Zマウント標準ズームの決定版NIKKOR Z24-120mm f/4 Sを買った

2022-06-26

 Zマウントの標準ズームレンズを買った。発売以来大人気で品薄になっているNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sだ。

 今年の1月に発売されたばかりの新製品で、ニコン伝統の24-120mmという広いズームレンジを持つ。さらに解放f値は全域F4通しというところも良い。しかも、もともと全体的にレベルが高いZマウントレンズの中でも、このレンズは特に描写性能が良いと発売直後から評判になっていた。

 24-200mmと被るところも多いのでどうしようかウジウジ悩んでいたのだが、今後Zマウントに本格的に足を踏み入れていくにあたっての中核の一本としようと、購入を決意した。

NIKKOR Z24-120mm f/4 S

 大手量販店のWEBで注文をしたのが4月17日。その時点では納期は8月下旬となっていた。その頃には新ボディの噂も出てくるかも知れないし気長に待とうと思っていたのだが、北海道旅行から帰ってきた直後の6月の初旬、突然何の前触れもなく販売店から「発送しました」というメールが届き、実際に翌日にはブツが届いた。

 ニコンが頑張って作ってくれたのか、販売店が頑張って確保してくれたのか、長い納期に待ちきれずキャンセルした人が続出したのかは分からない。
 

NIKKOR Z24-120mm f/4 S 前玉側 NIKKOR Z24-120mm f/4 S マウント側

 光学系は13群14枚でEDレンズも非球面レンズもふんだんに使われている。ナノクリスタルコートとアルネオコートも採用されるなど、さすがS-Lineのレンズという感じで妥協はない。なおフィルター径は77mmだ。

 スペック的な注目点は24-120mmという広いズームレンジに対し、開放F値が全域でF4であることに加え、最短撮影距離が全域で35cmまで寄れて、最大撮影倍率が0.39倍もあるという点だ。これで描写性能が良いというのだから、まさに理想の標準ズームと言えるのではないかと思う。
 

24−120 / 24−200 / 14−30 比較

 サイズ感は24-200mmとほぼ同じか、フィルター径が大きい分だけ若干大きく感じる。重さも630gあって24-200より60gほど重たい。

 しかしレンズシステムとして14-30mmとの組み合わせのバランスは良い。これに適度なサイズの70-300クラスのレンズがあれば、変形小三元セットのできあがりなのだが。もしかして100-400mmがそれなのだろうか?

 なおこうなると24-200mmの位置づけが難しくなる。24-120mmがあれば高倍率標準ズームとしての24-200mmは不要になるような気がしている。たぶんテレ端の+80mmよりは寄れることのほうが自分にとっては重要だ。上述した望遠側をどうする問題とも関わるのだが、まぁそのうち手放すことになるかも知れない。
 

Nikon Z5 + NIKKOR Z24-120mm f/4 S 横

 Z24-120mmの鏡胴にはズームリング、ピントリングに加えて、カスタマイズ可能なコントロールリングとL-Fnボタンがついている。コントロールリングは24-200mmや14-30mmにもあるのだが、両レンズの場合はピントリングを兼ねているのに対し、24-120はピントリングとは独立したものとなっている。

 現状ではコントロールリングの機能は絞りに設定してみたが、クリック感のないリングで絞りを操作するのはちょっと変な感じだ。慣れるしかないだろうか?

 L-FnボタンはAFキャンセルに割り当ててみた。というのは、Z 5のAFモードは常にAF-Cに設定してあって、どうしてもAFロックが必要な場合のみ、このL-Fnボタンかボディ側のAFボタンでロックをかける、という使い方をしている。ほぼ全画面に渡ってAFポイントがあり、隅っこでも精度の問題がないミラーレス機の場合、この使い方のほうがいろいろとスムーズに行くということを最近覚えた。

