価値はあると思う。

久慈駅周辺散策

 久慈駅の周辺を散策してみる。

久慈観光協会

 まずは駅の目の前にあるこの廃墟のような古いビル。ドラマ中では観光協会が入っていたビルで重要な物件だ。実際は久慈駅前ビルでほとんど廃墟となっており、安全面からも取り壊しが議論されているらしく、中を自由に見学できるわけではない。

 バス乗り場を前にしたこの佇まいには既視感しか感じないし、観光客としてはこの光景はいつまでも残っていて欲しいと無邪気に思ってしまうが、実際問題そういうわけには行かないのも良く分かるほど見た目に老朽化している。見ることができて良かった。
 

駅前観光交流センターよむのす

駅前観光交流センターよむのす内の展示 駅前観光交流センターよむのす内の展示

 駅の横には本物の観光協会的な位置付けの施設としてYOMUNOSUという綺麗なビルが建っている。かなり新しい施設のようだ。中は自由に出入り可能でいろいろな観光情報やあまちゃん情報にあふれている。
 

あま絵シャッター あま絵シャッター

あま絵シャッター のん作

 久慈駅前の商店街はシャッターにさまざまなあまちゃん関連のイラスト、通称「あま絵」が描かれている。シャッター商店街なのはそれはそれで寂しいことなのだが、スナップ撮影がてらブラブラ歩いているだけで楽しめる。

 ちなみに↑上の写真の3枚目「懐喫茶ZEN」というお店のシャッターに描かれている絵は、あまちゃん主演女優のんさん(能年玲奈さん)の作だ。
 

久慈の街角のあまちゃんポスター

 街角にはあちこちにあまちゃんのポスターが貼ってある。中にはこうして色あせてきたものもあって時の流れを感じる。あのドラマが放映されたのはもう12年も前のことなのだ。そして東日本大震災から14年が経っている。
 

喫茶モカ

 喫茶モカにも立ち寄ってみた。ここはロケ中に出演者の俳優さんやスタッフ達が通ったお店であり、ドラマ中に登場するリアスのモデルになっているとも言われる。実際のところドラマ中のリアスよりはずっと本格的な昭和喫茶店という感じだ。店内が似ているかどうかはさておき、店中に貼られたサインや写真を見ているだけで楽しめる。
 

たまごサンド

 先ほどうに弁当を食べたばかりだが、ここに来たからには たまごサンド を食べなくてはならない。独特の味付けとたまごの焼き具合でとても美味しい。キュウリの漬物が付いてくるのも特徴だ。コーヒーも美味しかった。

 このお店の楽しみ方については↓このYoutube動画が必見だ。

 

道の駅くじ やませ土風館

 ぶらぶら散歩をしながら道の駅「やませ土風館」を目指していたのだが、ここで雨が降ってきてしまった。なので駐車場に戻って車に乗って移動したが、実際は久慈駅から十分に徒歩圏内だ。

やませ土風館に展示されている山車

 中には久慈秋まつりで使われる山車が展示してある。ドラマ中にも祭のシーンが登場している。なるほど、こんなに大きいのか!
 

やませ土風館のあまちゃんロケ地情報看板

 あまちゃんのロケ地にはこうした看板が必ず立っておりどのシーンで登場したのかが良く分かるようになっている。実際にこの道の駅とその前の道路ではミス北鉄コンテストの祭のシーンが撮影されたそうだ。
 

ハチワレとのん

 全然関係ないがこの旅にはカメラを持ったハチワレを連れてきた。一緒に聖地巡礼して写真を撮ろうよ!ということで(異論や苦言は認めない)

 道の駅の中にはそれ以外にもいろいろ見るものがあって飽きない。もちろん「いちご煮」やワカメなどなど地元産品もたくさん売っている。

小袖海岸

 残念ながら午後になって雨が強くなってきてしまったが、久慈駅から海沿いの細い道路を走って小袖海岸にやってきた。ある意味久慈駅よりも重要ポイントかもしれない。ドラマ内では袖ヶ浜と呼ばれていた漁港だ。

じぇじぇじぇの碑

 駐車場に車を置いてすぐに目に入るのがこれ。ドラマの中でも頻繁に出てくる「じぇ」という驚きを表すこの言葉は、この地域発祥の方言だそうだ。あまちゃんが大人気になったおかげで流行語大賞に選ばれた記念に建てられた碑だそうだ。
 

袖ヶ浜漁協前

 さらに海岸沿いに進むと、ドラマ内で天野家から袖ヶ浜漁協前に下ってくる坂道に出会う。アキちゃんや夏ばっぱを含めた海女さん達が唄いながらやってくる姿が見えてくるようだ。
 
