東京ではここ1週間くらいはグズグズとした天気が続いていたが、週末にかけて本格的な大雨になった。これは梅雨の末期の典型的な天候らしいのだが、気温的にはまだ肌寒く、夏が来そうな気配はあまり感じられてない。でも、確実に梅雨は終わろうとしている。
そんな中、暇な時間にいつものようにネットを彷徨っているときに、デイリーポータルZで面白い記事を見つけた。
ヴィンテージ紫陽花(アジサイ)の季節がやってきた! :: デイリーポータルZ
”ヴィンテージ紫陽花”なんて言葉は初めて聞いたが、写真を見れば「なるほど!」とすぐに納得する。最盛期を過ぎて枯れゆく紫陽花のことらしい。
紫陽花はパッと潔く散って花を落としたりせず、グズグズと枯れていき干からびた状態で何年も残ったりする。この記事にはどうしてそうなるのかという、紫陽花の生態についてもいろいろ書かれている。しかしそれよりも、枯れゆく過程の紫陽花を敢えて愛でる、という逆転の発想に感心してしまった。
今までも完全に干からびた姿に冷やかしでカメラを向けたことはあったが、ちょうど最盛期を過ぎ、色が抜けシミが広がり、活力を失って萎れていく紫陽花をわざわざ撮ろうと思ったことはない。そういうのは薄汚いものだと思っていたし、普通に避けてきた。
しかし! そうと気付けばいても立ってもいられなくなり、さっそくカメラを持って「ヴィンテージ紫陽花」を探しに行くことにした。幸い、管理されていない野生の紫陽花は近所にたくさんある。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f5.6, 1/80sec, ISO400, 0EV
ほほう、良い感じのやつがあった。まだブルーを残してるものもあるけど、だいぶヴィンテージ化が進んでいる。
なお、頭の中のイメージを作るために撮影時は概ねカスタムイメージを「銀残し」か「ほのか」、あるいは「リバーサルフィルム」に設定して撮った。が、結局はすべてRAWファイルをLrで現像している。ローキーのやつはだいたい銀残しとリバーサルフィルムをまぜこぜにしたような感じになってると思う。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f2.0, 1/320sec, ISO100, -0.3EV
色が抜けてきて複雑なまだら模様になっている青い紫陽花。なるほど、良く見ると結構きれいではないか。後でボケてるやつはほぼ完全に抜けきっている。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/125sec, ISO100, 0EV
葉っぱはこんなに青々しているのに。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/125sec, ISO100, 0EV
なんか瑞々しく見えるかも知れないけれど、これもヴィンテージもののガクアジサイだ。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f2.0, 1/400sec, ISO100, 0EV
これも普通に淡いピンクの紫陽花のようだが、良く見ると中心の花の部分が完全に終わってるし、色が抜けて薄くなったようだ。かわいい。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f2.0, 1/200sec, ISO100, 0EV
今までなら絶対にカメラを向けなかったはずだが、頭の中で「こう仕上げると良い感じになるかも…?」と想像しながらシャッターを切って見る。楽しい。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/125sec, ISO100, ー0.7EV
最後まで粘って決して落ちない紫陽花(の額)が多い中、ときおりこうして落ちてしまってるやつがいる。鳥にでもやられたのだろうか? それとも根性ないやつは落ちてしまうのだろうか?
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f2.8, 1/80sec, ISO200, ー0.7EV
そしてヴィンテージものの完成形。これは恐らく去年咲いた花だろう。ちゃんと玉を保ったままこんなになってしまうとは。
PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.4, 1/400sec, ISO100, 0EV
しかしヴィンテージに囲まれた中に、ときおりこうして新しい花が育っていたりする。同じ株なのかどうかは分からない。いずれにしろ紫陽花はかなり長く楽しめる花のようだ。
ということで、新しい楽しみ方を覚えたので、また来年の梅雨シーズンだけでなく、茶色くなって秋や冬を越す姿も気にして見ていきたいと思う。