K-5 Limited SilverとFA31mmF1.8AL Limitedのピントずれ修理の顛末と相性問題

2020-03-13

 この前手元に戻ってきたK-5 Limited Silverはどこも不調に感じられるところはなかったのだが、一応リコーイメージングスクエア新宿に持ち込み「クリーニングパック」をお願いした。このパックではセンサーとファインダーの清掃だけでなく、一般動作点検も同時に実施してくれる。

FA31mmF1.8AL Limitedが前ピン傾向で要修理と診断される

K-5銀 と FA31mm黒 
 すると、K-5の方はクリーニングされて綺麗になった上、点検結果も特に問題はないと言われたのだが、たまたま一緒に付けていたFA31mmF1.8AL Limitedの方が「前ピン傾向があり要修理」という想定外の診断が下ってしまった。

 しかしこのFA31mmF1.8AL Limitedは、昨年11月に買ったばかりの新品でありながら、リコーイメージング公式ストアのアウトレット品で保証書がついてこなかった。

 もちろんその分かなりお安かったのだが、結局のところ修理費用(約13,000円ちょっとという見積もり額だった)をかけてしまったら、むしろ高くついたことになりかねない。がっくり…

残波岬灯台PENTAX K-1改, FA 31mmF1.8AL Limited, F2.0, 1/8000sec, ISO100, 0EV
大藤イルミネーションPENTAX K-1改, FA 31mmF1.8AL Limited, F2.0, 1/400sec, ISO200, -0.3EV
 でも仕方がない。このFA31mmF1.8AL Limitedは数あるKマウントレンズの中でも大好きな1本なのだ。だからこそボディカラーに合わせて2回も買い換えるといったバカなこと繰り返し、累計3代目となる個体を手に入れたのだ。

 そして最近になってK-1改との相性の良さを改めて確認したところでもあり、GR3のおかげで広角系単焦点1本勝負にも慣れてきた。だからピントずれがあると言われた状態で使い続ける訳にはいかない。費用がかかってもしっかり直してもらうことにした。

 ちなみに上の2枚はK-1改で撮ったものだが、比較的近距離で絞りを思い切り開けてもちゃんとピントは来ていると思う。何度も撮り直したりはしていない。だからこのレンズ本当にピントずれてるのか? と自分の目に自信を失うと同時に少し怪しんでもいた。
 

本当はK-5 Limited Silverのほうが前ピン傾向だったと確定診断される

K-5修理伝票 
 そして新宿に預けてから1週間後、我がFA31mmブラックは、修理工場に運ばれて再度精密な装置でチェックを受けた結果、一転して「やっぱりどこも悪くない」という診断が下ったと連絡が来た。やった! やっぱりそうだろ? だってK-1改ではちゃんと撮れてたもの。オレの目に狂いはない。めでたしめでたし… とはならない。

 ではリコーイメージングスクエア新宿で診断された「ピントずれ」とはいったいなんだったのか?

 ということで再度K-5 Limited Silverを再度リコーイメージングスクエア新宿に送り出し、改めてピント精度チェックしてもらったところ、やはりK-5ボディ側のピントズレが確認された。レンズのせいではなかったのだ。

 なるほど、そうであればすべて納得がいく。K-5はもう9年も前のカメラで細かい部分に多少のガタが来ていてもおかしくはない。K-1改とFA31mmの組み合わせで問題ないと感じていた実感は正しかったのだ。めでたしめでたし!
 

K-5修理お手紙 
 なお、メンテナンスや修理の用事がある場合、いつもは新宿まで出向いて窓口を利用しているのだが、昨今の新コロナウィルス問題で現在リコーイメージングスクエアも窓口業務は中止している。そのためこの件に関しては電話と宅配便を使ってやりとりをした。結果的にとてもスムーズに事が運んだ。

 無罪放免となったFA31mmとピント調整を終えたK-5は宅配便で返送されてきたのだが、その中には伝票類とともに↑こんなお手紙が入っていた。定型文ではなくてわざわざ個別ケースごとにこんな文書書いてくれるのか。いや、一つ一つは定型文の組み合わせなんだけど。ちょっと嬉しい。
 

K-5銀とFA31mm黒  
 さて、これでK-5 Limited Silverのピントもバッチリ調整され、FA31mmは何も問題なしとお墨付きをもらってとてもスッキリした。こうなるとK-5 Limited Silverは単なる動態保存と言うよりは、もう少し積極的にK-1改のサブ機として使ってみても良いのかも知れない、と思っている。

そもそもK-5とFA31mm Limitedの相性はどうなのか?

