HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW が発表された

2020-06-03

 リコーイメージングから久々の新レンズとして HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW が今月末に発売されることが発表された。自社で本気で一から新設計したレンズとしては、記憶にある限り約2年前の HD PENTAX-D FA★50mmF1.4ED SDM AW 以来となるはずだ。

 つまり、K-1の登場時に公表されたロードマップの5本のDFAレンズのうち、4年が経過してようやく2本目が日の目を見ることとなったのだ。当初「大口径中望遠」とだけ書かれていたレンズが「85mmF1.4」であると明記されたのは2017年のこと。そして外形モックアップが登場しDFA★であることが明かされたのは2019年のCP+であり、そこからさらに1年半が経過している。

 今年の3月の開発発表では「発売時期は2020年後半」とされていたのに、実際は今月末なので実は2020年前半にギリギリ間に合ったことになる。遅いと文句を言うべきか、早くなったと評価すべきかよく分からなくなる。

 なおレンズロードマップ自体は当然ながら毎年修正がされており、2020年5月現在の最新版はこうなっている(←リンク先はPDFファイル)。DFAレンズはあと3本計画されている。

HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW


 閑話休題。このレンズはリコーイメージングの相当なこだわりが詰まった超高性能レンズのようだ。その詳細は公式のスペシャルサイトが詳しい。ここではこのレンズのスペックを取り上げて、改めて製品説明をしたいわけではない。ただ、このレンズを買わない理由を書き残しておこうと思っただけだ。

 そう、残念ながら買うつもりは(今のところ)ない。

 85mmF1.4というと昔からポートレートレンズというイメージが強い。上でリンクを張ったスペシャルサイトでは、ポートレートだけでなく風景などでも使えることが作例を持って示されているし、実際に何にでも使えるレンズなのだろう。あるいは何を撮るかはさておき、最新鋭の超高性能レンズがどんな描写をするのか、一カメラオタクとして単純に興味はある。

 しかし、このレンズはスペシャルサイトを読むと分かるように、すべてに気合いが入っているが故に、逆にどうしても気後れが残るのだ。そういう軽いノリで手にするのはこのレンズに失礼なのではないだろうか?と。

 これが小型軽量安価であれば「持っていて損はない」とか「使ってみれば新しい発見があるかも」という気持ちで手を出したかも知れない。HD FA35mmF2のように。

 しかし1.2kgオーバーでフィルター径82mm、価格は20万以上というレベルになると、もしかしたら役に立ちそうなシーンに出会うかも?というだけで、カバンの隅っこにとりあえず入れておくようなレンズではない。いかにKマウント沼に首まで浸かっているペンタキシアンとは言え、そんな程度の軽い気持ちで手を出すべきではない、というわずかな自制心が働くのだ。

 もし手にしてK-1改に取り付けてしまったら…「それでおまえは私でいったいどんな写真を撮るつもりなんだい?」と問い詰められるような気がする。問い詰められて、冷や汗をかきながらまともに返事が出来ず「ヤレヤレ… キミには私は100年早かったね」とレンズにバカにされてしまうに決まっているのだ。

 思い返してみれば、そんな気持ちで「とりあえず買わない」と言っていたレンズが他にもあった。というのは HD PENTAX-D FA★50mmF1.4ED SDM AW だ。そんな巨大な50mm何に使うの? 標準域のレンズなら間に合ってるし、と。

 で、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4ED SDM AW は今ここにある。そして予想したとおり、ちゃんと使えてる気がしない。でもこの50mmを付けたときのK-1改の手触りがとても好きだ。AFの動作もシャッターのキレも、そしてファインダーもとても良く感じら快適だ。撮れた写真はイマイチでも使っていて楽しい。

 うん、つまりそういうことなのだ。

 だから、今後はどうなるか分からないが、とりあえずもう一度「今は買わない」と宣言しておくことにする。

 

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