北海道ドライブ旅行2022(大洗−苫小牧間のフェリー編)

2022-06-22

 北海道ドライブ旅行記の番外編として、行き帰りに使ったフェリーについて書いておこうと思う。以前も書いた通り、北海道へ渡るフェリーは東日本を中心に各地から出ているが、東京から最も近いのは大洗発のフェリーとなる。

さんふらわあさっぽろの船上PENTAX K-1 II SE, HD DFA15-30mmF2.8ED SDM WR(15mm), f11, 1/200sec, ISO100
 自宅からフェリー発着の港までのアクセスや、北海道の到着地、そして出発時間と到着時間、さらには料金などなどいろいろな要素があるが、まずは「便利(≒港が近い)」を優先し、大洗−苫小牧便を利用することにした。

 大洗−苫小牧間のフェリーは商船三井フェリーが午後7時前後に出港する夕方便と午前1時頃に出港する深夜便を合わせて週に12往復運航している。


 時間を最大限に使うためには、夕方まで普通に日常を過ごしてから、その日の夜のうちに出発して深夜便に乗るという手もなくはないのだが、今回は初心者なので夕方便を使うことにした。だから出発日の朝はゆっくり寝坊して、お昼過ぎまでは最後の荷造り&持ち物チェックなどして、午後になってやっと出かけるという、かなりのんびりとした出発となった。

 なおフェリーの予約は2ヶ月前から出来る。なので3月末には日程を決めてWEBからすぐ予約したのだが、往路も復路も特に混んでる様子はなくすんなりと予約をすることができた。真夏のハイシーズンになるとどうなのかは分からない。

往路:5月27日 さんふらわあさっぽろに乗って苫小牧へ

 往路は5月27日金曜日。出航時間は19:45だが、車両積載の場合は17:30までに乗船手続きを済ませるように、とWEBサイトに書いてあった。まるで国際線の飛行機並みだが、車を船に乗せる時間がかかるからこんなものなのだろう。

大洗フェリーターミナル さんふらわあさっぽろ

乗船待ちの308SWPENTAX K-1 II SE, HD DFA24-70mmF2.8ED SDM WR(24mm), f5.6, 1/160sec, ISO100
 平日の午後、常磐道をゆるりと茨城に向かい、大洗のフェリーターミナルに着いたのは午後5時前だった。乗船手続きを終えて車を乗船待機レーンに並べたら、あとは乗船開始までひたすら待つだけだが、何時に乗船開始するかはその日の事情で変わるらしくよく分からない。1時間くらいは車の中で暇つぶしをすることを考えておいた方が良い。

 なお車に乗って乗船できるのは運転手だけで同乗者は別途徒歩で乗船しなくてはならない(子どもやお年寄り、介助が必要な人など事情があれば例外はある)。

 ということで、予定通り午後5時半頃から車両の乗船が始まった。船内の車両デッキは4階に分かれていてちょっとした立体駐車場のようだ。隙間もないくらいキツキツに詰めるのかと思っていたが、そんなことはなく荷物を取り出したりするのに特に問題は無い。この日は車両デッキ最上階の4階に誘導された。

 貴重品とカメラと1泊分の着替えなど身の回りのものだけ持って車を降り船室へと向かう。出港後は車に戻れないので忘れ物がないようにしなくてはならない(1泊なので大抵のことは何とかなるけれど)。

 なおこの日の大洗発苫小牧行きの船は「さんふらわあ さっぽろ」だった。
 

さんふらわあさっぽろのレストラン 船上のサッポロクラシック

海を見ながら朝食Apple iPhone 13 Pro Max(広角カメラ 26mm相当), f1.5, 1/1531sec, ISO50
 夕方便にはバイキング形式のレストランがある(深夜便にはない)。夕食は2000円、朝食は1200円で、セットで買うと2700円とまぁまぁ良い値段がする。

 が、このレストランはちょっとしたビジネスホテルのバイキングよりはよほど良い感じで、値段なりの価値はありそうだ。お客さんが元々少なかったせいか混雑するということもない。メニューも思ってた以上に豊富で美味しかった。自動の生ビールサーバーがあってサッポロクラシック(500円)も飲める。素晴らしい。
 
