2024年12月8日の土星食を撮影した

2024-12-22

 2024年12月8日に土星食が発生した。土星食というのは月に土星が隠される現象のことで、土星に限らず惑星食全般でいうと、天文現象としてはそれほど珍しいものではないようだが、今回は特に誰にでも観測しやすい時間帯や条件が揃っていた。月と土星という明るい天体が織りなす現象なので東京でも十分によく見えるはずだ。

 今回起きた土星食の詳細については↓国立天文台の解説ページへのリンクを張っておく。日本国内の広範囲で見ることができたようだが、札幌や福岡あたりでは土星が月に接するだけで、食までは行かなかったそうだ。

 ということで、東京では天気次第という感じだったが、幸いこの日は朝から真冬の関東地方の典型的な気候で、良く晴れて乾燥し空気も澄んでいたで、月も土星もよく見えた。

18時19分ごろ 潜入開始

 まずは土星が月に隠されるところ。東京では18時19分過ぎのことだ。

潜入前

 18時13分頃。ほぼ半月の上方、欠けた側にかなり接近した土星。

 カメラはNikon Z8で、レンズは手持ちの中で一番長いNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR Sを使用した。それでも月や土星を撮るとなると短いのでAPS-Cクロップする。あとでトリミングしても一緒だが、どうせトリミングするのだから最初からしておいた方が良い。だいたい換算900mm相当の画角となる(なおここに貼った画像はさらにトリミングしてある)。
 
 半月とはいえ明るい月と土星の露出に差がありすぎて、月は真っ白に飛ばすしかないのかも?と思っていたのだが、意外にそこそこ良い感じの露出を探り当てることができた。マニュアルで探りながら撮ってみて、絞りも少しだけ絞ってISO感度も上げすぎず、あとは手ぶれしない程度のシャッター速度になるようバランスを取った。実際月はかなり露出オーバーだが、飛んでしまうほどではないので現像で戻すことができる。
 

潜入前:トリミング

 さらに思い切りトリミングして土星部分をアップにしてみると、土星の本体の形と環が見える。土星の環については今はかなり薄く見える時期(多分年単位の話)だそうだ。でもちゃんと写っていて良かった。
 

潜入開始

 18時19分20秒過ぎ、国立天文台の予報通り土星が欠け始めた!
 

潜入中

 そしてこの写真を撮ったのはさらに30秒ほど経過した18時19分50秒ごろ。半分以上隠れているだろうか?
 

潜入中:トリミング

 どアップにトリミングしてみるとこんな感じ。この後まもなくして土星は月の影に姿を隠した。
 

土星食の潜入過程アニメーション

 撮った写真をアニメーション化してみた。撮影間隔にバラツキをちゃんと調整していないので、潜入が始まると突然再生速度が見かけ上遅くなるが、だいたいこんな感じだった。

 なお、ファインダー内で見ていて、もう完全に隠れたなと思って撮影をやめたのだが、後で撮影データを見てみるとまだ少し出ていたようだ。国立天文台の解説にもあったが、月の地形の影響などもあって、本当にに完全に隠れるタイミングがいつか?ということを見きわめるのは難しい。
 

19時02分ごろ 出現終了

 その後土星は約40分間にわたって月の裏に隠れていた。そして19時過ぎに今度は明るく輝く月の縁から姿を現す。

出現中

 国立天文台の解説ページには「出現終了」の時刻が書いてあって「出現開始」がいつなのかは分からない。潜入に1分以上かかったので出現もそのくらいかかるだろうということで、待ち構えていたのだが、やはりカメラのファインダーで出現の瞬間を見ることは難しい。

 ↑この写真の撮影時刻は19時01分45秒。輪っかの部分が飛び出てきていることがようやく分かる。
 

出現中:トリミング

 拡大してみるとよく分かる。もう土星本体も半分くらい出てきている!
 

出現中

 19時02分10秒。土星本体が完全に姿を現し月の縁に接している状態。左側の環はまだ隠れている。
 

出現完了

 そしてさらに2分ほど経過した19時04分頃。左側の環も含めてすべて姿を現した。
 

出現完了:トリミング

 思い切りトリミングしてみるとこんな感じだ。
 

土星食の出現過程アニメーション

 そして出現する過程もアニメーション化してみた。潜入よりも間隔が均一でそこそこ見やすくなってるだろうか。実際にZ8のファインダーで見ていた雰囲気が再現されている。

 ここでテレコンがあったらさらに良かったのだろう。使用頻度が限られることが分かっているのでなかなか手が出ないが、必要なときには効果絶大なものだ。うぅむ……
 

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です