幻となったCP+2020の週末が終わった

 CP+2020の中止が発表されたのは2月14日のことだった。この時は、横浜に接岸した客船の問題が盛り上がっていたものの、全体的に日本国内における新型コロナウィルスに関わる状況は今よりもまだずっと楽観ムードだったと思う。


 とは言え、2月14日時点でも「CP+中止の判断は止むなし」という評価がほとんどだったし、自分もそう思っていたが、今となっては本当に2週間も前の時点で決断しておいて良かったという状況になってしまった。仮に強行開催しようと粘っていたとしても、先週に入ってからの状態では、確実に開催は出来なかっただろう。

CP+2020中止に対するカメラーメーカー各社の動き

 いずれにしろ中止は残念なことではあるが、各社ともCP+前後に向けて準備していた新製品については続々と予定どおり発表されている。富士フイルムのXシリーズもそうだし、キヤノンのR5やEOS 1D X Mark III、その対抗となるニコンD6や、久々のアマチュア向け一眼レフD780、オリンパスもOM-Dの新型を今年も投入してきた。いずれもCP+では目玉商品扱いとなるはずだった。

 フルサイズミラーレスの王者ソニーは新レンズ1本だけと寂しいが、昨今の精力的な製品投入を見れば、格別CP+だからどうこうということはないだろう。シグマやタムロンあたりもそうだし、パナソニックはめぼしい新製品はなくとも、昨年投入したLマウントレンズのロードマップをきっちり更新してきた。

 さらに、SNSを中心に流れるユーザーの声や、昨今のネット社会の進化に合わせたのか、オリンパスとニコンは会場での実施を予定していたステージプログラムをYoutube等を通して配信したりしている。


 せっかく準備してきたことを少しでも無駄にせず、CP+に合わせて高まるカメラ・写真ファンの興味に応えるために、こうしていろいろな動きが見られる。デジカメ市場が縮小しているときとは言え、各社様々な努力をしているのだ。頼もしい。

我らがリコーイメージングはCP+2020は完全になかったことにしている?

 こうした中、まったく動きが見られないのが我らがリコーイメージングだ。2月5日に「出展お知らせ」が発表されたが、その後2月14日にCP+中止が決まると、その出展内容予定のリリース丸ごと、以下のようなあっさりとした「中止のお知らせ」に差し替えられてしまった。

 ブースイメージや出展内容、ステージプログラムの予定など、幻と終わったCP+2020のリコーイメージングブースに関する情報は全てWEB上から削除されてしまった。

 WEBサイトのニュース一覧からも「出展のお知らせ」という2月上旬にされたはずのリリースは項目ごと削除され、今となってはあたかもそんな発表自体なかったことのようになっている。やらなかった出展情報を残しておく方が誤解を招くという考え方なのだろう。

 その理屈は分からなくはないが、ずいぶん頭の固い考え方だなと思う。実際他社を見てもここまで跡形もなくCP+2020に関わる情報を消している例はほとんどない。
 

レンズロードマップすら更新されない

 今年のリコーイメージングには、目玉となるような新製品が何もなかったことは分かっている。今年はそういう年じゃないのだ。とは言え、APS-CフラッグシップやDFA★85mmF1.4については、何らかのアップデートを含んだ形で再び参考出品されるだろうと期待していた。

 ただ、あくまでも参考出品である限り「こんなものをCP+でお見せする予定でした」という発表をしてもしかたないということは想像が付く。でも、もしかしたら新宿のリコーイメージングスクエアでこっそり展示する、くらいのことはあるかと思っていたが、それも個人的な願望に過ぎないので、この際潔く諦めることにしよう。

 ただ、レンズロードマップはCP+2020向けに更新版が用意してあったはずで、いくら何でもそれくらい更新することが出来たはずだ、と今でも思っている。そこが期待のミニマムラインだった。

 これには労力もほとんど要らないし、なんならサイレントでも良いのだ。新情報がなくても「メンテナンスされている」ことが重要なメッセージとなる。

 しかしされなかった。今(2020年3月1日夜現在)でも”Updated February 2019″のまま1年以上放置されている。HD化されたDA魚眼ズームや、DFA70-210mmF4 がすでに新発売されているにもかかわらず、それすら記載されないままだ。

