PEUGEOT 308SW GTは6月末で新車登録から満6年目を迎えた。早いなぁ、もうそんなに経つのか。
いつもメンテナンスをお願いしている原工房さんで12ヶ月点検してもらった結果、特にこれといったトラブルもなく、あっという間に完了した。
昨年北海道に行く前に交換して以来、1年ぶりにエンジンオイル交換して、AdBlueを満タンにして、結晶化を防ぐために入れた方が良いと勧められた添加剤なるものを入れて…… 費用は予想の範囲内というか常識の範囲内というか、フランス車23年歴の身からすると十分に安いと感じてしまう程度だった。
そうかぁ、もう6年か。また来年は車検だな、そろそろタイヤも考えないとな……
3年ぶり2回目の排ガス制御システム故障の警告灯が点灯
……などと暢気にそんなことを考えていたその時、既視感のある警告灯がメーターパネルに点灯した。なに? なんだって!?
説明書によるとこの警告灯自体はAdBlueの残量が減ってくると点灯するもので、即故障を意味してはいない。しかし確かめるまでもなくこの時点ではAdBlueはたっぷり入っているはずなのだ。だってさっきの明細↑にあったとおり補充したばかりなのだから。
漏れてるとか実は忘れられてるという可能性もわずかながらなきにしもあらずと言うことで、念のため補充口のキャップを外して覗き込んでみたら、ちゃんと液面がすぐそこに見えている。うん、AdBlueの量は問題ない。
とりあえず原工房さんに戻ってダイアグテスターで見てもらったのだが、あまり状況はよろしくないらしい。いったんエラーは消して警告灯もクリアしてもらったのだが、結局その後走り始めたらまたすぐに同じ警告灯が再点灯してしまった。
電子機器が故障したときの定石 バッテリーを外して一晩放置する作戦
そうなったらダメ元でバッテリー外して一晩放置を試してほしいとのこと。何ともアナログな話に聞こえるが、むしろ電子化されまくった現代の車だからこその技なのかも。電子機器は不調になったらまずは再起動しろ、みたいな。
バッテリーを外してリセット作戦にあたっては「ボンネットの開け方知ってる?」から会話が始まる程度には信用されていない。けどウォッシャー液を自分で補充できるくらいだから、ボンネットを開けることはできる。だからあとはバッテリーの端子の外す手順と方法、その後の処置などを教えてもらった。
そのくらい簡単だろと思ったら、意外に知らないことが多かった。まずエンジンを止めていきなりバッテリーを外すのはNGらしく、エンジンを止めてボンネットを開けて、ドアロックしてから6分以上待ってからバッテリー端子を外すようにとのこと。
それは何か作業者の安全のためかと思ったらそうではなく、現代の車はエンジンを止めてスイッチオフしてからも裏でいいろいろと動いているかららしい。それがすべて終わるのに最長6分かかるとのこと。それは知らなかった!
なお外した後の端子が勝手にまたバッテリーに接触しないようにプラスチック製の絶縁板を貸してもらった。
エンジン制御システムの故障警告も追加されていよいよダメかもしれない
だがしかし、結局バッテリー外しによるリセット作戦は、効果のないおまじないに過ぎなかった。
翌朝ふたたびバッテリーを接続してエンジンをかけてみたら、警告は消えていたのは確かなのだが、その後少し走ったところであっけなく再点灯してしまった。しかも今度は「Emission Control Fault」に加えて「Engine Fault」の警告まで追加されるというおまけ付きで。なんだよ、進行しているじゃないか。
エンジン始動時には警告音とともにエラーが2種類メーターパネルの真ん中に表示される。エンジン制御システムの故障(Engine Fault:左側の写真)が先に点灯し、そのあとで排気ガス制御システムの故障(Emission Control Fault:右側の写真)が続いて点灯する。これは3年前に発生した現象と全く同じではないか。
iPhoneのMy PEUGEOTアプリにも警告が表示されるようになってしまった。ちゃんとそういう情報も同期されるようだ。こちらはちゃんと日本語に翻訳されているが、とにかくディーラーに連絡しろというだけで、新しい情報がわかるわけではない。それにしても「欠陥」という言葉が強い。
