夏が過ぎ秋が深まってもなお道端に残るヴィンテージ紫陽花

2023-10-17

 10月半ばになって「紫陽花」って季節を考えろよ!って話なのだが、道端に咲く野良の紫陽花は梅雨時期の花が終わった後も、そのまま朽ちていく姿が残っていたりする。民家や公園などで栽培され管理されている場合は、枯れるとだいたい剪定されてそこに紫陽花があったなんて雰囲気は跡形もなくなるのだが、野生の場合は枯れた後も風雨に耐えながらそのまま長いこと残っている。

 それを「汚い」と言ってしまうとそれまでなのだが、何年か前に枯れた後の紫陽花を「ヴィンテージ紫陽花」と呼んで愛でているネット記事を見てから真似するようになった。なので今年も梅雨が過ぎ去り連日の酷暑の中、日に焼かれてカラカラに乾いていく姿を見かけるたびにカメラを向けていた。

ヴィンテージ紫陽花の中の赤い紫陽花

 それら2023年の夏の間に撮ったヴィンテージ紫陽花の写真を、遅れた秋がやってきたこの時点でまとめておこうと思う。真夏に見るよりも今の時期にこそむしろぴったりの光景に思える。
 

群生ヴィンテージ紫陽花

金網越しのヴィンテージ紫陽花

 次第にヴィンテージ化してまだなんとか現役と言えるやつと、色が抜けて枯れつつあるやつがグラーデションになっている紫陽花の群生。ここは近所の名もなき個人的紫陽花見物ポイントなのだが、このあたりの写真は多分7月中に撮った。
 

ヴィンテージ紫陽花と前ボケ

ヴィンテージ紫陽花なりかけ

 普通に最盛期の綺麗な紫陽花を撮るみたいに、前ボケや後ボケを強調してみる。でもヴィンテージ化してきているので、色合いが複雑になってこれはこれでやっぱり良い。
 

ヴィンテージ紫陽花

 ちなみ見ての通りにいずれのカットもかなり現像で色などをいじっている。ヴィンテージ観賞は現実というよりも幻影をみるための行為だから。
 

ヴィンテージ紫陽花と蝉の抜け殻

 夏真っ盛りの8月。色が抜けきらないヴィンテージ紫陽花に蝉の幼虫が登ってきて羽化していく。切られもせず、自ら朽ちて落ちることもなくこの姿で夏を越す(場合によっては冬も越す)ことには、紫陽花自身にとって、あるいはこうした生態系のごく一部分にとって、きっと意味はあるのだろう。
 

ヴィンテージ紫陽花

ヴィンテージ紫陽花と青い丸ボケ

 9月になるとすっかり色は抜け落ち、繊維のようになってそれでもなお形をとどめているし、この間それなりに雨風が強い日もあったはずだが、それでも吹き飛ばされることなくこの姿を残していることになぜか惹かれてしまう。

 朽ちた姿に逆に「生命」を見いだしているのかもしれない。だから撮りたくなるのだろうか。
 

ヴィンテージ紫陽花直前の青紫陽花

 ↑これはまだ鮮やかなブルーが残っているが、実はヴィンテージ化一歩手前の紫陽花。

 ということで、全体的にポエム調になりすぎた気がするがまぁたまにはいいだろう。また来年の梅雨に見事な姿を見せて欲しい。
 



 

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