カメラとレンズの沼の深さは有名だが、一方でイヤホンにも沼がある。ちょっとした不満や音質や使い勝手を気にし始めると、次々に隣の芝が気になって試したくなり、際限なくなってくるのだ。
iPhone Xからイヤホンジャックが消え去って以来、ワイヤレスイヤホンを色々試してきた。記憶にあるだけで5製品に手を出していると思う。しかし昨年、決定打に出会ったつもりでいた。それがSENNHEISER MOMENTUM True Wirelessだ。装着感も良く音質も十分で満足していたはずなのだが…
そんな中、新型が発売された。その名も“MOMENTUM True Wireless 2”だ。なにそれ、欲しい!
1ヶ月待ってようやく手に入れた
ということでAmazonでポチったのが絶賛外出自粛生活中の4月19日。この時点ですでに初期の販売分は売り切れとなり納期未定となっていたが構わずポチった。待つこと約1ヶ月、5月中旬になってようやく発送され手元に現物が届いた。
充電クレードルを兼ねたケース入りなのは先代およびこのクラスの製品では標準的な構成だ。本体はセパレート式で接続はBluetooth5.1 +Class1となっている。左右の接続はリレー式で、1次レシーバはRユニットだが、見た目と使い勝手の上でそこは意識することはない。
コーデックはSBC,AACはもちろんaptXにも対応しているがiOS機器はもちろんACCとなる。ドライバーは先代でも定評のあるゼンハイザー独自開発の7mm径のダイナミックドライバーだ。このシリーズの音質に定評があるのは、信号処理ではなくこのドライバーの性能のおかげではないかと思う。
なお、個人的な好みによりイヤーピース部は付属のシリコン製のものではなく、コンプライと決めている。今回もMOMENTUM True Wireless 2とともに、コンプライのTG-200(M)を買っておいて、すぐに交換してしまった。
旧型との違い
さて、いったい先代のMOMENTUM True Wirelessと何が変わったのだろうか?
本体ユニットを並べて比べて見るとこんな感じだ。間違い探しのようにそっくりだが… 右のペアが旧型のMOMENTUM True Wirelessで、左が新型のMOMENTUM True Wireless 2だ。実はこう見えても少し小さくなっている。このタイプの製品の場合、ちょっとした大きさの差は非常に大きい。もともと悪くなかった装着感はさらに良くなっている。
さらに機能面では新型にはアクティブノイズキャンセリングが搭載された。これは大きい(ただし性能については後述)。
充電クレードルはほとんど同じに見えるが、実はやはり少し新型(左側)の方が小さくなっている。色は変わっているが材質などもほとんど同じだ。
電源に関しては新型は大幅に電池寿命が改善した。旧型は単体で連続4時間(充電クレードルに+8時間分の電池内蔵)となっていたが、新型は単体で連続7時間再生可能(充電クレードルで+21時間分の電池内蔵)となっている。アップグレード点としてはこの電池寿命の改善が一番大きいかも知れない。
その他IPX4の生活防水は同等だし、タッチ操作の体系などは同じなので旧型ユーザーは説明書を読み直すことなくそのまま使える。しかし新型は最新F/Wとアプリの組み合わせで操作ボタンのカスタマイズが出来るようになっている。使わないけど。
Smart Controlアプリは変わらず
スマホとの接続は従来通りSENNHEIZER Smart Controlを使用する。ペアリングも簡単で音楽を聴くのに必ずしもこのアプリは必要ないと思われるが、細かい設定を行うためには事実上必須のアプリだ。
装着したまま周辺音を聞くための“トランスペアレント ヒアリング”や、新機能のアクティブノイズキャンセリング、イコライザーなどの設定とともに、他の細かい設定やファームウェアアップデートもこのアプリから行える。
超簡易ファーストインプレッション
さて、まだ使い始めてからほんの数日しか経っていない。しかも本来は職場で使うのがメインの使用用途なのだが、今はまだ在宅勤務を続けているので、目的としている使用環境では使えていない。
そんな状態ではあるが、さっそく音楽を聴いてみた感じは、期待通りでとても良い。音質は先代譲りでこの手のイヤホンとしてはもう十分すぎるレベルだと思う。BluetoothのAACでもこれだけ鳴らせるんだと改めて感心する。なお、ハンズフリー通話は試していない。せっかくなのでリモート会議用のヘッドセットとして使ってみようと思う。
もともとセパレート式の完全ワイヤレスイヤホンとしてはとても装着感は良いと感じていたが、新型は小さくなった分さらに良くなった。見た目にも大きすぎて、何か耳から飛び出てる!的に目立つことはないと思われる(50代目前中肉中背おじさんの場合)。
電池の持ちはスペック通り激しく良くなった。満充電からANCをONで2時間連続で使っても電池容量はアプリ上で80%と表示されていた。控えめに計算しても6時間以上は普通に使えそうだ。外したときに小まめに充電クレードルに戻していれば、ほぼ電池は気にしなくて良さそうだ。
なお、アクティブノイズキャンセリングはまだオフィスの雑然とした騒音の中や通勤中の電車の中でどの程度効くのか分からない。が、自宅で試した限りではかなり弱1。ノイキャン特有の、ONにしただけでサーッと周囲の空気の密度が変わったかのようなツンとくる感覚がまったくない。自然なのは良いことだがこれは本当におまけ程度かも知れない。
なお、Amazonのリンク先を見て貰うと分かるように、ただのワイヤレスイヤホンとしては結構良いお値段がする。機能的にも性能的にも自分的にはこれ以上のものはもう必要ないはずだ。だからイヤホン沼にはまるのはこのくらい(まだくるぶし程度か?)で終わりにしたい。