定番望遠ズーム HD DA55-300mm F4.5-6.3ED PLM WR REを手に入れた

2021-07-26

 PENTAX K-3 Mark III 用に新しいレンズを買った。K-3 Mark III はやはり望遠レンズで特に力を発揮するし、K-1 Mark II との使い分けのポイントだろうと実感している。望遠レンズと言えば HD DFA150-450mm や DA★300mm も持っているが、APS-Cのコンパクトさを生かした、気軽に持ち出せる望遠ズームも欲しい。

HD DA55-300mmPLM

 となれば、Kマウントには隠れた名レンズがある。数年前にロードマップに載っていないのに突然発売された HD DA55-300mm F4.5-6.3 PLM だ。電磁絞り化されたKAF4マウント最初の1本であると同時に、AF駆動にパルスモーター(PLM)を採用した初のレンズでもある。さらに沈胴式ズームも採用するなど新世代の設計となっている。

 なお今回は初めてリコー株主向けの特別限定販売を利用した。リコーイメージング・ストアのアカウントに株主番号を登録すると、対象製品がかなりお得になる。このレンズも通常販売価格から30%以上値引きされ、価格comなどの最安値を遙かに下回る値段で購入することができた。

開封

 ということで、さっそく届いた箱を開けてみよう。

HD DA55-300mmPLM 付属品

 付属品は前後キャップとフードだけだ。レンズポーチは同梱されていない。
 

HD DA55-300mmPLM

 レンズ本体。沈胴した状態でわずか全長89mm、最大径は76.5mmしかない。重量はフード込みで470gほどだが、手にするとわりとずっしり感がある。

 これで望遠端300mm(フルサイズ換算460mm)の長さが得られるズームなのだから「もしかしたら望遠もあった方が良いかも…?」と言う場合に気軽に持ち出せる。
 

HD DA55-300mmPLM 前玉 HD DA55-300mmPLM 後玉

 フィルター径は58mm。11群14枚のレンズ構成でEDレンズが1枚だけ使われている。最短撮影距離は0.95mで最大撮影倍率は0.3倍と、そこそこマクロ風味が味わえる。

 マウント側はKAF4なので、機械連動機構が一切ない。ちゃんと金属マウントでWRのシーリングもされている。
 

HD DA55-300mmPLM ワイド端

 K-3 Mark IIIに取り付けてみた。沈銅を解除しワイド端でフードを付けるとこんな感じだ。フードがやや深いくらいで、全体的なサイズ感的にはごく普通の標準ズームと言われても違和感がない。
 

HD DA55-300mmPLM テレ端

 テレ端の300mmまでズームリングを回すと激しく鏡胴は伸びてこんな姿になる。まだ新品だから当たり前かも知れないがガタつきもなく見た目よりはしっかりした感じだ。

 ズームリングはややスムーズさに欠けて、ゴリゴリと引っかかる感じがあるが、まぁズームカムなどのメカ的にも苦労しているのだろう。実際の使用に問題は無い。

さっそく撮ってみる

 さて、このレンズは日々の散歩などで使いたいというのが主な目的だ。K-3 Mark IIIにこれ一本だけ付けて出かけ、目についた物を切り取っていく。地元の見慣れた街角は全体をとる必要はないから望遠レンズがちょうど良いと思っている(※個人の好み)。

 ということで、どんな使い心地なのか? どんな写りなのかさっそく確かめてみた。

オナガPENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(300mm), f6.3, 1/320sec, ISO160, ー0.3EV
 その辺の電柱にも飛んでくるような、街中でもおなじみのオナガだが、写真が撮れたのは初めてだ。なかなかかわいい。
 

セミPENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(300mm), f6.3, 1/320sec, ISO2000, ー0.7EV
 夏といえばセミ。子どもの頃は、声がする木に近づいて見上げてもその姿を見つけることができなかったのに、歳をとった今はすぐに見つけられる。セミの数が特に増えたとは思わない。単にセミの姿を捉える能力がついたのだろう。子どもの頃に欲しかった。
 

ゼフィランサスPENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(260mm), f8.0, 1/320sec, ISO640, ー1.0EV
 ユリ科の何か。ゼフィランサスだろうか? 近接撮影もこんな感じでなかなかいける。もともと開放F値が明るくないので、絞りを開けすぎてボケボケにならずにすむ。
 

アカミミガメのあくびPENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(170mm), f8.0, 1/250sec, ISO200, ー0.7EV
 酷暑の日中に甲羅干しをするアカミミガメのあくび。いや、実際にあくびなのかどうかは分からない。かわいい。
 

遠くの積乱雲と夕焼けPENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(230mm), f8.0, 1/320sec, ISO100, ー1.0EV
 夏の夕方。遠くに見える積乱雲。夕陽の縁取りが綺麗だ。

 なお、実は以下の記事でもこのレンズで撮った写真をすでに使っている。300mmのテレ端はともかく中望遠域は特に風景にも向いていると思う。

 

ブルーインパルス PENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(300mm), f8.0, 1/1250sec, ISO200, 0EV
 動きものとしてブルーインパルスの予行も撮ってみた。やはり長さが欲しいと思ったので本番では150-450mmにしたけれど。

 フルサイズ換算460mmもあれば、空港周辺などで旅客機を撮る分には十分対応できるだろう。なによりワイド側に広いのは使い道が広がる。

ファーストインプレッションまとめ


 近年のPENTAX独自設計のズームレンズらしく、非常に安定した描写性能で開放から安心して使える。ただし少なくともRAWの状態では色収差が少し感じられるが、Lrなどで簡単に補正出来る程度だ。ボディ内のフリンジ補正でもOKではないかと思われる(未確認)。また、素の状態では歪曲がそれなりにあるようだが、周辺光量もこのサイズのズームとは思えないくらいフラットな感じだ。

 利用シーンにもよるが、特にテレ端で開放F値が暗いので高感度性能はそこそこカメラ側に求められると思う。ファインダー像ももちろんそれなりに暗くなり、K-3 Mark IIIでもザラザラだが、そこは仕方がない。

 PLMによるAFは噂通りPENTAXでは最速だろう。追従性能的なことは何も試していないが、ボケボケの状態から一瞬でファインダー像がシャキッと浮かび上がる様は素晴らしい。しかも無音だ。まるでCやNみたいで感動する。

 沈胴機構の操作が面倒くさいかな?と少し心配していたがそうでもない。ひねりを加える前にロックボタンをしっかり押し込まないと引っかかるのだが、慣れではないかと思う。それらもろもろの恩恵で収納時のコンパクトさが得られるならこれで良いのだろうと思う。

 ということで、遅ればせながら手に入れたわけだが、Kシリーズのコンパクト望遠ズームとして絶対に持っておいた方が良い1本だ… と、今さらながら再確認した。これはもしかしたら、自分にとっての K-3 Mark III 用標準レンズになるかも知れない。
 

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