 もはやこのロードマップはメンテナンスされないのだとしたら、645マウントやQマウントとともにWEBからは消してしまうべきだ。それこそ大きな誤解を招くではないか。あるいは何らかの社内ルールで、CP+が開催されなかった以上アップデートもしないことになっているとすれば、明らかにそのルールがおかしい。

 こうしてCP+2020を完全になかったことにして無視し続けるリコーイメージングの態度がとても心配だ。前向きに想像するならば、間もなく大きな発表が出来る予定なので、それまでは中途半端なことはせずじっと集中… であれば良いと思っている。

沈黙はマイナスのメッセージ

 あるとき「何かあるとすぐ撤退を疑われ、ネタにされるのが悲しい」的なことを中の人がつぶやいているのを見たことがある。確かに気持ちは分かる。我々ペンタキシアンはわりとカジュアルに撤退ネタを自虐を含んで口にする。一生懸命真剣に製品を作ってる人にはとてつもなく失礼なことかも知れない。

 だがその一方で、メーカーが発するメッセージがユーザーや市場にどういう印象を与えるか?についてもっと気を使うべきだと思う。中の人達がどんなに真剣に頑張っていたとしても、企業としてのメッセージが発せられないならば、ユーザーは受け取りようがない。

 そして、何もメッセージを発信しないというのは、決してゼロ(≒現状維持)を意味しない。それは時に強いマイナスのメッセージとなるのだ。

 世間はいろいろと騒がしい中だが、まだ一週間遅れで何かあるかもしれないので、期待して毎日過ごすことにしよう。
 

経歴詐称していた山岳写真家を起用していた件について

 あともう一点だけ、自分自身のための記録として書いておきたい。

 昨年来、リコーイメージングがPENTAX100周年記念のPR記事や、リコーイメージングスクエアにおけるユーザーセミナーに起用し、CP+2020でもステージ登壇を予定していた山岳写真家が、実際には登山家としても写真家としても、実績がない人物だったことが判明した。

 主に山岳界からの視点で描かれているが、経緯は概ね↑この記事にまとめられている。

 さらにもう一つ、山岳界隈からのこの件に関するテキストを紹介する。

 登山と違って、写真撮影という趣味自体は直接人の命には関わらない。とは言え、このコメントとほぼ同様のことが写真界隈にも言えると思う。

 つまり、写真家としての虚偽の実績を公表することは、実際に写真家を目指している人に混乱を生じさせ、その道で活動をしている人達の尊厳を貶めることになる。リコーイメージングが製品PRおよびセミナーに起用したという事実は、この人物の信頼形成に大きな役割を持っていたことになり、それは写真やカメラ趣味の広い裾野を形成する我々アマチュアに対する大きな背信行為でもある。

 もちろん、リコーイメージングも騙された側であり、この人物の経歴が虚偽であることを知っていて起用したとは思っていない。8000m級の山々での写真撮影の実績はなくても、現実にこの人物が撮った写真とその知識を買っただけだというなら、それでも構わない。
 
 しかし単にインフルエンサーとしての側面に乗っかろうという目論見であったなら、この人物とその虚偽のプロフィールを通して、自社製品のプロモーション活動を行い、写真撮影、特に山岳写真についての(虚偽の)ノウハウや情報をユーザーに対し伝達していたことについて、やはりリコーイメージングは大きな責任を負うべきだと思う。
 

【2020年3月24日追記】

 D FA★85mmF1.4ED SDM AWの詳細仕様発表とともにレンズロードマップが更新された。

 さらに、デジカメWatchに2019年11月29日に掲載されたPENTAX100周年記念のPR記事が削除された。
 

【2020年3月30日追記】

 CP+2020で予定していたセミナーの一部を4月下旬にオンラインで公開することが発表された。(しかしCOVID-19のため、結局延期されて実現していない)

【2020年5月15日追記】

 突然、開発中の新製品に関する動画が公開された。

2020-03-01|タグ: , ,
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