 で、ここからは余談だ。

 ずっと思ってきたことなのだが、K-5とFA31mmF1.8AL Limitedは実は相性がすごく悪いという気がしている。K-7で始めてFA31mmを使ったときは、何を撮っても傑作に見えた。その流れでK-5になってからもFA31mmを多用していたのだが、どうもしっくりこないことが増えたのだ。

 ピントが合わないとかそういう問題だけではない。フリンジは盛大に出るし、滲むし、ハイライトはすぐに飛んでしまい、輪郭も汚い。そしてちょっとした逆光でものすごいフレアが出るし、シャドウの締まりも良くない。やっぱりじゃじゃ馬レンズなんだな… と思いつつだましだまし使っていたのが実情だ。

白梅PENTAX K-5, FA 31mmF1.8AL Limited, F2.0, 1/6400sec, ISO100, -1.3EV
41歳お誕生日ケーキPENTAX K-5, FA 31mmF1.8AL Limited, F2.5, 1/80sec, ISO200, +0.7EV
 ここに貼った↑この2枚の写真がそうだというわけではない。むしろこれらは上手く撮れたOK写真だから、運が良ければこのくらい普通に写った。でもどうもこの裏にたくさん発生した没カットを見ているとモヤモヤする。なんかこのレンズイマイチなんじゃないか?と。

 なのでその当時、一度このK-5 Limited Silverと先代のFA31mmF1.8シルバーをやはり新宿に持ち込んで点検してもらったことがある。その時はレンズもボディも問題ない、ピント精度もしっかり出ていると言われた。でもやっぱり納得いかない。

 明らかにおかしいわけではないが、当時使っていたFA31mmシルバー品は外れ個体だったのかも?と少し疑っていた。そしていつしかあまり使わなくなってしまった。

 昨年再びFA31mmを使いたくなって、ブラック版に再度買い換えた理由はそんな心の奥底に引っかかっていた疑いも少しあったのだ。そしてK-1改で使ってみるととても良く写る。フワッと柔らかい中にも線はしっかり出ていて、ゴーストは出るしフレアも出るけど感じは悪くない。色は何となく淡くて今風のレンズとは明らかに違う。明暗差のあるエッジにはフリンジも出るけど穏やかで感じ悪くない。FA Limitedらしくて良いじゃないか。

 うん、やっぱり前のシルバー版は外れだったのだろう…。と納得しようとしていた。
 

新宿の放置自転車PENTAX K-5, FA 31mmF1.8AL Limited, F2.0, 1/200sec, ISO100, 0EV
PEUGEOT 308SW GTPENTAX K-5, FA 31mmF1.8AL Limited, F2.0, 1/250sec, ISO800, -0.7EV
 しかし、久々に手にしたK-5 Limited Silverに、新しく買い換えたブラック版のFA31mmF1.8ALを組み合わせて数枚撮ってみると、やっぱりしっくりこないことにすぐ気がついた。同じレンズなのにK-1改で撮ったときとは全然違う。同じシーンを撮り比べたわけではないからあくまでも「個人の印象です」としか言えないのだが。

 それもこれもボディ側のピント精度の問題だったのだろうか? たしかにK-5は大口径レンズ開放付近の近距離は苦手だった。それとも、今となっては単にK-5とK-1改の差が見えているだけなのかも知れない。なのでもう一度ピント調整済みの組み合わせで使ってみるしかないと思っている。

 ところでレンズとボディとの相性というのはあり得るのだろうか? レンズのカラーバランスとセンサーのカラーフィルターの特性、画像エンジンのチューニングなどの相性はありそうだ。あるいは物理的なCMOSセンサーの構造、マイクロレンズの配置と入射角の関係もあるだろう。そしてフィルム時代のレンズと、デジタルカメラの相性でもう一つあり得ると言われているのはセンサー面反射光と光学系の関係だ。

 フィルム時代のレンズはフィルム面からの反射光が光学系に戻ってくることを考慮してないと言われる。しかしフィルムに対してCMOSセンサーは圧倒的に反射光が多い。CMOSセンサー面で反射した光は後玉側からまた光学系に逆流していくと、それを考慮していない古いレンズには良からぬことが起こるかも?みたいな話だ。うん、実際それが本当なのかどうかはまったく分からないが、素人頭にはあり得そうな話に聞こえる。

 だからそういうことがいろいろ関係してK-5とFA31mmの組み合わせだけはイマイチ良くない、ということはもしかしたらあり得るのではないかと勝手に思っている。

 ということで、ここまでグダグダ引っ張っておいて申し訳ないのだが、これ以上の結論は特にない。

 

 

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