今年は冬が長引いたせいで梅や河津桜の開花は2週間くらい遅かったのだが、ソメイヨシノはそんなこととお構いなしに、ほぼ例年と変わらず3月下旬になって咲き始めた。おかげで本来時期が合わないはずの不思議な取り合わせの景色が見られたところもあるようだ。
地元である東京東部下町の桜も都心の標準木からはいつも通り遅れたものの、ほぼ先週末から見頃を迎えてこの週末にはもう散ってしまいそうな勢いだ。しかもほぼ満開だったこの1週間は天気もあまりスッキリとはせず、お花見的には今ひとつなシーズンだったと言えるかも知れない。
昨年はいろいろな意味で当たり年だったので、その勢いでこれでもかというくらい桜の写真を貼ったエントリーを投稿したが、今年は複数日に渡って散歩中に撮った写真のなかから10枚だけ選んで、ひとつのエントリーにまとめておくことにした。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*70-200mmF2.8 ED DC AW(150mm), f11, 1/200sec, ISO100
毎年撮ってしまう木場公園のバーベキュー場の桜と東京スカイツリーと吊り橋のコラボ。桜はほぼ完璧だけど天気が今ひとつだった。また来年もこのアングルに挑戦したい。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*70-200mmF2.8 ED DC AW(100mm), f4.0, 1/800sec, ISO100
そのバーベキュー場だが、昨年と一昨年に引き続き今年も休業が続いており、花見のために出入り自由でとても治安が良かった。昨年も同じことを書いたと思うが、今後コロナが完全に去ってもこのままにして欲しい。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*85mmF1.4ED SDM AW, f1.4, 1/500sec, ISO100
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*85mmF1.4ED SDM AW, f5.6, 1/125sec, ISO400
これもまた何度も書いているが、桜というと何となく望遠レンズを持ち出し、花をアップにしたくなる。それはそれでとても綺麗なのだが、ここ最近は「花」ではなく「木」を撮りたいとずっと思って意識していた。
昨年に引き続き今年はかなり頑張ったつもりだが、やはりこういうのも良い。85mmF1.4の暴力的ボケ量に背景や前景を溶かすのとか大好物で、この美しい情景をファインダーを見てしまったらシャッターを切らないわけにはいかない。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*70-200mmF2.8 ED DC AW(200mm), f4.0, 1/1000sec, ISO100
大横川に負けず劣らず仙台堀川護岸の桜並木も素晴らしい。
むしろ、無残に枝を切られ間引きされてしまった近年の大横川よりも、仙台堀川のほうはまだ自然のままに枝を伸ばした木が多くて壮観だ。大横川も昔はこんな感じだったな、と思い出す。清澄通りを行く都営バスの車窓にも一瞬このすごい並木が見えるはずだ。
なおここはいわゆる「清澄白河」と呼ばれている地区で、有名なサードウェーブのコーヒー屋さんがあるあたりだが、実際の正しい町の名前は「平野」で、オシャレなカフェ街ではなく(墓地付きの)寺町だ。地元の人は誰もここを清澄とも白河とも呼ばない(地元民の反抗)。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*70-200mmF2.8 ED DC AW(200mm), f4.0, 1/800sec, ISO100
ソメイヨシノと窓。光が当たった桜の明るさと、日陰になった北向きの濃い色の壁のコントラストが気になったので撮ってみた。
仙台堀川の護岸にはスレスレまで家が建ち並んでいて、手が届きそうなところまで桜が枝を伸ばしている2階のベランダで花見をしている家があった。羨ましい。
…とは言え、家のすぐ横に桜並木があるのは良いことばかりではないことは分かっている。毛虫や鳥にも悩まされているだろうし、今は減ったと思うが、以前は花見客には迷惑していたに違いない。ここでもまたこのままでコロナ以前に戻らないで欲しいと思ってるのではないかと思う。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/40sec, ISO3200
日が暮れてからの大横川に花見散歩に出かけてみた。まだ咲き始めの頃のことだ。宵の口の空は写真に撮ると目で見たよりも青く写ることが多い。ブルーアワーってやつの名残だろうか。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/60sec, ISO1600
下町の住宅街なので、大口径レンズで夜桜を撮ってみると、背景にあるちょっとした灯りが綺麗な玉ボケを作ってくれる。格好イイ。遊歩道の街灯は真っ白なLEDに変わったので、ホワイトバランスも崩れないのだが、むしろ味気ないかも。
PENTAX K-3 III, HD DA55-300mmF4.5-6.3 ED PLM WR RE(166mm), f5.6, 1/160sec, ISO500
仙台堀川の東側はほとんど埋め立てられ親水公園となっている。その中にも素晴らしい桜並木があってちょっとした桜のトンネルを作っている。それほど長い距離でもないのだが、この一帯では他にはない景色で素晴らしい。
Nikon Z 5, NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(16.5mm), f7.1, 1/320sec, ISO100, 0EV
冷たい雨が降った翌日、強い北風に吹かれて木場公園のソメイヨシノは早くも花吹雪を巻き上げ始めていた。今週末でかなり散ってしまうのだろうが、それもまた綺麗で映えるから、この週末もまだお花見日和なはずだ。
実はこの日、撮影中にちょうどカメラをバッグにしまったところで、急に突風が吹きこのカットの10倍くらいの花びらが舞った。撮り逃してしまい次の突風を待ってしばらく粘ったのだがそれっきりになってしまった。残念!
ということで、この1週間くらいの間に暇を見つけては、カメラやレンズを変えつつちょこちょこ撮ったソメイヨシノの写真は700枚ほどの中から10枚選んでみ。まだ、この週末も天気が良ければもう少し散っていく様子を楽しみつつ撮ってみたいと思う。
今回撮った場所は↑この地図の範囲内にだいたい含まれている。木場公園の南側を中心に西は清澄通り、東は南砂町あたりだ。これ以外にも結構見応えのある桜並木はあちこちにあって、花見には事欠かない。もちろん都内に限らず桜の名所はたくさんあって、有名なしだれ桜の巨木なども見てみたいのだが、毎年ここ一帯で満足してしまう。
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