首里城で火災があり正殿を含む多くの主要な建物が焼失したのは2019年10月31日のことだった。再建の動きは早くから始まり、すでに一昨年のうちには「見せる再建」として焼失した本殿跡が一般見学客に公開され、ボランティアで瓦の清掃作業などにも参加できるようになっていた。
実は2020年12月に一度その様子を見に行きたいと思って航空券まで取ったのだがコロナ渦の状況を見て断念した。さらに1年経った2021年末、やはり焼失後の現場と再建中の首里城跡を見ておかなくてはならないと思い立ち、那覇まで出かけてくることにした。
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守礼門、歓会門から瑞泉門へと少しずつ階段を上っていく。火災直後の2019年11月に訪れた時は歓会門から先は閉ざされていた。正常だった首里城に最後に訪れたのは2017年3月なので、約3年半ぶりに歓会門をくぐる。沖縄の城跡に多い曲面を描いた石垣と石造りのアーチ門が美しい。
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正殿前に建っていた大龍柱は火に炙られ被害を受けながらも倒れることなく残っていた。今はこうして下之御庭のプレハブの中に横にして展示されている。 間近に眺めると表面は剥がれ落ちヒビがいくつも走っていて痛々しい。修復してこのまま使う予定なのかどうかは分からない。
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奉神門をくぐると正殿と南殿、北殿に囲まれた御庭がある。奉神門は北側の屋根が焼け落ちたが、それ以外は焼失せずに済んだ。焼けた北側の屋根はすでに修復されていた。
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奉神門をくぐった先の景色はこうなっている。正面にあるはずの正殿は今はもうない。地面に貼られていたタイルも剥がされているが、特徴的な模様は残っている。
この正殿前の御庭はこんなに狭いところだったのかと思ったが、もしかしたら周囲の景色が変わり果てた正なのかも知れない。
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北殿跡の外側をぐるっと回って正殿が建っていた石垣の真上にやってきた。石はやはり焼けなかったのだ。焼けた木材の残骸や灰はすっかり片付けられている。
こうして見ると奉神門が焼けずに済んだのは本当に良かった。高熱に晒され火の粉も降っていただろうに。風向きのおかげだろうか。
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焼けた正殿は18世紀の修復時に書かれた「寸法記」や琉球王朝の末裔である尚家に眠っていた史料を元に1992年に再建されたものだ。琉球時代後期の姿をほぼ正確に再現したとは言え、その建物自体はあくまでも再建であり歴史的な遺産ではない。
首里城跡が世界文化遺産の一部に含まれているのは、土の下に隠された多く遺構が残っているからであり、正殿下にはその一部が見えるようにして保存されていた。これ自体も火災で損傷を受けたのかも知れないが、こうして現在でも見えるようにして保存されている。なので世界遺産としての価値は変わっていない。
それ以外にも正殿跡には崩れ落ちた棟飾の残骸などが雨ざらしで展示されている。これら自体は文化財ではなく、火災の被害を感じるため展示物ということなのだろう。
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こうして正殿跡が公開されながらも再建工事は進んでいるようだ。とは言え正殿再建の正式な着工は2022年中で、完成は約4年後の2026年とされている。今はその下準備が行われているのだろう。30年前にも苦労した木材の調達などは進んでいるのだろうか。
今後も「見せる再建」は続けられるようだが、当然ながら工事の進行状況によってその形態や内容はどんどん変わっていくのだろう。正殿の礎石跡が見られるのは今のうちかも知れない。
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過去に首里城には何度も訪れたことがある。しかし全てを見たわけではない。今回は東のアザナや京の内、西のアザナなど、今まで行ったことがなかったところも回ってきた。
特に京の内は首里城にとってとても重要な場所だ。森の中の御嶽群などは是非見ておきたいと思っていたので満足だ。
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首里城のあとはもちろん玉陵と識名園も巡ってきた。写真を見ての通り天気はイマイチで小雨交じりの一日だった。那覇にしては気温も低く、風に吹かれて寒いと感じるほどだった。
でもこれでとりあえずは2年越しの願いが叶えられて良かった。また何度か再建途中の姿を見に訪れたいと思っている。