世界遺産「日光の社寺」で豪華絢爛の裏にある静かな苔の緑に癒やされる

 ふと思い立って日光に行ってきた。東京からは車でも電車でも交通の便は良いので、ときどき急に行きたくなる。日光と言えば秋の紅葉が有名だが、秋は混雑しすぎでよほどの覚悟がないと行けない。でも春や夏の緑の季節も、雪に埋もれた冬もとても良い。年中楽しめる場所だ。

 かの有名な東照宮は、陽明門に代表されるように豪華絢爛でキラキラしていて、観光客で溢れて賑やかなイメージがあるけど、巨木の深い森に囲まれて苔むした境内は、ちょっと裏に入ると意外なくらいに静かで趣がある。特に梅雨のこの季節は雨に濡れていたりすると、緑が際立ってとても美しい。

IMGP5894.jpgPENTAX K-1改, D FA★50mmF1.4 SDM AW, f2.8, 1/80sec, ISO200, -1.3EV
 ほら、東照宮の入り口付近からしてこんな感じ。巨木の幹も苔で覆われている。この日は朝までシトシト雨が降っていて木も草も瑞々しくて苔も生き生きしていた。

 背後にチラッと見えているのは五重塔だ。オリジナルは一度焼失してしまったが、江戸時代後期に再建された。いつもは外観しか見られないが、この日は特別に心柱が見られるように公開されていた。

IMGP5912.jpgPENTAX K-1改, D FA★50mmF1.4 SDM AW, f1.8, 1/500sec, ISO200, -1.0EV
 あと「日光の社寺」と言えば燈籠。これでもかというくらいに石灯籠や鉄燈籠が並んでいる。これらの燈籠も300年とか平気で経っていたりするので、全体に苔むしていたりして格好イイ。気がついたら燈籠の写真ばかり撮っていた。

 うっかりすると見逃してしまうが、一つ一つは東照宮建立時に全国の大名が寄贈した物で、日付と名前が入っていたりする。でもまぁ、これも徳川家の権力が強力であったが故に、みんな横並びで仕方なく送った物なのではないかと想像する。

IMGP5944.jpgPENTAX K-1改, D FA★50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/1250sec, ISO200, -1.0EV
 陽明門にやたらについてる唐獅子。金色の部分はすべて金箔だろうか? 今年の3月に平成の大修理を終えたところで、陽明門は今までに見たことないくらいキラキラしていた。

 日光東照宮が建てられた三代将軍家光の時代は、佐渡から大量の金が産出され、しかも鎖国政策に入ったところで、それらの金は国内だけで流通していたから、使っても使っても追い付かないほどの(文字通りの)金が幕府にはあったそうだ。「黄金の国」と呼ばれた時代から400年くらい経っていたけど、この時代こそが「黄金の国」最盛期だったのではないかと思う。

IMGP5968.jpgPENTAX K-1改, HD FA35mmF2, f8.0, 1/60sec, ISO800, -0.7EV
 そんな豪華な東照宮はたくさんの観光客で溢れている。が、主要な見学コースから一歩外れて裏路地に入ってみると、途端にこんな景色が広がっていたりする。緑豊かで静かな山里の雰囲気が色濃い。江戸の鬼門にあたる方角で、ここに聖域が作られた理由が少しだけ分かるような気がしてくる。

IMGP6030.jpgPENTAX K-1改, HD FA35mmF2, f8.0, 1/60sec, ISO400, -1.0EV
 世界遺産「日光の社寺」は東照宮だけではなく、二荒山神社と輪王寺などを含んでいるのだが、個人的に一番好きなのは大猷院だ。東照宮が家康公を祀っているのに対し、大猷院はその東照宮を建立した家康の孫、家光公の廟所だ。東照宮より少し控えめながら豪華さは引けを取らない。そして何よりも、こっちは人が少なくてとても静かだ。なので一層その荘厳さが響いてくる。

 この写真は大猷院の一番奥にある、家光公墓所へ続く皇嘉門だ。閉じられていて入ることはできない。何年か前に一度公開されたことがあって、行きたいと思っていたのに行けなかった。今度この扉が開かれることがあったら必ず再訪したいと思う。

IMGP6007.jpgPENTAX K-1改, HD FA35mmF2, f2.0, 1/50sec, ISO800, -1.3EV
 大猷院の二天門裏側には風神と雷神がいる。これはもちろん雷神の方。モノクロに仕上げてしまったけど、身体は真っ赤に塗られている。あまり大きくなくて、とても写真写りが良いからここに来ると必ずこんな感じの写真を撮ってしまう。

IMGP5877.jpgENTAX K-1改, D FA★50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/250sec, ISO200, -0.7EV
 もう一つ、東照宮の穴場で大好きなのが御仮殿だ。ここは大猷院に輪をかけて誰もいない。実際、その名の通り仮の社殿であり、今はというかこの数百年は何も機能していない、つまり誰も祀られていないのだそうだ。だからなのか誰も行かなくてとてもひっそりしている。

 しかし、これも17世紀の現存建築物で国の重要文化財にして世界遺産の一部だ。仮殿は普通用済みになったら取り壊されてしまう物だが、この東照宮の仮殿はなぜかそのまま残されている。豪華絢爛な東照宮の影にはこうした建物が実はいくつかあったりする。

IMGP6108.jpgENTAX K-1改, D FA★50mmF1.4 SDM AW, f2.0, 1/80sec, ISO200, -0.3EV
 それにしても、石垣や燈籠や木の幹に生えた苔がとても綺麗だ。ある意味ここも苔の森と言っても良いくらい。そんな中に小さなキノコを見つけた。近寄って切り取ってしまえば、白駒池か屋久島で撮ってきたと言っても通用しそうな感じだ。

 撮影データにあるとおり、今回はPENTAX K-1改に単焦点レンズを2本、HD FA35mmF2とD FA★50mmF1.4だけ持って行った。広角が欲しくなるかな?と少し心配したけど、そうは感じなかった。これしか持ってないとなれば何とでもなる。撮った写真は記録用でも説明用でもないから、どこで何を撮ったかは自分だけ分かっていれば良いからだろうか。

 日光はまた思い立ったらいつでも行ける。秋の紅葉はベタなれども是非訪れたい。が、先にも書いたとおり混雑だけが心配だ。あと、雪が降った日にもきっと綺麗だろうと思っている。ということでまた次回!

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