もう1週間以上前のことになるのだが、7月17日は海の日ということで海を見に出かけてきた。都心からほど近い東京湾岸にもそれなりに海の眺めの良いところはあるのだが、今回はふと思い立って東京湾アクアラインを渡り、千葉県の内房沿岸までやってきた。車でひとっ走りすると都心からも1時間かからない場所だが、この一帯は工業地帯であると同時に漁業も多く残っている。
潮干狩り場やビーチ、大型のアウトレットモールやホテルなどが立ち並ぶ東京湾沿岸沿いの道路を走っていると、実はそこかしこに小さな漁港があるらしいことに気がつく。潮の香りを嗅ぎながらそんなどこか懐かしいような珍しいような、何とも言えない旅情を掻き立てられる景色を楽しんできた。
Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f16, 1/60, ISO64
休日の東京湾アクアラインは混雑が名物なのだが、お昼過ぎになると下りの渋滞が解消し、上りの渋滞が始まる前で一瞬落ち着く時間帯だ。それでも海ほたるは微妙に混んでいるのでいつもはパスするのだが、出がけに飲んだコーヒーのせいでトイレに行きたくなって立ち寄った。
うむ、快晴でとても眺めが良い。気温としてはひどく暑いのだが潮風が吹いていて都内にいるよりはずっとマシだ。
Nikon Z 8, NIKKOR Z14-30mm f/4 S(14mm), f16, 1/60, ISO64
Googleマップなどの衛星画像にも写っているのだが、この辺の小さな漁港の周りには、多くの廃船や漁具が陸上にうち捨てられている。木造の船だったらあっという間に朽ちて土に還っていくのだろうが、強化プラスチック製らしい船体は色あせつつも形状をしっかり保っていて、草むらに埋もれつつある。土に還るように見えて還らない、小さな廃墟感がとても良い(この状態が法的、環境問題的にどうなのかはさておき)。
Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f11, 1/125, ISO64
こちらは比較的大きな漁港で長い岸壁が続き、その内側には現役で使われている船がたくさん係留されていた。天候も穏やかで青空とそれを映した海の青さが眩しい。
なおパンケーキレンズのZ26mm f/2.8はわりと周辺減光が大きめに出るせいか、こういう明るいシーンでは帰って風情が出る気がする。補正も敢えて緩く設定してあるのではないか?と感じるくらいで、そのカッチリしすぎないところが気に入っている。
Nikon Z 8, NIKKOR Z40mm f/2, f5.6, 1/1000, ISO64
漁港というか小さな船溜。こうした名もないような小さな小さな港の風景を見ていると、どこか遠くへやってきたような錯覚に陥るが、海の沖合すぐに見えているのは東京湾アクアラインだ。このギャップがいかにも東京湾というか木更津っぽい。
Nikon Z 8, NIKKOR Z14-30mm f/4 S(15.5mm), f11, 1/125, ISO64
浅瀬に立つ柱はオベリスクのようだ。その上の真っ青な夏空を羽田空港を離陸した飛行機が飛んでいく。
なお、天気が良いこともあって何となく風景はきれいだが、なんだかわからない海藻が漂っていたり、隅っこに淀んでいたりしてかなり強烈な磯の香りがしていた。水は透き通ってはいるが浅瀬なので水質についてはよく分からない。
Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f11, 1/125, ISO64
海がほとんど写っていなくても周辺の風景にはやはり海を感じる。どこか離島で撮ったと言っても通用しそうな清々しさがある一方で、やはりどこか千葉っぽい。シャッターを切る前、ファインダーを覗いているだんかいから不思議な感覚に襲われていた。とても良い。
Nikon Z 8, NIKKOR Z26mm f/2.8, f11, 1/125, ISO64
ここは宮古島の伊良部大橋…… ではない。どう見ても東京湾アクアラインだ。渋滞がなければ我が家までは1時間もかからない。
こんな近場にこんな良いところがあるなんて、うすうす知ってはいたのだが、改めて発見してちょっと嬉しい。というか、房総半島の沿岸線を走っていればこんな風景は無限にあるのだろうと思う。またそのうち探検に出かけてみたいと思う。