 船内のレストランは利用せず事前に食料は買って持ち込んでる人もいるだろう。その他、船内には軽食および飲み物の自動販売機もあったし、売店では飲み物とお菓子類は売っている。
 

スーペリア窓なしの部屋Apple iPhone 13 Pro Max(超広角カメラ 13mm相当), f1.8, 1/60sec, ISO500
 船室(クラス)をどうするか?は悩んだのだが、現在夕方便に就航している「さんふらわあ さっぽろ」と「さんふらわあ ふらの」は2017年製の比較的新しい船で、定員の半分以上は個室で収容するようになっている。

 昔ながらの大部屋もあるのだがキャパは思ったより少ない。さらにカプセル風のスペースを占有できるコンフォートというクラスがあったので、それで良いかとも思ったのだが、一応カメラ機材など持ち込むことや色々考えてスーペリアという個室を利用することにした。

 スーペリアの部屋はビジネスホテルのシングルと比べてもかなり狭くて窓もないのだが、空調はもちろん、トイレと洗面台とシャワーがついている。しかし部屋付きのシャワーは結局使っていない。というのも船内にはそこそこ立派な大浴場があるのだ。しかもサウナ付き(水風呂はないけど)で、脱衣所もちゃんとしていてまるでちょっとした温泉施設のようだ。もちろんお湯は温泉ではないけれど。

 夕飯食べてお風呂入ったらあとはもうやることがない。部屋にはテレビはあるが海上は電波が弱すぎて頻繁に絵も音も固まってしまう。ネットも同じ状態でかろうじて圏外になるのを免れている(Docomo回線の場合)けれども、Twitterのタイムラインを更新するのがやっとで、写真は落ちてこないしアップロードは全く無理という感じだ。動画はおろか音楽のストリーミングも怪しい。

 そんなこともあろうかと文庫本を持ってきたのだけど、読む気にならなかったので早々に寝てしまった。もともと寝付きには自信がないので、慣れない環境で眠れるかどうか心配だったのだけど、結構普通に眠ってしまった。揺れがちょうど良かったくらいかも知れない。

さんふらわあ さっぽろの船内 さんふらわあ さっぽろの煙突

海上の朝PENTAX K-1 II SE, HD DFA15-30mmF2.8ED SDM WR(15mm), f11, 1/500sec, ISO100
 ということで、早寝してしまったせいもあって翌朝はわりと早くに目が覚めた。Apple Watchの目覚ましも鳴ってないし、部屋は窓がないので朝日が差し込んだわけでもないのに。遠足の日の朝みたいなものだろうか。

 出港後はほとんど日暮れだったので海の様子を見たのは朝になってからだ。青い海に囲まれているのを見て、ようやく本当に船に乗ってるんだという気分が盛り上がってくる。朝の日差しと海上の風が気持ちよくて、デッキに出たりして海風に吹かれたり、人の少ない船内を散歩したりしてしばらく暇つぶしをしていた。

 朝ご飯を食べて朝風呂に入ってもまだ時間は有り余っている。非日常の風景だからといって何枚写真を撮っても、青い海と青い空しか写らない。そんな感じでとても贅沢な「暇」を過ごした。
 

もうすぐ苫小牧PENTAX K-1 II SE, HD DFA24-70mmF2.8ED SDM WR(24mm), f8.0, 1/640sec, ISO100
 そして定刻通り午後1時過ぎに苫小牧に到着した。約18時間の船旅もようやく終わりだが、あんなに暇にしていたはずなのに一方で終わるとなるとちょっと寂しい。

 下船は順番待ちで時間がかかるものかも?と思っていたのだが、意外にすんなりと降りることができた。運が良かっただけだろうか? 船から出たらいきなり見知らぬ北海道の港町に放り出された感じでおどおどしてしまう。事前に妄想していた「来たぜ北海道!」という決定的瞬間はないまま、あれよあれよという間に苫小牧の街中を運転させられていた、という感じだ。

 と、初日はそんな風にして始まった。あとは↓シリーズもので別エントリーに書いた通りだ。以下に第1回目だけリンクを張っておく。

 