 ただしこのL-Fnボタンは、位置が上すぎることと、クリック感が固すぎると思っている(いずれも個人の好み)のだが、まぁそれも慣れかも知れない。
 

NIKKOR Z24-120mm f/4 S ワイド端 NIKKOR Z24-120mm f/4 S テレ端

 なおズーミングによる全長変化はこんな感じだ。常識的な範囲で特に可もなく不可もなくと言ったところだろうか。ズームロックはないのだが、ズームリングはかなり重たくて肩からぶら下げていてビヨーンと伸びてくるということはほぼなさそうだ。標準ズームはこのくらい固い方が好みなので、これはこれで良いと思う。
 

さっそく撮ってみた

 Nikon Z 5に取り付けてさっそく紫陽花などを撮りに行ってみた。紫陽花についてはまた別エントリーにするつもりだ。

木場公園と東京スカイツリーNikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(66mm), f10, 1/250, ISO100
 近所の公園。レンズ補正は内蔵プロファイルが固定でかかっていて、LightroomではON/OFFできない。それはそれでもちろん良い。とにかく遠景は当たり前にフラットでカッチリしている。むしろ24Mピクセルしかないというカメラ側の問題が気になる(高画素機が欲しい)。
 

ラベンダーと蜜蜂Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(120mm), f4.0, 1/1250, ISO220
 北海道では見ることができなかったラベンダーは近所の公園に咲いていた。そこには蜂たちが集まっている。

 常時AF-C設定はこういうシーンに出会った時にとても役立つ。AFポイントの選択とフレーミングに集中していれば、ピントはカメラ任せでなんとかなる。そしてこのレンズはAFが非常に速い。24-200mmとは大きな差を体感できる。個人的経験の中でいえば過去に使ったことがあるどのカメラ/レンズよりも速いと感じている。
 

額紫陽花アップNikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(120mm), f8.0, 1/100, ISO100
 そして寄れる。これが最大というわけではないが、およそ標準ズームとして使っている範囲において最短撮影距離を気にすることはないだろう。もちろん等倍まで行く本格マクロとは全然違うが、手持ちで気軽にマクロごっこをするにはもうこれで良いのではないかと思えてくる。
 

紫陽花と前ボケ後ボケNikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(103mm), f4.0, 1/160, ISO100
 一方で、正直なところボケについてはちょっとどうかな?と思っている。

 普通に使っていれば全く問題なく綺麗なボケが得られるのだが、玉ボケの形状と年輪がちょっと気になることがある。傾向は24-200mmと同じで、テレ端開放ではそれなりのボケ量がある分、目立ってしまうのかも知れない。

 いずれにしろ、他の点でほぼ完璧であるが故に期待値が高すぎただけかも知れない。そこそこの倍率のズームが大口径単焦点レンズと同じになるわけはないのだ。
 

木漏れ日Nikon Z 5, NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(24mm), f11, 1/100, ISO100
 木漏れ日。さすがにうっすらゴーストが出ているけど、逆に言えばこの程度だ。補正されてるのかも知れないが輝度差の大きなエッジにも色付きはなくとてもクリーンで、本当にソツがない。

 絞り羽根は9枚なので18本の光条が出ているが、外に向かってボワッと広がって行くレンズが多い中にあって、比較的シャープに尖っているのは良いと思う。二重になってる原因は分からない。追々他のシーンで使ってみて確認していこうと思う。
 


 ということで、このレンズは評判通り期待通りの隙のない標準ズームだ。これ1本あれば散歩でも旅行でも何でもほとんどのことに対応できてしまう。

 そしてもう1点重要なことは、S-Lineの妥協のない作りのレンズでありながら、そんなにお値段は高くないのだ。いやもちろん14万円という金額は一般的には十分高いのだが、大三元系のレンズは平気で30万近いことや他メーカー含めいろいろなレンズの相場を考えると、機能性能に対してこのレンズの値付けはかなり安いと思う。

 すでにZマウントマウントには何本も標準ズームがあって、それぞれ特徴があるのだが、とりあえずこれを買っておけば間違いないという定番の1本なのは間違いない。
 
 
↓ Z24-120mmで撮ったその他の写真はこちら

 

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