兵庫県は阪神尼崎駅近くにある焼肉屋さん「あまがさきポッサムチプ」が11月いっぱいで閉店してしまうというニュースが飛び込んできたのは10月中旬だった。

　実のところ両手で数えられるくらいの回数しか訪れたことはないのだが、自分にとっての神戸焼肉聖地のひとつでもある兵庫駅近くの「ポッサムチプ」の姉妹店でもあり、オーナーが知人だったりして、開店以来いろいろと思い入れと思い出のある焼肉屋さんだ。

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　閉店に至る経緯や事情は色々あるようだが、それはまぁさておくとして、最後にやはりもう一度訪れて「あまがさきポッサムチム」の焼肉を食べておかねばなるまい、ということで閉店間際の11月末に関西に飛んだ。
　

 

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　「ポッサムチプ」の名を冠しているので、ただの焼肉ではなくて創意工夫が凝らされたものが出てくる。最初の前菜というか生ものからしてちょっと違う。ナムルも普通ではないし、サラダだと言って出てきたローストビーフは低温調理されており、ほとんど野菜のようだった（思い込み）。
　
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　そして肉寿司。最近はどこでも目にするが、美味しい肉寿司は変わり種でも何でもなくて、本当に肉料理であると同時に本当にお寿司の味がする。タンユッケの肉寿司はタンユッケの味しかしなかったけれど、多分それで正しい。
　

 

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　生ワサビと醤油麹で食べる極上厚切り肉。美しすぎる…… そしてワサビより醤油麹の方が味が強いことに驚く。
　

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　ホイルに包まれた椎茸が出てくるのも「ポッサムチプ」らしさだ。焼き加減が目に見えないので砂時計でしっかり焼き時間を管理する。そして開いてみたらこんな大粒の椎茸が現れた。牡蠣醤油を垂らして食べろとの指示。あらかじめ振られた一味のピリ辛が効いていて美味い。これはもう焼肉の一部位ではないかと思えてくる（そんなはずはない）。
　

 

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　だんだんクライマックスに近づいてきた。極上ホルモン3種盛りはコメカミ、てっちゃん、バサ。唐辛子塩で食べる薄切り肉としてササバラ、かぶり、カイノミ、ヒウチがでてきた。どれも美味すぎる。こうなると白米が必須だ。
　

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　そして特徴的な脂がはいった真っ赤な肉。極上サガリ。有馬山椒で味付けをして食べるという贅沢。幸せすぎる。

　しかしこれで終わりではない。次こそがこの日のメインであり、（自分にとっては）あまがさきポッサムチプのフィナーレを飾るにふさわしい逸品がでてきた。
　

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　ど〜ん！ どこからどう見てもタン。しかしこの分厚さはどうしたことか？ その名もシンプルに「タンステーキ」と名付けられている。これはすごい。
　

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　焼肉はまず最初にタン塩から、なんて誰が決めたというのか。タンはこうしてメインをまかせられる風格を持っているというのに。

　とにかく素晴らしい。これだけのためにわざわざ飛行機なり新幹線に乗って関西にやってくる意味があるというものだ。
　

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　〆は名物のラーメン、という噂もあったがそうではなかった。和牛ハラミカツ茶漬けだ。しかし残念ながらここで満腹レベルが限界を超えてしまい、この茶漬けは友人の胃の中へを収まっていった。今目の前に出されたらどんぶり一杯食べられるはずだが、写真でその味を想像することにしよう。
　
　「あまがさきポッサムチプ」はもう閉店してしまうので、想像した味わいの答え合わせは出来ないのが残念だけど、そのくらいの未練と思い出を持っていれば忘れることもないだろう。
　

　もう閉店してしまうので意味はないのだが、自分のための備忘録としてマップを貼っておく。そのうち別の飲食店、特に排煙設備があるのでもしかしたらそのまま焼肉屋になっているかもしれないが。

　なお11月末の残営業日の予約はすべて受け付け終了しており、いまから駆け込みで「あまがさきポッサムチプ」へ食べに行くことは出来ないので注意して欲しい。