 道の左側にもさまざまな碑や看板が立っている。観光名所にすぐこういうのを建てるのは景観維持という面でどうかと思う場合が多いが、もはやそんなことを言っている場合ではない。
 

海への階段

 そしてここ! 青い岩場の海へと下る階段。海女さん達はここから海へと入って潜っていくあの場所だ。この日の天候では全く海にへ入れる気はしないが、ギリギリまで降りてみることもできる。

 夏期は実際にここで海女さんの素潜り実演が行われているそうだが、今の時期はまだシーズンではないのでなにもない。
 

夫婦岩前の海

 その階段の目の前の小さな橋と奥には夫婦岩がある。この橋の上と下、そして先ほどの階段で繰り広げられた序盤のシーンが思い出される。天気は悪いが海の色はとても綺麗だ。
 

小袖漁港

 そして漁港の内側を見てみる。アキが夏ばっぱに突き落とされたり、春子やアキが走った堤防が見渡せる。
 

小袖漁港の灯台

 生憎の雨の中だが堤防の先端へと行ってみた。上に上がる階段はあるのだが立ち入り禁止になっている。ぜひ上に上がってアキや春子と同じ景色を眺めてみたかったが仕方がない。
 

海女Cafeネオン看板 漁協・袖ヶ浜集落看板

リアスの看板

 小袖海岸に建つ海女センターに立ち寄った。建物自体はドラマ撮影時には存在していない…… というか、先代の海女センターは津波で流されてしまったそうだ。

 中はお土産屋さんの他、あまちゃん関連のものがたくさん展示されている。特に看板類。リアスとか漁協とか海女Cafeとかとか。すべてドラマ撮影で実際に使われたものだそうだ。
 

北限 海女の道

 海女センターを出て裏山を登り監視小屋へ行ってみた。道のり300mちょっとの山登りだ。道は整備されているがかなりの急坂なのでちゃんとした靴は履いていた方が良い。
 

小袖漁港監視小屋

 ヒロシがバイトをしていた小屋であるということももちろん、春子と夏が本気獲りに挑むアキの様子を双眼鏡で見守っていた場所でもある。晴れていたらどんなに良い景色かと思うが、雨に煙る三陸の海も悪くない。

堀内駅

 続いて海沿いの道路を南に向かい、三陸鉄道の堀内駅に立ち寄った。

三陸鉄道 堀内駅

 この景色に見覚えはあるだろうか? この駅はドラマ中では袖ヶ浜駅として繰り返し登場する。

 特に宮古方面のトンネルに向かってユイちゃんが叫ぶシーンはあまりにも衝撃的で記憶に残っている。青いベンチはドラマ中のものとは違うようだが、雰囲気はまさにこれ。何とも素晴らしい場所だ。
 

三陸鉄道の車両

 タイミング良く宮古行きの列車がやってきた。実際に作中に登場する車両とは形式が違うようだが、このカラーリングの車両も見覚えがある。乗ってみたいところだが、それは明日の楽しみにとっておいてここはぐっと我慢。
 

三陸鉄道大沢橋梁

 堀内駅の少し南に行くと大沢橋梁があり、三陸鉄道の有名なビュースポットとなっている。ドラマ内ではこの橋の下の海岸で夏ばっぱが大きな旗を振っていた場所だ。春子は気がつかず、アキは気がついて窓から手を振り返す、あの感動シーンだ。前後の振りというか伏線の張り方も見事だった。さすがクドカン。

 天気が良ければ堀内駅ではなく、列車をここで見送るのも良いと思う。

宿泊は津波被害から復活したホテル羅賀荘

 さらに海岸線を南に下り、この日の宿泊先「ホテル羅賀荘」に向かった。

ホテル羅賀荘

 いかにもリアス式海岸という地形の、小さく狭い入り江状になった海沿いに建っている。ホテルというよりは日本の各地にありがちな観光宿で、震災前からこの地に建っている。なので東日本大震災では大津波により3階まで水に浸かり甚大な被害を受けたが、幸いその後復旧することができたそうだ。

 直接的にドラマ内には登場しないが、あまちゃんに関する聖地巡礼の旅において、東日本大震災による被害の爪痕は切っても切り離せない。
 
ホテルの夕食

 この日は平日だったがそれなりにお客さんはいた。オーシャンビューの大浴場があるが温泉ではない。部屋も多分全室オーシャンビューだと思われる。残念ながら天気がイマイチでスッキリした眺めはなかったのだが、久しぶりの和室&布団はとても懐かしい気分になる。

 いかにもそれらしいこんな感じの夕食コースもまた懐かしい。もちろん海の幸中心でとても美味しかったしお酒も進んだ。

 #2へと続く予定……


 

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