復路:6月3日 さんふらわあふらのに乗って大洗へ

 帰りは出発から丸々1週間後の6月3日金曜日。フェリーに乗る直前までは↓こんな感じだった。

 帰りは行きより約1時間早い18:30に苫小牧を出港する。なので16:00前には港について乗船手続きを済ませた。乗船開始は16:30頃からとのことだったが、実際にはそれよりもかなり早い時間から始まった。運転手が戻ってきていない車が何台かあって(自分の前に並んでいた車がまさにそうだった)待ち行列がゴタゴタしたが、それも日常的なことらしく誘導員はテキパキと指示を出し対応していた。

苫小牧のフェリー乗り場PENTAX K-1 II SE, HD DFA15-30mmF2.8ED SDM WR(15mm), f8.0, 1/400sec, ISO100
 帰りは行きとは違って一番低い位置にある1階に誘導された。駐車位置の指示が「あの右から2番目の白いミニバンの前にバックで入れてください」と、狭くて多くの車がいて(多くの視線があって)みんな急いでいる(実際にはそんなに急かされていないのだが)雰囲気の中で、結構難しいこと言われてドキドキしたけど、なんとか涼しい顔のままでこなした。

 なお帰りの船は「さんふらわあ ふらの」で、行きの「さんふらわあ さっぽろ」とはほぼ同じ仕様の姉妹船だ。
 

船室のバルコニー 網走ビール 流氷ドラフト

さんふらわあふらの のプレミアムルームPENTAX K-1 II SE, HD DFA15-30mmF2.8ED SDM WR(15mm), f8.0, 1/30sec, ISO400
 船内の様子は往路とほぼ同じなのだが、ひとつだけ大きな違いがある。それは↑この部屋だ。

 奮発してさらにひとつ上のグレードの部屋を選んだのだ。運転手分の料金は車両の積載料金に含まれているので、差額がとても安く見えるというマジックもあるし、そもそも割引キャンペーンが行われていて実際安かったのだ。

 写真などで分かってはいたのだが実際部屋に入ってみると笑ってしまうくらい広い。今回の旅の間に泊まったホテルと比べてもかなり豪華な方だ。バルコニーがついていてオーシャンビューであることを考えると、もっとも豪華な部屋と言っても良いかもしれない。

 海上では電波がなくなって暇なことには変わりない。夕飯を食べてお風呂に入った後、売店を見ていたら網走ビールを売っていた。そう言えば網走で飲むチャンスがなかったな、と思いだして流氷ドラフトを買ってきて部屋で飲んだ。

 5年前にウトロで飲んだときは、文字通り「色モノ」で美味しくはない……と感じたのだが、今回船上の豪華な部屋で改めて飲んでみると、いやいやどうして結構美味しいと思った。発泡酒なのでビールとして美味しいというわけではなく、何か独特の味付けがしてあってそれはそれで良いと思う。なんならお代わりしようかと思ったくらいだ(しなかった)。
 

霧の中を進むフェリー 金華山沖の海霧

海上の霧PENTAX K-1 II SE, HD DFA24-70mmF2.8ED SDM WR(24mm), f8.0, 1/500sec, ISO100
 翌朝はやはり早起きをした。全体的に今回の旅は天気が今ひとつだったが、海上はとても穏やかで良く晴れている。朝は海上に霧が立ちこめていたようで、東北地方の沿岸部もよく見えず、空と海との境界が曖昧になる。とても幻想的な風景でいつまでも見ていられる。
 

大洗港着岸Apple iPhone 13 Pro Max(広角カメラ 26mm相当), f1.5, 1/6211sec, ISO50
 そして6月4日の午後2時。予定通り大洗港に着岸した。

 船の中はまだ旅気分でいたが、大洗に着くと急に現実に戻されて旅ロスがさっそく始まった。行きと同じく車で船から降りると、ターミナルやゲートを通過するとかそういう余韻もないまま、実感も心の準備もなくいきなり茨城の路上に放り出されてしまう感覚にまたもや慌ててしまう。

 フロントガラス越しに見える景色はこの1週間でガラリと変わってしまったことを噛みしめつつ、常磐道を東京に向けて走りながら考えることは、今回の旅の反省事項だ。反省と言っても必ずしも後ろ向きなことではない。天気、季節、日程などなど、もう少しやりようがあったと思いつつも、それは次回もっと上手くできるだろうという期待でもある。

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