Nikon Z 8 + ProGrade GOLD 512GB CFexpress の連写性能実測

2023-06-07

 Nikon Z 8のカードスロットはCFexpressとSDXC UHS-IIのデュアルスロットとなっている。高画質な動画を撮る場合はもちろん、静止画でも秒間20コマなどの高速連写を生かしたい場合は、当然CFexpressカードが必須となる。

Nikon Z 8 + ProGrade GOLD 512GB
 

ProGrade GOLD 512GBを買った

 と言うことで、以下のエントリーにも書いたとおり、Z 8を手に入れるにあたりはじめてのCFexpressカードを買った。


 性能と容量とコストのバランスを考えてProGrade製のGOLD 512GBをまずは1枚目のCFexpressカードとして使ってみることにした(ただし2023年6月7日現在、AmazonのProGrade公式ストアでは欠品していて注文できなくなっている)。

 ニコンが公式に発表している推奨リストには最低継続書込速度が1000MB/secを超えるような、各社の最上位シリーズが並んでいるが、GOLD 512GBは普及クラス帯の製品でありながら、最低継続書込速度は800MB/secを確保していることと、消費電流が比較的低いという点を重視した。以下のリンク先のように、デジカメWatchでスポンサード記事が出ているくらいだ。

 なおこの新世代GOLDシリーズは今のところ512GBと1TB版のみで、これらより小容量のGOLDシリーズは最低継続書込速度がかなり遅くなるので注意してほしい。

 さて、最高ではないけれどもそこそこの性能を持っていそうなこのカードで、実際Z 8でどの程度の連写能力が引き出せるのか? 具体的には、連写時にいわゆる「バッファ詰まり」を起こすまでの時間/コマ数がどの程度なのかを知っておきたい。

実際のところNikon Z 8の連写性能は?

 そんな中、以下のZ 8に関する各種スペックを実動作で検証するレビュー記事を興味深く読んだ。

 実際にZ 8で静止画の連続撮影を行い、一定の時間に何枚シャッターが切れるかを計測しているもので、概ね公式の仕様に近い結果が得られている。

 ただしこの記事で使われているカードはProGradeとNextrageの最上位製品(ニコンの公式リストにもあるやつ)であり、やはりGOLD 512GBのデータはない。

 となれば自分でやってみるしかない。

Z 8 + ProGrade GOLD 512GBで連続撮影実測

 評価方法は先ほどの記事にだいたい合わせることにした。ただし15秒間に撮れる枚数だけを計測している。Z 8にはメカニカルシャッターはないとは言え、写真を撮る以外の目的でシャッターをやたらに切ることにまだ心理的抵抗があるので。

 測定にあたって、代表的な設定をおさらいしておく。

  • レンズ:Z24-120mm f/4 S
  • フォーカスモード:マニュアル(無限遠に設定)
  • 露出:1/4000sec, f4, ISO64
  • ドライブモード:CH(20fps)
  • 3種類のRAWをそれぞれテスト
  • 15秒の連続撮影で得られた枚数を計測

 これ以外の設定はおおむね工場出荷時のデフォルト設定のままだ(撮影メニューをリセットした状態)。
 

CFexpressにRAWを記録する場合

 ということで結果は以下の通りだ。なお測定はストップウォッチを使いつつも手動でやっているので、完全に正確ではない。また「バッファ詰まりまでの時間」も目視確認でかなりざっくりした数字なので、ふんわりと参考程度に見て欲しい。

RAW設定 15sec間の撮影枚数 バッファ詰まりまでの時間
ロスレス圧縮 約220枚 約3.5sec
高効率★ 約250枚 約5sec
高効率 約280枚 約10sec

 元記事の結果からすると予測の範囲内であり、だいたいこんな感じだろうか。一見わりと厳しい数字に見えるかもしれないが、雑に平均してしまうとロスレス圧縮でも15コマ/secくらいあると考えればなかなかの結果とも言える。

 結局のところバッファメモリーのサイズがどうこうと言うよりは、CFexpressカードの書き込み速度依存でどの程度の連写が維持されるかが決まる。

 いずれの場合でも15秒経過後バッファ全開放までの時間(書込完了までの時間)は1secあるかないかくらいだ。つまり実写で書込み待ち時間を意識させられる瞬間はほとんどないのではないかと思う。

 なので例えば、2秒連写して2秒休んでまた2秒連写して……みたいな撮影を繰り返していれば、バッファ詰まりを感じる瞬間は多分ないはずだ。高効率★ならなおさらだし、ただの高効率であれば確実に。なるほど!
 

RAW+JPEG記録する場合

 さてせっかくなのでここでもう一つテストをしておこう。上の測定はCFexpressカードにRAWのみを記録する前提で行ったが、実際はRAWとJPEGを同時記録する場合が多い。それもCFexpressカードに両方とも記録する順次記録の場合と、CFexpressカードにRAW、SDXCカードにJPEGと分割記録するケースが考えられる(出来れば後者で運用したいのだが)。

 条件は先ほどと同じでRAW+JPEG同時記録でどの程度連写できるのか計測してみた。RAWは高効率★、JPEGのサイズはL、画質はFINEとした。分割記録のケースではSDXCカードとしてProGrade COBALT 128GB UHS-IIを使用した。これはSDXCカードの中でも最速クラスの製品だ。

RAWおよびJPEGの設定 15sec間の撮影枚数 バッファ詰まりまでの時間
高効率★RAW+JPEG FINE(CFexへ順次記録) 約190枚 約2.5sec
高効率★RAW+JPEG FINE(CFex+SD分割記録) 約150枚 約2sec

 順次記録の場合は単純にデータ量が増えたことによる影響でそれなりの結果のようにも思える。しかしながら分割記録は並列処理的な意味合いで、順次記録よりは改善するかと思えば、むしろより悪化するという予想外の結果となった。

 JPEG FINEは高効率RAWに近いサイズがあるので、少し荷が重かっただろうか? いずれにしてもSDXCカードスロットを使用するのは、連写性能的にはかなりのペナルティがあると思っておいた方が良い。少なくとも20fpsを安定して引き出すのは難しい。この点はZ 9ともっとも差がある部分ではないかと思われる。

どうやって使っていくか?

 今回のテスト結果は以上だ。連写速度を落とすとどうなる?とか、HEIFだとどう?とかいろいろ疑問は湧いてくるが、そのうち必要になってどうしても知りたくなったらその都度またテストをするかもしれない。

 とりあえず今のところは20fpsでガチガチの連写をするとか、8KのRAW動画を撮るみたいな用途はないので、これらの結果を頭に入れつつ、CFexpressカードに高効率RAW★を、SDXCカードにJPEG(Lサイズ/NORMAL画質)を記録する設定して常用するつもりだ。

 実写で10fpsを何度か使った印象では、連写速度低下やカード書込み待ちが気になったことはまったくない。動画もちょこちょこ撮影しているが、ProRes 10bit HQの4K/60pを1分程度撮る程度ならなんの問題もない。

 ただしカードのローテーション運用のためにも、近いうちにもう1枚CFexpressカードを買おうと思っている。その際は推奨リストにあるような高速なカードにしてみようと思う。今後いざというときのために、Z 8の性能をフルに出し切れるカードは1枚持っておきたい、という意味合いで。

 最近大人気のNextrageも試さないといけないし、(容量はともかく)次はこの辺の製品が良いだろうか? と考えている。
 

2023-06-07|タグ: , , ,
関連記事