昨年夏にPENTAX K-3 Mark III用の本命標準ズーム HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW が発売された。K-1用のDFA★標準ズームはついに発売されないままなのに対し、K-3 Mark III用にはちゃんと用意してくるあたり強い意気込みが感じられる。
K-3 Mark IIIの能力をフルに発揮するにはやはりこの最新標準ズームが適任だろうと思い、HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR があることはいったん忘れて、発売後すぐに手に入れた。
最新のAPS-C用標準ズーム HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AWを入手した
大きくて重たいレンズだがK-3 Mark IIIとのバランスは悪くない。電磁絞りのKAF4マウントでAF駆動はPLMを用いている。なのでAFは無音無振動で爆速(過去のPENTAX機比で)だし、光学性能的にも最新設計のスターレンズの威力はすごい。これぞK-3 Mark IIIのために作られたということがよく分かるレンズだ。
ピント精度に異議あり
しかし! このレンズを使っていると「ん?もしかしてピントきていない?」ということが多発していた。それも特別難しい条件ではなく、これは絶対に合うだろという簡単なシーンで。「稀に」と言えるほどでもなくて100枚撮れば5〜10枚くらいはそういう不審なカットが混ざっていた。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(26mm), f2.8, 1/2500sec, ISO200
例えばこれ。
26mmでこの距離感だし良く晴れた日で明るく看板の文字はハッキリした線で構成されている。だから開放とは言えそんなにピントに厳しいシーンではないのにこの有様だ。
実はこういう中距離の文字が書かれた看板のような、一見もっともピントが合いやすそうな条件でピントが合わない、ということが過去にも多発していた。なのでこの結果を見たときは「やっぱりか」と思った。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(50mm), f2.8, 1/500sec, ISO200
もう一例がこれ。テレ端でさっきよりは距離が近いが近接撮影というほど近くはない。しかもAFポイントは中央だ。それでもAFロック後に身体が前後するとピントが甘くなる条件かも知れない。とは言え……
拡大前の写真を見ると分かるようにピント位置はかなり奥、ステアリングのステーまわりにある。身体が前後した程度のちょっとしたズレどころの話ではない。
一眼レフの位相差AFは完璧ではないのでどうしても合わないことはある。しかし「そうか、こう言うシーンは苦手なんだな……」で済ませるわけにはいかない。これは合ってくれないと困る。
リコーイメージングで調査してもらう
実はこの件に関しては昨年末に一度、リコーイメジングスクエア東京に持ち込んで点検してもらったことがある。その際はカメラもレンズもともにピント精度に問題は無いということで、良品判定で戻ってきた。その際「それでも変なら次は写真付きで持ち込んでください」と言われていた。
そして3ヶ月ほど改めて使ってみて、上のような写真がまたもや撮れてしまったので、これらをNG例として添付して、再度精密なピント精度チェックをしてもらった結果、K-3 Mark IIIボディはやっぱり問題ないが、レンズの方は現象が再現し、問題が見つかったということで、再調整をしてもらうこととなった。
ということで、約2週間ほどの入院の末に戻ってきた。
再調整というのは具体的に何をしたのかはよく分からない。何となくなのだが、完全に原因が分かった上でのことではないような気もする。とりあえずなんか変なのは確かなので再調整をやってみよう……的な(※ 勝手な思い込みで根拠はない)
いずれにしと直っているなたら問題は無い。直っていてくれ!
改めて撮ってみた
ということで戻ってきたK-3 Mark IIIとHD DA★16-50mmF2.8 PLMを持って少し散歩してきた。特にピントチェックを意識したわけでなく、今まで通り普通に気になったものを撮っていっただけだ。それで大丈夫なら何も問題は無いわけで。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(35mm), f8.0, 1/100sec, ISO200
近所のコーヒー屋さん。通りかかるたびに気になってるのだけど入れない。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(16mm), f4.0, 1/2000sec, ISO200
新宿公園に咲いていた彼岸桜。バックにボケているのはもちろん東京都庁だ。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(16mm), f4.0, 1/2000sec, ISO200
これも彼岸桜だろうか? なんかちょっと違うような気がするがまぁいいか。春を迎える一歩手前の爽やかさが感じられる空が良い。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(35mm), f2.8, 1/1000sec, ISO200
江東区は大横川の桜並木は東京の標準木よりもいつも開花が1週間くらい遅いので、もしかしたら種類が違うのかも?と疑ったこともあるのだが、ちゃんと「ソメイヨシノ」という看板が掛けられているからたぶん間違いない。
標準木がある靖国神社から10kmも離れていないのだが、開花時期が違うのは気候が違うということなのだろう。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(50mm), f2.8, 1/1250sec, ISO200
そんな地元のソメイヨシノも、この週末であっという間に開花したわけだが、この写真を撮ったつい1週間前はまだしっかりと蕾だった。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(26mm), f3.2, 1/1250sec, ISO200
枯れ草の野原の後にはソメイヨシノがある。このまま満開になって欲しい。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(45mm), f3.2, 1/1250sec, ISO200
終わりかけのミモザと早咲きの桜。なかなか贅沢な景色だ。
PENTAX K-3 III, HD DA*16-50mm f2.8 ED PLM AW(50mm), f2.8, 1/1000sec, ISO200
東京大空襲の犠牲者慰霊のためのお地蔵さんが祀られた祠。
調整前ならピントを外していそうなシーンだが大丈夫そうだ。スターレンズだけあってちゃんとピントが来たときの解像感はすごい。
他のカットもピントのことはいちいち書かなかったが、だいたい問題なさそうだ。中には「ピント外しようがないだろ」と思えるようなシーン(ワイド側の遠距離でそれなりに絞ってあるなど)もあるが、今まではそれでも外すときは外していた。ワイド端の無限遠でも外すことがあったくらい。
ただし、これだけで直ったとは言い切れるほどまだ完全には信用していなくて、もう少し使ってみて様子を見たいと思っている。
一方で、K-3 Mark IIIとHD DA★16-50mmF2.8 PLMは最新の組み合わせであるが故に、過度に期待をしすぎ、過剰なピントチェックをしすぎていたという面も少なからずあるかもしれない。なのでもう少し心に余裕を持ちたい。K-1 Mark IIでLimitedレンズを使っているときのように。