なお、これらの警告が表示された状態でも走行すること自体はわりと普通にできてしまう(排ガスの規制に合致しないので厳密には違法状態かもしれない)が、そのうちカウントダウンが始まり一定距離を経過すると走れなくなるらしいが、それも1000km単位の話なので慌てる問題ではない。というか、旅の途中じゃなくて良かった。
結局またもやAdBlueタンク&ポンプを交換することになった
ということで、ここに至ってAdBlueタンク一式を交換するしかもはや手がないと診断されてしまった。
AdBlueタンクを交換してPEUGEOT 308SW GTは復活した -酔人日月抄外伝(2020年4月11日)
PEUGEOT 308SWの排ガス浄化システムが壊れたらしい -酔人日月抄外伝(2020年3月20日)
前回はソフトウェアの更新など悪あがきをしつつも、結局AdBlueのタンクとポンプ一式のアセンブリユニット丸ごと交換することで全快した。当時一部の車両にはリコールも出ていたし(非該当だった)、そうでなくても保証期間内だったので、部品代はもちろん作業工賃も何もかもすべて無償でまだ気楽なものだった。
それが新車登録から約3年8ヶ月目のことで、それからまた3年3ヶ月を経た今回、ほとんど同じ問題が再発していることになる。保証は切れているので今回の修理はすべて有償となる。ただ、今のところ見積もりではネットの口コミで見つけた金額ほどほどではなかった。
実のところこの問題は308(T9)や508では多数発生しているらしく、パーツの国内在庫も欠品がちという噂もあったのだが、運良く(?)国内在庫があってすぐに手配することができた。中には2ヶ月近く待つケースもあったと言うことなのでやはり不幸中の幸いだろうか。う〜ん……
それにしても2回目があるとは想定外だった。もしこの問題が3年に1度の頻度で起こるかもしれないPEUGEOTのBlueHDiシステムの持病だとしたら…… 先々のことを考えてしまう。
尿素SCRシステム搭載のクリーンディーゼルは、商用車やトラックと同等とまではいかなくても、それなりに走行距離と走行頻度が高い運用をしないと成立しないシステムなのだろうか? マツダのSKYACTIVE-Dが尿素SCRを搭載していないのはそういうことなのかもしれない(それはそれでDPF再生問題があるらしい)。
普通に乗用車として使う場合にAdBlue周りが弱点になるとして、タンクなりポンプなり噴射システムなりセンサーなり、それぞれ細かい単位のパーツが供給されて、本当に問題の部分だけ交換措置がとれるならまだ良いのだが、現状PEUGEOTよびCITROEN(ステランティス グループ)の場合は、少なくとも日本国内ではAdBlueタンクを含めた大きくて高価で交換作業に手間がかかる丸ごとアセンブリ交換となってしまうのが特に問題だ。
取りあえずまた3年後に備えた備忘録として、今回修理が完了したらかかった費用をここに記録しておこうと思う。
2023年7月29日 追記:修理完了
その後日は警告灯が消えたり点灯したりを繰り返して、当初の予定より一週間ほど修理は先送りにしてみたが、結局のところ最終的に、Emission Control Fault によるカウントダウンが始まってしまった。
カウントダウンというのは↑こういう感じでこのまま走行できる距離が表示され、50km単位で減っていく。この時点で1100kmと言われていたが、最終的にはあと1000kmというところまでカウントダウンされた。日常使いなら1000kmは相当な距離だから焦ることはないが旅先などだったら焦る。昨年の北海道旅行では2000km以上走ったわけで、あの道中に「走れるのはあと1000kmな」と言われるとかなり困ることになっただろう。
ということで、ここまで来たら観念してAdblueタンク一式をまるっと交換してもらった。同じ308(T9)のディーゼルでも年式やモデルによって細かく部品番号は分かれているらしい。我が308SW GTは比較的古いヤツでAdblue補給口が不便な位置にあるタイプなので比較的お安いらしい。
部品代は123,100円(税抜き)。交換工賃はだいたい3万円ちょっと言う感じで結局合計17万円かかってしまった。
原工房さんで308が3台並んだ。微妙にトリコロール並びになっていなくて惜しい。真ん中の青い308もディーゼル(1.6L)で走行距離はかなりいってるほうだが、やはり1回タンク交換しているそうだ。2回交換したという例はまだ少ないらしい。
3年後どうなるか心配だ。
【追記終わり】